OCMC

Osaka Child Mind Center

社団法人 大阪市こども心理センター

日本で唯一こども専門の催眠療法室併設

起立性調節障害 不登校 大阪 催眠療法改善例。

2016-09-02  起立性調節障害改善例

★起立性調節障害を仮病と疑うお母さんが来所!

起立性調節障害と診断された小6男子。登校日の朝は不調なのに、

小学6年生の男の子はゴールデンウイーク明けから、朝になると気分が悪いとか吐きそうとか言い出す。たしかに顔色もすぐれず、トイレに駆け込むなどの行動を取る。最初は1週間のうち2〜3日休み出す、小児科へ行くと起立性調節障害と診断され、薬を処方されるが症状は全然変わらず。登校した日の朝もぐたぐたしながら「しんどいしんどい」を連発しなから学校へ。しかし学校から帰ってきた時はとても元気で、友達の家で遊んだり、近所の公園でサッカーや鬼ごっこをして本当にどこか悪いのと思うくらいとお母様は語る。
しかも日曜日のサッカースクールの日は、今まで休んだことがないと言う。

朝「学校に休みます」と連絡したとたん元気に!これって本当に病気ですか?

不登校のカウンセラーなら、よく耳にするのですが、このお母様もご多分に漏れず以下の話しを私に・・・「朝、学校に具合が悪いので今日お休みさせていただきますと担任に連絡したとたん、急に元気になるんです。今までの気分の悪い様子はどこへやら、本当にそうなんです。ナニッこれって、今まで気分の悪いのは芝居?あるいはポーズ?してたのって本気で思ってしまいます。先生、これって病気ですか?仮病ですか?」と小児科の先生にこれを話しても、笑いながらうなづくだけで、ラチがあきません」と語られます。
結構、この話しは多いですし、これをご覧のお母様の中でもご経験のおありの方がおられるでしょう。

子供の起立性調節障害は成長期に伴う自律神経の調整がうまく行かないのです。このホームページでも何カ所かに紹介していますが、思春期にかかると成長ホルモンがいっぱい出だし子供の身体を大きくして行きます。まず身長がのびる、身体全体ががっちりしてくる、声変わりがする、体毛が濃くなってくるなどなど、そのひとつひとつが大人に向かって成長していきだします。特に子供は、夜寝ている時に成長ホルモンが出るため、その夜に身長が伸び筋肉も強く太くなって行きます。ですから血液の中の栄養素はどんどんどんどん使われていっています。
しかし朝起きた時に血液の栄養素が成長のために使われたため、栄養素が足らなくなっています。それを脳みそが「血液の栄養が足らない!」と感知し、自律神経に影響を与えるのです。自律神経には色々なスイッチがあります。「頭痛・腹痛・頻尿・めまい・吐き気・低血圧・低血流・ETC・・・」などなどなど子供によって入るスイッチは色々ですが、やっかいなことに、自律神経には「楽しいこと一番に優先するスイッチ」があります。ですから土曜日や日曜日、ゴールデンウイークや夏休みなどは不登校のお子様は全員と言って良いほど元気になります。そう、それが子供の起立性調節障害の実態なのです。もちろん色々と問題等はありますが、起立性調節障害は病気であり疾患として認定されています。しかし自律神経のバランスを調整することで改善する病気でもあるのです。

催眠療法で朝の調子の悪さを改善

そこでお子様に催眠療法を施しました。催眠はいろいろな映像を脳裏に作り出すことができます。たとえば、空中に浮かんでいるよとか、豪華なヨットに乗っているよ、F1レーサーになっているよとか、セラピストが投げかけた映像が次々とでてきます。
そのお子様に「朝、調子の悪いのは君の脳みその中に★★★★のようなものがあるから、それを★★★★★★★てしまおう」という催眠のシナリオを言います。そして★★★したイメージをしっかりと彼の潜在意識の中にインプットし、次の日の朝、気持ちよくスッキリ起きれる映像を頭の中で作り出したのです。
単純な話しですが、彼はそれで次の日から約1ヶ月登校し、また同じ症状が出たため、再度催眠をかけ登校へと結びつけました。合計3回の催眠で以後問題なく登校しました。

もちろん催眠は全ての人に有効ではありません。お子様と催眠との相性。そして催眠療法士つまりセラピストとの相性、お子様の集中力の度合いと集中力があるかないかの問題等、ハードルの低い子、高い子がいるのも事実です。しかしやってみる価値はあるのはまちがいありません。当センターからはたくさんのお子様が復学しています。

onna1★中学1年AAさんの場合/起立性調節障害で五月雨登校が、小学4年から約3年間も続く

毎朝、頭痛、腹痛が・・。学校と言うだけで腹痛症状。

中学1年生なのに高校生にも見える女のお子さん。小学校4年生の9月頃から不登校が始まります。朝起きると頭痛が時おり起き、休みがちになりだしたとのこと。中学に入ると頭痛だけでなく腹痛も頻繁に起こるようになり、近くの病院はもとより大学病院にも行くがともに起立性調節障害と診断されます。今では学校と聞くだけで腹痛も起こすなど敏感に身体反応を示すそうです。しかし休むケースは当然多いのですが、時おり学校に行き、学校に行った日は、別人かとおもうほど元気に帰ってくる。また放課後は友達と遊ぶなど、朝の症状などはまったく出ないとの説明を受けました。

休むと決まると元気に。でも時々学校へ!

週の内1日か2日は行くとの事で、しかも自分の教室に入って授業を受けるとの事。教室に入れると聞き、完全復帰できるお子様と思いました。反対に休む日は、2度寝して11時頃起きてご飯を食べた後はずーっとゲームで過ごし、当然2度起きの際は頭痛も腹痛も起こらず、終日家で元気だそうです。
そこでAAさんと二人だけの面談を行ないました。
ここへ来たのは、何も言わずに連れられてきたらしく、当初はちょっと不本意で不機嫌な表情をします。でも色々と質問を投げかけるとしっかりと答えてくれました。まず学校が嫌いな事、勉強が嫌いな事、先生が嫌いな事、姉が嫌いな事など、なぜ姉が嫌いですかと問うと「すぐママはお姉ちゃんと比較するから」と怒った表情をしました。
お姉ちゃんはどんな人と問うと。背が高くで勉強も出来て、私と違って美人だし明るいしと答えます。お姉さんは高校3年生で国立大学をめざして勉強しているとの事。むかつくほど優等生だしみんなに人気があるし、親戚の人も皆、お姉ちゃんはすごいねと言うし・・・時々ケンカはするけど・・・でも学校を休む事に心配はしてくれているとのこと。

不登校の原因に、姉とお母さんとの関わりが・・・

いつもいつもママはすぐ姉の事を持ち出すという。「お姉ちゃんのようになりなさい、見習いなさい、勉強しなさい」と言うのだそうです。ママは姉が好きだけれど、私のことは嫌いじゃないけど好きでもないとそんな感じだそうです。姉はママの気持ちを独り占めしているのだそうです。彼女曰く生まれてから、ずーっとずーっとだそうです。「お母さんは優しかったですか」「それは母親だから時々は優しかった・・・」「優しい時はどう?」「うれしかった」「夜はどう1人で寝るの?」「ママの横で」

催眠療法で夢を引き出し、それをインプット!

そして催眠療法を施しました。相性がいいのか、すーっと深い催眠状態に導きました。
自分の未来の姿を見て、ロングヘアー、背が高い、センスのいい服着てる、化粧してるなど、今の自分との違いに驚いた様子。そして未来の自分から元気をいっぱいもらいました。そして催眠にかかっている中で会話をすると「○○高校に絶対行きたい」「中2からがんばって勉強する」「学校に普通に行きたい」などと答えます。そこで●朝、気持ちよく起きれる。●朝起きるとさわやかだ。●放課後、友達と遊ぶと楽しい。●自分らしく生きて行ける。●めざす高校があるから、勉強の気持ちも出てくる。などなどを彼女の潜在意識にインプットしました。

お母さんとのコミュニケーションアップが不登校を改善へ。徐々に復学。

終了後お母さんとの話し合いで、「完全な不登校ではありませんが、学校を休むのはお母さんのお姉さんに対するヤキモチが、多少影響しているかもしれません」と言うと「やっぱり。ひょっとしてとは思っていました」とのこと。これからはあまり姉との比較はしないこと。もっと本人を認めてあげること。たまには二人だけでファミレスでスイーツを食べコミュニケーションを図る事をアドバイスしました。そして帰るとき彼女は「めちゃ不思議な感覚、めちゃ気持ち良かった、気分もすっきりした」とのこと。
その後いやいやながらも合計3回の催眠を受け、五月雨登校は続くも休む回数は大幅に減ったとの事。お母さんとの間も上手くいっているとのことでした。

 

★小学6年BB君の場合/イジメから学校への拒否感が強まり、吐き気等の身体反応に!

以前の話しです。小学校6年生の男の子がやってきました。小柄で色も白く身体も細く、おどおどしています。お母さんに聞くと5年生の時にひどいイジメに会い、しばらく頑張って学校に行っていたけれど、それでもイジメがなくならず、その後、朝になると決まって吐き気がひどくなりついに不登校になったそうです。今は全然行っていない状況が続き、約半年になるとのことでした。イジメに対して学校の対応はいかがでしたかと聞くと、先生は単に注意をしたと言うだけで、具体的な説明はなかったとのこと。
先生はイジメそのものは把握されていましたかと聞くと、「頼りない女の先生で正直あったかどうかもわからなかったみたいですけど、それにイジメの話しをすると、すぐ話しをそらしますし・・・何か逃げているような気もします」とのことで、お母さんは今は担任の事は信用していないとのことでした。私自身、本当にひどいイジメに関しては、正直、学校側の適切な対応も大切かと思いますし、そうは言ってもなかなか解消されていないのが現実です。

色々な支援施設を廻って当センターに

学校のスクールカウンセラー、心療内科、不登校専門の支援施設など、色々な施設をめぐって当センターに来られました。心療内科の診断は起立性調節障害とのことでした。
そして二人だけの面談を始めました。静かに小さい声で、でも質問に対してはそれなりに答えてくれました。いじめは相当ヒドかったようです。彼の話しでは背が低いためか、それだけで大きな子から、こづかれたり叩かれたり、時にはプロレスの技をかけられたりしたそうで、休んだ次の日は「プロレスしようと思ったのになぜ休んだ」と叩かれたこともあったとか。先生に相談したこともお母さんにも言わなかったそうです。また時々休むため、教室では来るか来ないかの賭けの対象にもなったそうで、言ったその日も休んだ次の日もどちらからもイジメられたとか。彼はそれもずーっとガマンしていたとか。イジメをずーっとガマンし、それが頭痛などの身体反応に!

私自身これはヒドイと思いました。お母さんにはイジメられたとは言ったけれど、どんなイジメかは言わなかったそうです。また先生にもお母さんにも医師にも支援施設の先生にも言ったことはなく、初めて話すとのことで、途中からはずーっと泣きながら話す姿に、こちらも涙がいっぱい出てきました。
とくに「賭けの話しは自分が情けなくなるため、先生にしていない」とのことで、この話しは冗談ではすまない話しだと思い「このことはお母さんに話して言い?」と問うと、迷った末に「はい」とのことでした。
そして、ポジティブセラピーを始めました。最初不安な様子でしたが、どんどんどんどん心が落ち着いて行き、とてもリラックスしてきています。そしてセラピーの一番の特性である自我強化を心にインプットしていくと、顔の表情も不安が消え、ゆとりが出てきました。

20回の催眠療法で、中学で仕切り直しに成功。小学校の不登校から完全復学。

そしてイジメに関しては、とりあえず学校宛てに書面を作りお母様に渡しました。
その後、催眠療法を受けだし10回目あたりから別室登校を始めだしました。しかしイジメの生徒がいるため行ったり行かなかったりの状態での通学でした。やはりイジメの生徒は、以前よりはだいぶマシでも、それなりのプレッシャーは感じるとのことで、イジメられた子供はなかなかそのトラウマから抜け出せないものです。そして合計20回来所。どんどん以前の明るさが出てきているとお母さんの話し。進学に関しては、その子自身、近くの中学は行きたくないとの事で、私学の中学校を受験。合格し、今は元気に通っているとの事です。

 

★中学1年CC君の場合/教室へ入るのがコワい、みんなの目がコワい。

5月のゴールデンウイーク明けから不登校に

小柄な男の子がやってきました。小学4年生くらいかなっと思っていたら中学1年生。お母さんにお話を聞くと毎朝、決まって頭痛と吐き気を催し小学6年生の後半から不登校気味で、中学生は入学式と最初の3〜4週間学校へ行っただけとのこと。そして5月の連休明けからまったくの不登校に・・・
「お医者様に行きましたか」の問いに、近くの小児科に行くと、朝の頭痛、吐き気は低血圧と貧血気味で起立性調節障害と診断されたそうです。「休みの日はどうですか」と問うと、「日曜日などはわりあい元気です。夏休み中は、朝から元気で、何これって思う時もあります。
でも学校が始まると、一気に元気がなくなります」との話し。最近ではイヤなことに関しては、すぐにお腹が痛くなったり、気分が悪くなったりと、身体反応が顕著に現れるとのことです。不登校のお子様にはこのようなケースは多いです。

二人だけで面談。そこで学校へ戻りたいと・・

お母さんに席をはずしていただいて、お子様と二人だけで面談しました。
カウンセラー「朝、気分悪いの?」
「はい、吐きそうです」
カウンセラー「どれくらいでマシになりますか」
「たぶん昼までにはマシになっています」
カウンセラー「その後は、何かしんどいことある?」
「う~ん、たまにある。月に5回くらい」
カウンセラー「朝の気分の悪いのが、マシな時もある?」
「あります。週に2~3回」
カウンセラー「そう、たとえば無理をすれば、学校へ行けるくらいですか」
「微妙。行こうと思えば行けるけど、もう行かない。」
カウンセラー「なぜ行かない?」
「イヤ、いまさら行けない。カッコ悪いし、クラスに入るのコワイ」
カウンセラー「そう、恐いんだね。なぜ恐いの」
「学校に行っていないから、皆の目が恐い。それに何て言われるかも・・・それを考えただけでもゾっとします」
カウンセラー「いずれは、戻りたい?」
「はい。戻りたいです。でも今は、戻りたくない。でも戻らなくては、という気持ちもあります」
カウンセラー「その気持ち持っているのは、すごいね。将来は何になりたいの?」
と色々なおしゃべりをしました。
本人はこのままではいけないのはよく理解しています。いずれはちゃんと学校に戻って高校にも行きたいと希望を述べます。
面談前にお母さんはあまり知らない人とはしゃべらないから、ちゃんと話すかどうか、とのことですが、よく話してくれています。

自分の働いている姿に自信が!

そして催眠療法を施しました。自分の未来をイメージすると、大きなコンピューターがたくさんあってそのひとつをさわっている。コンピューターの会社に勤めている映像がでてきました。
「ちゃんと働いている!」とCC君のコメント。良かったねと言うと「うん」とうれしそうな顔。
そして自我強化の言葉を潜在意識にインプットして初回が終りました。
施療後、お母さんはお子様の日々の対応方法をレクチュアー。お母さんも色々な本を読まれて知識も豊富で、私のアドバイスにも納得されていました。

徐々に段階を踏んで復学に成功!

催眠療法を10回受けた位から、夕方に学校に学校に行く、教室に入るなどなど、徐々に段階を踏んで行き、担任のサポートもあり遠足に参加することができました。その後、別室登校とか、午後から教室に入るなどし、まだ休みがちでしたが、教室に戻ることができました。
催眠療法では自分を将来を見据えることができます。それが気づきに大きくつながって、復学へと進むケースが多いです。

 

小学6年DD君の場合/朝の頭痛、吐き気で週の半分は休むimage2.jpg

お母さんの過干渉が垣間見えました。

9月の中頃、小学6年生のDD君がやってきました。3人で面談室に入って、面談シートを書いてもらいます。小学6年生だからご本人で書いてもらいます。し かしその横で、「文字がいがんでいる。そこちがうやろ。ちゃんと読んでから書きなさい。また間違った。なんであなたはそうなの」と隣からダメだしの嵐。そ こで「お母さん、息子さんにまかせて書かせましょ」と言いました。はっと気がついたかのように「あっ、そうですね」とのことで最後まで書いていただきまし た。

行ったり行かなかったり・・不登校になるのではと、心配。

DD君は朝の頭痛と吐き気で、週の内半分くらい休んだり、遅れて学校へ行っているとの事。心療内科に行って起立性調節障害と診断されたとの事。お母さんはこのまま行ったり行かなかったりが続いて、どんどん不登校状態になる事を心配して来所されました。
そこでDD君とカウンセラーとの二人だけの面談を行ないました。
週5回塾に通って、塾は休んだ事がないとのこと。塾は友達がいて楽しいとのこと。「学校は週半分くらい休んでいて、どう学校は楽しい?」「楽しい」「な ぜ?」「友達がいるし、サッカーができるから」とのこと。学校を休んでも学校を休むとわかってから1~2時間くらいで元に戻っているとのこと。
土曜、日曜日は5人くらいの友達と外で遊んだり家でゲームをしたりしているとのこと。

ポジティブセラピーで大きく改善!

塾は休まずに行く、週の半分は学校へ行く、起立性調節障害も1~2時間程度で治まる、休みの日は外で友達と遊ぶ、また二人だけの面談でも性格的に明るい、 カウンセラーと目を見て話すなどなど、子供としてのエネルギーもあるなどから、そこで催眠療法を用いました。ポイントは●気持ちよく朝起きれる。●ぐっす り眠れる。●友達ともっともっと遊びたい。●明日の学校の準備は、寝る前にしよう。などなど、日々の学校生活の楽しさをプラスしたポジティブセラピーを施 しました。
1週間に1回のペースの催眠を3週行いました。お母様によると2週目から自分で準備するなど改善は目に見えて出てきたそうです。休む回数も大きく減ったとのことでした。復学も近いと思います。

 

 

高校1年EEさんの場合/頭痛、腹痛で数ヶ月不登校%e6%95%99%e5%ae%a4%e3%81%a8jk

落第の可能性が迫り、当センターに!

大人しそうで上品な女子高生がご両親と来られました。県内でも進学校で名が通っている高校だそうです。ゴールデンウイークの連休明けから頭痛、腹痛がひどくなり、満足に学校に行けない状態が続いているとのこと。このままでは出席日数から落第もあるとかで当センターに来られました。
お母さんは「せっかく進学校に入れたのに、中学校であれほど頑張っていたのに・・」と。お父さんは「やはり周りも優秀で、がんばってもがんばっても、なかなか思うように行かなかったのが原因かも、本人も言っていたのですが、試験は悪いということはありませんでしたが・・」と語られます。

前日の夜、次の日は行こうと決意するが、やはり行けない!

そして二人だけで面談しました。
「頭痛・腹痛はどれくらいで治まりますか?」
「昼には、だいたいおさまっています。いつもそうです」
「治まってからはどうしていますか」
「テレビ見たり、本読んだり、たまには勉強も」
「何か悩みありますか?」
「進路で悩んでいます。将来何を仕事にしたいかも決めれないし、だから行く大学もまったく見えない」
「クラスの人はどうなの」
「中には医学部行くという人はいるけれど、あまりそんなこと話したことはないし、わからないです。
「他に悩みは」
「・・勉強が遅れるのが心配だし、最近1ヶ月全然行けてないから、友達がどう私のことを思っているかも気になります。でも前日の晩は、明日こそ行こうと決意するのですが、どうしてもしんどくて行けない。でもこのままじゃ、マズイと思っています」とのこと。

1時限目で痛みが解消。無理をすれば学校に行けると自分も理解。

その他いろいろお話ししました。友人関係、学校での出来事、先生とのこと、良いこともちょっと悩んでいることもお聞きしました。そして家族のことも・・・そして頭痛・腹痛時無理して学校に行ったとき、1時間目くらいで痛みがなくなっていることを正直に話してくれました。だから行こうと決断すれば学校に行けるとは思うと。

お母様も催眠に参加。自我強化法で、じかに催眠の良さを体感し納得!

そして催眠療法を行ないました。催眠にはお母さまも参加されました。やはり娘さんですから心配です。こんなケースは多いので当センターも希望される方には、親御様の参加も進めています。なぜなら催眠というと大きな誤解をお持ちの方が多く、少しでも催眠が心理療法として大きな力を発揮することを知っていただくためでもあります。
また不登校に催眠療法がいかに効果があるかを知っていただきたいからでもあります。
1回目の催眠から深く入ります。そして催眠の最も得意とする自我強化を中心に行ないました。●自分が大切。●自分の夢をきっと持てる。●目指すべき道がきっと見つかる。●自分は自分らしく生きて行く。●常にポジティブに生きて行く。●他人の目や言葉は気にならない。●勉強に集中できるなどなど、プラス指向を中心に施療しました。私が投げかけて行くもひとつひとつの言葉に納得されるのか、そのたびに大きくうなづいています。

身体の中からエネルギーを感じ、1回目の催眠で復学。

本人も「身体の中からエネルギーが湧き出て来る感じでした。心はすっきりしモヤモヤしたものが消えました」と納得。お母さんも初めて催眠を経験し「先生の言葉が、どんどんどんどん素直に心に入って行く感じには、びっくりしました。凄いですね。私も本当に生きる力をもらった気がします」また近くで聞かれていたお父様も「テレビで見知っていた催眠とは、全然ちがいますね。」とすっかり納得された様子でした。

HHさんは次の日から復学。10日後再び来所され、2回目を同じように施療しました。
その後、完全に復学し、今は国立大学をめざして勉強しているとのことです。

このように1回目から復学するケースは、多くはありませんが、時々あります。
基本的に催眠療法は継続が基本です。施療するごとにどんどん心の中にエネルギーを貯めていくことが大切です。それが「気づき」につながり、行動へと結びついて行くのです。

 

★中学2年FF君の場合/原因がわからない不登校、そこに思春期ならではの問題がありました!jc4

 

原因がつかめないまま、丸1年不登校が続く

中学2年生の男の子がやってきました。14才ですが、顔は十分青年の顔立ちで、部屋に入って来た時は少し怒った顔をしていました。
お母さん曰く「丸一年、不登校状態で、病院や支援施設や行きましたが、全然だめでした。」
原因はわかりません。イジメとか、学校で問題を起こしたとか、友達関係とか、担任も教頭先生もいろいろ手をつくしてくれたそうですが、これっといった原因がつかめなかったそうです。
そこで二人だけで面談しました。

こんな所に連れて来られるとは・・とFF君

「朝、何かイヤなことがあった?」と聞くと「別に・・・」「そう、ちょっと何かあったのかなと思って聞いてみました」すると彼は少しムスッとした表情をしながら「あの~お母さんからは何も言わなくて連れて来られたから・・・えっ、何、ここと思って、こんな所にと思って」「あっそうか、何も言わずに、ここに・・・、そうやね変な所でごめんね」というと、頭をかき、笑みを見せ「いえ、いいんです、すみません」と距離が少し縮まった感じ。
そして学校のことをお聞きしました。

人が生きる意味を真剣に考え、人生にむなしさを覚えたと・・・

「1年以上行ってないのは本当?」「1年以上かどうか、けっこう行っていないです」「どうして?」「う~ん」「学校で何かイヤなことありましたか」「う~ん」「何でも言いよ。もし誰にも話さないでというなら、約束するよ」「う~ん。わかんないんです」「何が?」「なぜ学校に行きたくないのか、よくわからないんです。何かむなしいんです」「何がむなしいの」「学校とか、勉強とか、人生とか、ゲームしててもむなしいし、生きている意味を考えると、意味なんてあるのかなとか、そしたら人間ってあちこちで戦争してて・・・宗教で戦争するかと思ったり、人を殺して正当化する宗教が現実にあるわけど(と、約20分間以上いろいろ語ってくれました) 」「色々考えているんだ。人生とか、世界のこととか、人類のこととか、何かそこで見いだせるものあった?」「いや、まだわからないし、何かわけわからなくなるし」「それだけ○○君は真剣なのかもしれないね。」
彼と話し合いを進めるうちに、けっこうコミュニケーションが取れてきましたので、思い切って学校のことも聞いてみました。「学校はどうしたいですか」「いや、戻るつもりですけど」「えっ!、でも長いこと休んでいるよ」「戻らんとヤバいでしょう。いつも心のどこかでは思っているし」「じゃ、いつごろ戻る?」「それはわからないです。今日先生と話して、よく考えれば高校も行きたいし、勉強もしないと・・・」お母さんには、もう中学にはもどらない、高校へは行かない、勉強もしないと、言ってるとお聞きしています。
「高校受験もあるし、受験勉強もあるし(と軽く追求します)」「そろそろ勉強もしないと・・・普通の高校へ行きたいし・・・」まっとうな返事が返ってきます。「でも今学校へ戻るのは気分的にしんどいから、もう少し時間をおきたい。でも最低。公立の○○高校へは行きたい」と具体的になってきました。顔つきも何か最初と全然違います。

催眠を受けて気分も身体とすっきりさわやかに。7回の催眠で完全復学!

そして気分転換に催眠受けてみますかと問うと「う~ん、ちょっとこわいかな」「小学生の女の子も受けているよ。終った後は信じられないくらいすっきりしているから、気持ちも良いし、リフレッシュできていると思うし」「え~、う~ん、じゃ~お願いします」と。
友達や学校環境や家庭環境にもどうやら影響なさそうなため、思春期症候群でやや思春期ブルー気味ではと考えました。そして話してみて自分のこともしっかり考えていると判断し、できるだけ「気づき」につながるセラピーを施しました。もちろん自我強化とポジティブセラピーと気づきの3本だてで行ないました。
終った後、「メチャすっきりしました。こんな経験ないです。気持ちいいです」お母さんも部屋に戻って来られて、息子さんの顔つきにびっくりされました。「顔つきも顔の色も先ほどとは違います。なんかすっきりした感じで・・・」息子さんもお母さんに「気持ち良かった」と。
催眠を受けながら、学校の行事に参加して徐々にクラスになじんでいき、1学期の終業式の前から、完全復学。7回の催眠療法を施しました。

 

★中学1年GG君の場合/不登校のきっかけは。軽い親への甘えから始まった!seinen

クラスでも明るい、友達の多いのに、なぜ!?

中学1年のGG君が両親とやって来られました。ジャニーズ系の可愛しさと、イケメンらしさを漂わせています。不登校が約4ヶ月続いているとのことで、学校でイヤのことがあったのか、それもハッキリしないとのことです。担任によると、クラスでも明るいし友達もいるし、いじめられるタイプではなく、そんな様子は全然見られないとの返事。
休みだしてから1ヶ月くらいは、夕方友達と遊んだりしていたが、今では全然連絡も取り合っていないし、外へも出ない、外で遊ぶのが好きで今は出られないのか、ちょっと出たい思いが強く出ているとお母さん。
他の施設ではカウンセリングとかゲームとかをして、遊んだそうですが、親から見ればもうひとつしっくりいかなかった。

外で遊びたいけど、今は近所の目が・・・

そしてお子様と二人だけで面談をしました。よくしゃべる子、明るい子、冗談が好きな子というのが印象的で、一般的な不登校の大人しいお子様のイメージとは少し違います。本人曰く、学校で友達と遊びたい、外で遊びたいけど、今は外へ出れないと言います。

催眠で外で遊びたい欲求を、まず高めさせることから。

合計10回の催眠で完全復学しました。来所から2ヶ月半の行程でした。
その経緯を簡単に紹介したいと思います。まずは外へ出たいという心の欲求を高めさせ、徐々に学校に気持ちを向かわせることを考えます。

催眠10回の行程をご紹介。復学へと向かわせてものは何!?

1回目の催眠で、外で遊びたいけど外で遊ぶと、友達と会うのではと考えると外へ出れないという彼の言葉から、外で出て遊ぶんでいる自分を頭に映し出します。「友達とサッカーしている。楽しいです。外で遊ぶと気持ちがいい」と語ります。外で遊ぶ意欲に応えるため、お父さんに朝早くキャッチボールを提案しました。そして実践していただきました。

徐々に教室へ向かわせる。違和感もなく受け入れる

2回目の催眠で、頭の中で朝、誰もいない時に学校へ行って見ようというと、行きたくないと返事。でも行った自分の姿見てもらいました。すると全然恐くなかったので「別に行ってもいいです」という言い出す。お父さんにキャッチボールのかたわら早朝の学校へ。
3回目の催眠で、今度は反対に夜、学校へ行ってみよう。ということで夜、学校へ。一度夕方に行くが友達が遊んでいたため、逃げるようにして帰る。

突然カウンセラーに不登校の本当の原因を語りだす。

4回目の催眠で、夕方遅く行き、自分の教室に入り、席に座ることを提案し、これも実践。
5回目の催眠を受けるときカウンセリングの際に彼が不登校になるきっかけを話してくれました。その話しとは「朝、何となくお母さんに甘えたくなり、学校へ行くのイヤヤと口に出すと涙もいっぱい出て来て、そこでさらにお母さんに思い切りむしゃぶりつき、泣きじゃくった」しかし本人はほんの甘えるつもりでだったので、なぜ自分がそういう態度に出たか、なぜ涙がでたのかわからない、今だに不思議とのこと。
そこでお母さんは「じゃー今日は学校休みなさい」と言ったので、心の中では舌を出し「ヤッター」と思ったそうです。それを彼は約2週間位続けるのですが、さて明日は学校へ行こうと思っても、次の日の朝になると、行きづらい気持ちが強くなり、それが積もり積もって本当に行けなくなってしまったのが、彼から出た言葉でした。だからあの時の行為はとても後悔していると言います。

回数を重ねるごとに、ステップアップ。また彼自身の戻りたい気持ちも強く作用していると実感!

6回目から、昼から別室登校を開始し、友人とも遊びだすが、まだどこかにわだかまりを感じるとのこと。
8回目から、昼から教室に入る。友達との関係も問題なく、放課後元のように遊べるようになる。
9回目、朝、友達が迎えにくるようになり、一緒に行きだし完全復学を果たす。
10回目の催眠では、自分の未来から「よくがんばった」との言葉をもらい「もう大丈夫」と彼は返事を返した。
外で遊びたい、学校で友達と遊びたい、という彼の心の中の欲求を高めることで、復学に結びつけることが出来ました。
完全復学できて良かったです。

 

 

★中学3年HHさんの場合/自分のすべてがきらい、他人の目が気になるjc2

背が高く、現代風のすっきりした青年が、お母さんと一緒に来所。聞くと中学3年。やや細身だけれど、顔つきもしっかりしています。多くのお子様は不機嫌な顔付きで入ってきますが・・・お母さんによると、2年生の正月明けから休みだし、3年生になってからほとんど学校へ行かず、休んでいる状態が2ヶ月半続いているとのことです。本人とお母さんとカウンセラーの3人で話している時も、嫌がる雰囲気はなく、お母さんの話しがちょっと違う時には「そこ違う、こうやった」とか自分の意見を述べます。しっかりしているという印象も持ちました。近くのメンタルクリックに通院しているけれど、薬だけもらって診察も2分位で終るため、お母さんがホームページを見て当センターに来られました。

自分の容姿が大嫌いになり、人前に出たくない

そしてGG君と二人だけで面談しました。
今は学校へ全然いっていないのかの質問に、ゴールデンウイークの連休前から行っていないとのこと。
「どうして、学校に行っていないの?学校はきらいですか?」
「学校はそないにイヤじゃないけど、他人に自分の姿や顔が見られるのがイヤだから」
「学校休んでいるから、イヤなの?」
「それもあるけど、最近自分の顔が大きらいになってきて、この顔をさらして歩きたくない方が強い」
「近所がイヤなの?」「近所も、学校も、街の中もイヤです」
「じゃー顔のどんなとこがイヤなの?」
「おでこの狭い所や。ややたれ目、まゆげが薄い、ハナも大きい、下唇が厚い、鼻から耳までがロング、髪が硬いからヘアスタイルがなかなか決まらない、背ももうちょっとほしいし、などなどなどなど」色々出てきました。
「そうなんだ自分への悩みがたくさんあるんだね」
「だからこんな顔や姿を、人前にさらしたくない、見せたくもないんです。そう考えるとだんだん電車に乗っていても見られていると思うと、なぜかたまらなくなります。」
「たまらなくなる状態って、どんな状態」
「その場から逃げ出したい気持ちが強くなってきます」
「動悸とか、汗とかは出ますか?」
「う〜ん、微妙かな。ちょこっと出ることはあると思います」
「お医者さんに言いましたか」
「言ってないです」
「じゃー休みの日は家にいるの?」
「いいえ、クラスの友達と遊びに行きます」
「その時は、どう、見られてるとかというのは大丈夫?」
「大丈夫です。土曜日はほとんど友達の家に泊まっています」
「自分の身体の中や性格で好きなところはありますか?」
「ないです。自分のすべてが嫌いって感じですかね」
「でも背が高いよ、180センチくらいかな、スラッとしてるよ」
「背が高くでも、なんかヒョロヒョロで、スポーツも嫌いだし・・」
「自分の顔や容姿に自信がないんだね。(自意識過剰と醜形恐怖症の傾向がみられたので)今度お医者さんに言ったらそのことをしっかり伝えてくださいね。」
そして高校は、どうするのと問うと、やっぱり行きたいけど、何かいっても自信ないし、少し勉強も遅れているし、今は高校は考えたくないとのことでした。

本当は高校へ行きたい気持ちが強いため、それを支援する催眠をインプット

そして彼と二人だけの空間で催眠を行ないました。(お母さんと同室を息子さんが拒否されました。男のお子さんには多いです)
結構、催眠に深く入り、深度レベルは高いものがありました。
そしてどんどん自我強化を図っていきます。そして2年後の自分をイメージすると高校生になった自分が現れてきました。すると彼は「良かった〜」とひとこと。そして未来の自分から「きっとできるから頑張れ、いま受験勉強すればまだ間に合う」というメッセージをもらうことができました。
催眠療法が終って、また良かった〜とひとこと。
自分に少しは自信できたかなとの問いに、
「はい、何かとてもすっきりして、やる気がわいてきました。学校もそろそろ行かなきゃヤバいし、行きたい高校もあるし、友達とも約束しているし・・・戻りなきゃと思っていたので良かったです」とのこと。
彼は基本的に1回の催眠で気づきが持てましたが。戻るまで1ヶ月かかりました。やはり友達や近所の目が気になるとのことでしたが。合計4回目の催眠で、その障害をどんどん低くしていくことに力を入れました。3年生1学期の前に、完全復学を果たしてケースです。

 

★中学3年IIさんの場合/丸1年間、ゲーム三昧で完全不登校

 

催眠を受けさせたいが、あやしいのではと悩んだ末に当所に

中学3年生のII君がやって来られました。色も白く、身体も細く、うつ むき加減です。お母様とメールで何回かやり取りがあり、催眠療法を受けようと決断さ れました。最初メールがあったとき、催眠療法は受けたいけれど、怪しいという思い込みがあり、踏み出せないでいると書かれていましたので、催眠療法の医学 的貢献を紹介するとともに、色々な本が出ていますので、ぜひお読みくださいと、返信しました。

頭痛、吐き気、めまい、腹痛の四重奏で起立性調節障害と診断。

II君は小学生の時から休む日が多く、しかし休ん でも2日くらいで学校へ行っていたとのこと。中学1年の夏休み明けから休みが始まりだし、1年の終わりまで、数えるほどしか行かず、今はほぼ丸1年完全に 不登校状態です。毎朝、頭痛、吐き気、めまい、腹痛のいずれかの症状を起こし、昼近くまで寝て、後は夜遅くまでゲームで過ごし、ひどい時には、明け方近くまでしているとのことです。
お母さんには暴力を振るいませんが、ババァとか死ねとか、暴言ははくとのことです。

学校の話をすると、すぐはぐらかすII君

朝の症状で、多いのが頭痛、吐き気で、昼からは元気。しかし学校や進学の話をすると、めまいがする、腹が痛いとか言ってはぐらかしているとのこと。
小 児科はもとより心療内科、脳外科、思春期外来で診察を受けても異常はなく、起立性調節障害と診断されています。
現在は不登校専門の支援施設には行って入るが、先 生とゲームの時は楽しそうにしていても、いざ登校の話になると、打って変わって固まったり何も語らない状態になるそうです。そして当センターに問合せがありました。
二人だけで面談を開始しましたが、目をまったく合わそうとしません。先生の方を見てといってもチラット見るくらいですぐ視線をハズします。
「朝の調子はどうですか」「・・・えええっとしんどいです」と小さな声で答える。「今日の朝はいかがでしたか」「ちょっとしんどかったです」「じゃーここへ来るときはいかがでしたか?」「そんなに問題はなかったです」
「学 校休んでいるけど、どう?」「しんどいから行けないです」「毎日ですか」「毎日しんどいです」そして朝の状態と昼から夜にかけての話しをしました。「昼か らはどうしてますか」「ゲーム」「ゲームの時はしんどい?」「しんどいです」「朝と比べてはどうですか」「ちょっとはましかな」「夜もゲームしているとお 母さんから聞いたけど」「はい、でもあんまりしていない」お母様の話しでは、ゲームは夜も含めて毎日とのこと。ゲームの話しを少しばかりしました。

学校は行かなくてはと思うけど・・・

そして学校の話をしました。一転して気が重く感じが伝わる。
「学校はどう考えているの」
「行かないと・・・」
「どうしようか、何でもいいから言ってみて」
「うーん、行かなくてはと思うけど、友達もいないし、行っても変な目で見られそうで・・・」
「今、中3だけど、高校は?」
「このままじゃ~・・・・だめですよね

催眠で自分の方向を見いだし「気づき」を持つ!

そして催眠療法へと導きました。
II 君は催眠との相性が良いのか1回めでかなり深く催眠に入り込みます。今自分がどういう状態にいるのか、なっているのかをしっかりと自分の力と意識で確認す ることができました。これはカウンセラーが言うのではなく、自分の力で確認することが一番大事なのです。そして自分の今置かれている立場を認識し、勉強、 高校、大学、将来、などをひとつひとつをどうすべきか、どうしたいかを見つめ、はっきりと自分の考え方を引き出しました。
つまりII君は自分の力で「気づき」を持ったと言うことです。これが大事なのです。
そ して10日後お母様からお電話をいただきました。「あの日を境に、少しですが確かに変わってきました。」との返事。他の不登校支援施設と合わせながら合計 3回の催眠を施療しましたが、それ以降の継続はなく、経過がわかりませんでしたが、お母様からなんとか私立高校に入りましたと連絡をいただきました。

 

★中学1年生のJJ君の場合/休み過ぎ、行きそびれてしまうjc3

 

人見知りという割には、カウンセラーとの会話に溶け込む

中学1年生のJJ君、13才。しかし身長は175センチありとても13才には見えません。
二人だけで面談しますというと。非常に人見知りで無理だと思います。とのお母さんの言葉。「とりあえず二人だけにして下さい」とお願いし、面談を始めました。
最初は、うわっ二人だけでイヤだなぁ、なんで話さなあかんの、二人だけやったら息がつまりそう、などなど、人見知りの割には、いろいろと前置きの多い面白そうなお子さんです。
でもすぐに話しに溶け込んで来て、不登校になったきっかけや、今の毎日の家での過ごし方、平日や休みの日の状態など、色々とお聞きすることができました。

不登校のきっかけはインフルエンザから

今、不登校期間は約2ヶ月で、それまではときどき3〜4日休むことがあっても2ヶ月も休むことはなかったとのこと。きっかけはインフルエンザで、本人曰く1週間くらいで戻るつもりでいたが、もう1週間休もうと決めて、身体がしんどいと親にウソを言って、合計2週間休む。そして明日から行こうと思ったとたん、なぜか急に“友達から何かズルヤスミしたやろとか言われるのではないか、また変な目で見られるのではないか”と考えだし、そうすると学校へ行くのが恐くなりだし、行けなくなってきた、と言います。そして2ヶ月も休んだ今、本人は「1週間休んだとき・・・あの時行ってれば良かった」と言うのです。

気づきを得て、約3ヶ月で復学へ。

カウンセラーが「そうだね。あの時行っていれば良かったね。じゃーどうしたい?」と問うと「そりゃー戻りたい」と答えます。
「答えは出ているんだ?」と質問すると「出ているけど今は無理無理、行けない」との答え。
そこで心をリラックスさせようかと話し催眠へと導きました。
催眠と非常に相性が良いのか、ぐんぐん深い状態に導くことができました。
自我強化と前向きな心、ポジティブストーリーなど、心を前向きに明るくするスプリクとを潜在意識にどんどんインプット。インプットするたびにセラピストに対して素直にうなづきます。
催眠シナリオにある自分の未来を真剣に考えるコーナーで、JJ君は「あっ、やっぱり学校に行かんといけない」と声に出し、自分の心の中に気づきを持った様子。
そして仕上げに心にたまっていたストレスを取り除くと「めちゃ気持ち良かった」との声。
気づきを得てから都合7回、約3ヶ月の催眠療法で復学へと導きました。

 

★中学1年のKKさん/行かない理由は、お母さんを困らせたいからfutouko1

家で暴言、暴力、明るい外面との大きなギャップは、どこから・・・

中学1年生の女のお子さんがやって来ました。明るく元気でシャキシャキしています。お顔もチャーミングでアイドルになっても十分活躍できるのではと、思わせる可愛さです。
事 前にお母さんとお会いして相談を受けていました。不登校になって約半年、月に1回から2回位、思いついたように保健室登校。行かない日は、昼まで寝てその 後はゲーム、機嫌が悪いと悪態をつく、暴れる、物を投げつける、ひどい時は、ベッドの梯子を外して投げるなどなど、話しを聞いただけで、ちょっとコワモテの相当な猛者をイ メージしていただけに、大きなギャップを感じました。

ママは妹ばかりを可愛がる。私にはとてもキビシイのに。

不登校以前については親子ゲンカはしてたが暴力行為はなかったとのこと。勉強も良く出来ていたとか。
そして二人だけ で面談を開始しました。「学校は行かない、行きたくない、もう決めている」というのです。学校でイジメや先生とも問題はなかったと言います。「じゃ、なぜ 行かないの」と問うと「それが、わからない、あえて言うなら行きたくないから、としか言えない」との答え。友達と会いたくないの?の質問に、時々会ってカラオケにも行っているからそれで十分。学校にこれっという原因がなくて、学校に行かないというケースは、結構あるのです。
色々話していくと、学校では なく、何か別の問題があると思い、家の中でイヤなことある?と質問すると「ママは学校のことで、うるさいし、妹には優しいのに、わたしにはキビシイことば かり言う」そして後はママと妹がいかに仲良しか、いかに可愛がっているか、いかにわたしが嫌われているかを話すのです。「何かあると、妹を見習いなさいば かり言う」そして「ママは妹の独占状態」という言葉もでできました。でも妹との仲は悪くないとのこと。妹は小学3年生です。

心の奥底には、本人も気づかない『ママの目を自分の方に向けさせる手段』としての不登校。

『はっはぁ〜ん、なるほど・・・』つもりお母さんが妹ばかりの方を向いているために、こちらを向かせるための方策として、不登校になっていると考えました。(この見解はあくまでも心の真相部分で本人は別に、意識していません)。

カウンセリングが終ってもお母さんに聞きました。甘えてくることはありますか。と問うと「そうなんです。抱っことか、首にまつわりついたりとか、夜毎日私の布団に入って来たりとか。妹も入ってくるので・・・もうおねぇーちゃんだから、自分のベッドで寝なさいと言っているのですが・・・」
そこでお母さんには、「妹さんとお母さんの取り合いで、お母さんが妹さんの方ばかりを向いているため、不登校はその焼きもちの実力行使と思います」と伝え、「娘さんとの二人だけの時間を多く取りましょう。週に1回くらいファミレスのスイーツなどを食べてたわいのない話しをいっぱいしましょう」とアドバイスしました。そして実践していただきました。

催眠5回の施療で、完全復学。

お母様は、5回の催眠を希望されました。その間、お子様との二人だけの時間をこしらえてくださいとお願いをしました。
催眠のスクリプトとしては、シンプルに自我強化のみを行ないました。やはり教室に入るのは、抵抗があるみたいで、保健室登校と授業終了後の教室入室を促しました。割と本人の明るい性格とキャラがあるため、数回のくりかえしでほぼ回復。催眠の5回目では、もう完全に行っていますとの。
いじめや、起立性調節障害がなかったために、友達、クラスなどのわだかまりや、朝の恐怖心もなかったため、早い復学となった例です。

 

★高校1年生のLLさんの場合/友達との関係のこじれが思春期ブルーを呼び起こすjc1

母との事前面談とのギャップに驚き

背も高く健康そうで、スポーツも大好きという高校1年のLLさん。カウンセリングルームに入って来ても、ものおじせず、カウンセラーと目をしっかりと合わせるなどとても学校へ行けてない不登校児童のイメージはありません。最初のお母さんとの三者面談でも、自分の考えをしっかりと持っているような話し振りで、最初お母さんと電話で話した時に描いていた娘さんとはかなりの開きを感じました。

このままでは通信制転校も視野に・・・

お母さんによると友達関係のこじれからグループから無視されるようになり、またグループのリーダー格の女生徒が悪口をいいふらしていて、教室内でどんどん自分の立場がなくなり、学校へ行けなくなってしまったとのこと。中学時代は学年でもトップクラスの成績で、高校は県内でも有数の学校に入学したとのこと。せっかく進学校に入れたのに、このままでは留年やもしくは通信制への転校も視野にいれなくてはならなくなってくるとのこと。夏休み以降、休みがちになっています。
そしてお母さんには席をはずして二人だけの面談を開始しました。

母親が誤解して担任に誤った情報を伝え、行きづらさを助長。

「中学生のとき高校受験頑張ったんだね」
「自分でも頑張ったと思ってました。入学できてうれしかった」
「そう、うれしかったんだね。でも先ほどお母さんが言っていたけど入って色々あったんだ」
「なにか自分がむなしくなってしまって、今まで頑張って来た理由も見いだせない、今、そんな気分なんです」
「それは友達との関係で?」
「母に色々いったら、変な風にとらえて、というか、めちゃ誤解して、その誤解した内容を、まさか先生にまで話しをしに行く何て考えもつかなくって、よけいに行きづらくなってしまって・・・母には余計なことをなんで先生に言いに行ったのって文句を言ったら、あんたのためじゃないの、とか・・・母はあんな性格だから、止まらなくて・・・友達にも電話してあやまったんだけれど、でも行きづらいのは行きづらくて・・・」
「お母さんがカウンセラーの私に話していた内容は・・・ちょっと違うのかな」
「ちょっとどころではないです」
「へぇー、ちょっとびっくりしました。何がどうなのか良ければ話してくれる」
と言うと色々とその経緯を話してくれました。

他の友達は遊んでも成績はトップクラス。そのギャップに驚き。

LLさんは顔だちも目立つほうで、入学してすぐに友達もできる。グループは彼女も入れて四人で、みんな成績はトップクラス。でも違うところは、グループの友達はどちらかというと、化粧もするし、遊びもする。そして勉強よりもむしろ遊び優先で、ついつい自分も誘われてカラオケやファミリレスに付いて行ったというのです。当然勉強も満足に出来ないし、塾にも時々休みがちになってしまう。でも彼女たちと遊んでいて楽しかったと言います。
ところがいざ中間試験や期末試験の成績をみると、なんと彼女たちは本当にトップクラスで、えっ、なに、これって・・・と衝撃を受けたそうです。LLさんはかろうじて中くらいで、その彼女たちの日頃の行為と成績のギャップにこんなことってあるのと、信じられない思いだったとか。
友達に裏切られたとか、そんな思いはなく、もともと話していて、頭の良さ、回転の速さを感じていたので、納得はそれなりにするものがあったとそうですが・・・。

友人との出来の差に、自分の人生意味のないものに思えて来た

それ以後グループの中にいると、勉強では負けるみたいな、何となくコンプレックスみたいなものが出て来たそうです。また中学時代の猛勉強や今の高校や勉強も含めて、自分の人生や生きることや、大人になって結婚して、子供を産んで育ててなどなど・・・自分の人生が急に意味のないものに思えて来てそれがだんだんと強くなって来たと言うか・・・それが学校へ行かなくなって来た一番の要因と彼女はいいます。
それをお母さんが、被害妄想的にとらえて、学校にクレームを言うなど、よけいに行きづらくしているとのことです。
「今の高校はどうしますか?」「もしこのままいけばヤバいです」「転校する?」「う〜ん、できれば今の高校がいいかな。まだ落第まで時間もあるし、その間、考えます」
「友達とはどうですか」と問うと「はい、ときどき遊んでいます」「あっ、そうなの。うまくいっている?」「はい」「会ってて楽しい?」「はい」「友達は心配してくれている」「はい・・・よく考えれば、落ち込んでいる私に声かけてくれるし、成績が悪くても、気持ちよく遊んでくれるし・・・やっぱりありがたいかな、って今思います」

催眠でストレスとコンプレックスを大きく軽減。自信をインプット

LLさんには、自我強化と未来ビジョンで、潜在意識に自信をインプット。5回の催眠で完全復学を果たしました。
勉強できる自分に自信があって高校に入学。グループの女の子はよく遊ぶのにも関わらず、彼女たちの成績はトップクラスと言うことですっかり自信をなくしてしまって不登校に。そして思春期によく見られる、ブルーな状態にもなっていたというケースです。
ストレス削除の催眠は、彼女にはとても有効で、すっきりしたとともに悪い考えも消えたと述べていました。
カウンセラーとして不登校にも、色々なケースがある。という改めて学ばされた一つの例でした。

 

★中学2年AKさんの場合/心の奥底でお母さんへの思いが歪んだ形に。

不登校になった理由がわからない。

初めて顔を見たとき、不登校中のせいか、顔色もすっきりせず、うつむきかげんで、ちょっと印象がうすい感じにみえました。
しかし背も高く、見方によったら高校生大学生にも見えるお嬢さんです。不登校になって半年、大学生の兄と1才になったばかりの妹がいるとのこと。お母さんは「なぜ不登校になったのかまったくわかりません。クラブも楽しくしていたし、友達も多いし、成績も上位の方で、先生もそして友達からも「全然理由が見当たらない」とのことでした。

学校の行事には必ず参加

よくお聞きすると、学校のイベントには参加するとのことで、その時は普通に帰ってくるのですが、翌朝になると「しんどい、気分悪い、あたま痛い、おなか痛いなどなど」色々な症状を呈します。
医者に行くと、起立性調節障害との診断。学校でのスクールカウンセラーは思春期ならではの問題かもとのこと。確かにスポーツも一生懸命にし、友達付き合いも多く、勉強も頑張るお嬢さんとのことで、よくある「燃え尽き症候群」的な症状を呈しているようでした。
お母さんに席をはずしていただき、2人だけで面談しだすと、問いかけには余分な内容をはさまずシンプルに「答えだけ」を答えてくれます。そこで話しを引き出すための語り口調での問いかけに切り替えていきました。

13年ぶりに赤ちゃんが・・・妹だけが子供ではない、私も子供のひとりよ!

「学校の先生のどんなところが好き」「友達とはどこであってどんな話しをしてるの」と問いかけると、最初はぼつぼつだったのにどんどん質問の輪を広げて行くと
徐々に徐々に、彼女が持っていた天性の明るさのような性格が垣間見えてきます。
学校のこと、友達のこと、好きなアイドルのことなどなど。いろいろなことを話しだしてくれました。
そしてお母さんはと聞くと「大好きだけれど、今妹のことで色々手伝わされるし、肝心な勉強の事とか進学の事とかも、何か中途半端な返事しかしないし、妹のことで大変なことはわかるけど、たまには真剣に話しを聞いてと思う」「それお母さんに言った」「はい、言ったけど、ちゃんと聞いてるっていうだけで、本当は聞いていません」「じゃー、ちよっとさみしいね。」「まっ、あきらめてますけど」「13年ぶりの赤ちゃんだから、お母さんも大変そうですか」「おっぱいもあげたり、おむつも替えたり、離乳食つくったりと・・」「妹は可愛いでしょうね」「そりゃー、イヤなこともふっとんじゃうくらい可愛い」「お母さんに感謝ですか?」「それはもちろんですけれど・・・」「ですけれど・・・子供は妹だけじゃないと言いたいですよね・・・」

お母さんも“ひょっとして妹に対する焼きもちかも”と心のどこかで。

子供との面談後、お母さんと面談しました。
「○○ちゃんは、ここ何ヶ月かで変わった様子はありますか」と問うと「ベタ、ベタと引っ付いてくるし、私のベッドに入ってくることも多くなったと思います。そして赤ちゃんみたいに、なでなでして、と言ってくることも・・・ベタベタと引っ付いてくることも、ベッドに入ってくることもたまにありましたけど、最近は多いので、ひょっとして妹に焼きもちみたいを起こして幼児返りなのかなっと思ったりしています」
そこで私は顕在意識ではもうひとつ気づいていないかも知れませんが、潜在意識の奥底では、妹に対するライバル心まではいかないですが、やっかみ症状が出て、お母さんちょっとこっち向いてよという意識が、強く出て、学校に行かないことで、お母さんに注目してもらおうと、そこで不登校に訴えていると思います。と私の所見を述べました。
「やはりそうですか。そうかとは思いましたが」とお母さんも気づかれていましたが、中学2年にもなって、まさかそれはないだろうとも思われていたとか。
なんだかんだ言っても、子供にとっては、やはりお母さんはお母さんなのです。

意外と多い、このような事例。珍しいことではないのです。

じつは当センターでは、そのような同じケースの事例がやはり何件あります。
小学3年生の女の子、中学1年生の男の子、高校1年生の女の子、小学2年生の女の子などなど、いずれも赤ちゃんが出来て、すぐ不登校になったケースです。
でも多くのお子さんは数ヶ月から1年以内に復学されるケースが多いのです。ちょっとしたジェラシー症候群なのですね。
AKさんには、催眠状態で自我強化、妹は可愛い、お母さんの家での苦労、心と意識の成長を促すスクリプト(催眠のシナリオ)、あえて復学へのスクリプトなどなどを彼女の潜在意識にインプットしました。
初回の終った後は、2時間前に来た時とは顔つきも顔色もまったく別人のように明るくなり、お母様もびっくりされていました。
約3回の催眠で完全復学されたケースです。

 

★中学3年生MM君の場合/将来に不安を感じるからゲームでしか紛らわせない自分がいる。jc4

お母様が催眠に興味を持ち来所。来所決断までに1年以上が・・・

中学3年生のMM君がやって来られました。身体を見ると細く、そして薄く、ひょっとして栄養失調かなと思いました。食が小さい時から、細く、その少食には、 お母様の話を聞いても、ちょっと信じられないほどでした。三人でのはなしのときは、ずーっとうつむき加減です。お母様は以前から催眠療法に興味があったも のの、ズルズルと先延ばしになったそうです。そしてテレビでやっていた催眠療法を見て受けようと決断されました。
AB君は約1年半くらい前から不 登校が始まり現在丸1年間、完全に不登校状態です。平日の毎朝、頭痛、吐き気、めまい、頻尿、腹痛などなど、いずれかの症状を起こし、昼ごろまで寝て、そ の後は夜遅くまでゲームで過ごし、ときどき明け方近くまでゲームをしているとのことです。

不登校支援施設でゲームをしてコミュニケーションUPを図るが?

とりあえずは朝は、一旦は起きて食卓に来るそうですが、 牛乳半分とトーストを半分くらい位食べるそうです。朝の症状で、多いのが頭痛、吐き気で、昼からはだいたい元気だとか。しかし学校や進学の話を少しでもす ると、顔が一瞬にして変わり、めまいがする、腹が痛いとか言ってはぐらかしているとのこと。
最初は、近くの小児科や心療内科、脳外科を診断、大学 病院などの思春期外来で診察を受けても異常はなく、起立性調節障害と診断されています。そして今は不登校専門の支援施設でカウンセリングを受けているとの こと。そこは、ゲームで子供と信頼関係を築いて、登校へアプローチして行く施設として、全国的施設と有名なところです。しかし先生とゲームをしている時は メチャ楽しそうにしていても、いざ学校の話、高校の話、登校の話になると、急に固まり何も語らない状態になるそうです。

学校の話を絶対拒否。学校以外ならOK!

そこで二人だけの面談を開 始しました。「これからのこと、話しない?」と問うと「学校の話はしたくない。くさるほどママが話かけてくるから、どうしてもなら帰ります」とのこと。「別に学 校のこと以外でも全然いいよ。今やりたいこととか、これからのことを考えて楽しいこととか、目標とか、何かありますか」「プロのゲーマーになりたい」「プ ロのゲーマーって、何なのかな」「日本ではないけど、韓国とかアメリカであるゲームのプロで、賞金も億とかすごいんです。」とゲームやゲーマーの話をすると目がキラキラと輝いてきます。
これは一種のコンプレックスです。学校行けてない分、それだけ自分はすごいんだぞと、アピールのようなものと感じました。1回目はプロゲーマーの話しで終ってしまいました。催眠療法も当然無理と判断しましたが、お母さんにすればちょっとガッカリした様子でした。

3回目の面談で学校の話を自然と受け入れる

1週間おいて2回目の来所。この日もゲームの話ししかしません。私も信頼関係を築くため少し合わせることが大切と考え、彼の話しを色々とそして一生懸命聞きました。
それから2週間目の3回目の面談。学校の話をすると自分の悩みを話しだしました。かたくなに学校の話を拒否していたのにです。まずクラスの友達にゲームメイトはいないの? その子とゲームはどちらかうまいかを問いました。すーっと自然に会話に入って来ました。今もたまにメールしていることや、高校受験もどうするかと心配のメールがあるということもわかりました。

悩みに悩んでいる・・・自分の将来が心配と激白。

高校のことを聞くと行きたいとのこと。できれば普通の高校に。でもあきらめの心も強いものが・・・「普通に行けるものなら学校へ行きたいけど、休み過ぎてるし、学校の勉強も全然してねぇし、やっぱりヤバいですよね。」と、一気に本人から本題に入り込んできました。「後は君次第かもね。正直がんばったら今からでも普通の高校へ行けるし、また普通の高校が無理でも、高校卒業資格が得るためには色々方法はあるよ。私でもいいし、学校の先生でもいいよ。きっと相談に乗ってくれると思うよ」「でも行ってねぇからなぁ」とため口で話すようになってきました。

催眠療法を受け、気持ちが前向きに、そして食欲も増加。

3回目のカウンセリングから催眠療法を施療しました。自我強化と食欲増進をメインに行いました。やはり催眠でネガティブな意識がかなり潜在意識に黒い澱のような存在になっていて、本人もそれを確認し、やっぱり何とかして下さいと私にアピール。1回目の催眠が終了すると、身体が軽くなったし、スキッとさわやかな気持ちになったとのこと。お母さんによるとその日途中でイタリアンレストランに入り、なんとスパゲティとピザをコロッと食べびっくりしましたと連絡がありました。

カウンセリング12回、催眠療法8回で、徐々に復学し、私立の高校へ。

びっくりしたのは、普通不登校児のパターンは、途中でカウンセリングも催眠療法も拒否するケースが多いのです。つまり来なくなること。カウンセラーの先生のそれが悩みの種です。でもMM君の場合、「先生のところで催眠を受けると、メチャ気持ち良くなるから・・・」という理由で、もちろんその他の理由もあるのでしょうけれど、やってきました。
みるみるやる気度も肉体疲労度も回復して来ているのが、検査機器で確認できました。
そして学校の先生の後押しもあり遠足やイベントなどで出席をはじめ、3年の2学期の後半から完全復学。高校も私立の高校に合格しました。本人曰く「先生に会わなかったらどうなっていたかわからない」と言われたとき、「君の力だよ」と答えました。が私自身素直にとてもうれしかったです。
印象に残るお子様の1人になりそうです。

 

中学2年NNさんの場合 無理難題を言って来る娘に母も限界を感じて・・%e7%a9%ba%e3%81%a8jk%e5%b0%8f

両親と本人と3人で来所されたMMさんのご家族。やや勝ち気そうな顔立ちに、沸いてくるイメージとしては、友達との関係の仲が伺い知れました。お話をお伺いすると中1の冬に、小学校から仲の良かった友達との関係が悪化し、4人で組んでいたグループからはみ出され、他のグループからも構ってもらえず、自分の居場所が学校で無くなり不登校になったとのこと。約半年経ってから転校して学校へ行きたいといいだし、転校してみたものの約3ヶ月で再び不登校に。今中学3年生になっても復学せず、一日中家でゲームかテレビを見ているとのこと。そして学校のことを言うと怒りだすため、今はただ“させたいようにさせている”。最近は「引っ越ししたい。引っ越ししたらそこの学校へ行く」という。いままで心療内科、カウンセラー、思春期外来などへ行くが好転はせず、不登校の状態が続く。

カウンセラーの問いかけも完全拒否、しかし・・・

ふたりだけの面談を始めました。カウンセラーが何をいっても何を問いかけてもぷいとヨコを向いたまま。無反応無表情で壁を向いたままで、かたくなまでに完全拒否の状況。たまにこのような不登校児はいますが、全くの無視はあまり記憶がありません。カウンセラーにあまり良いイメージがないか、良い想い出がないか、どちらかと思いました。それが約20分近く続きました。拒否感の空気を変えるためコーヒーでも一緒に飲もうとして立ち上がったとき、飾っていた犬の写真に手が当たって落ち、カウンセラーが写真に「ごめんね」と言うと、彼女がクスっと笑い「写真にあやまるなんておかしい」と独り言のようにボソッと言う。「15年飼ってた犬やけどこの間亡くなったとこやねん」というと、彼女はエーッと声を出し「ウチの犬もこの間死んだとこで・・・」というなり涙がぼろぼろ出だし・・・「可愛いかってん。さみしい」とようなく女の子らしい一面を見せる。「でも新しい犬飼うねん」と、犬の話しをきっかけに、学校のこと、不登校のこと、友達のことなどなど色々話しを聞けました。30分の面談が90分にも及びました。カウンセラーも腰を据えて聞くことにしました。彼女の場合、性格的にもこれを逃すとチャンスはないと感じたからです。

友達が許せず、自分も意固地に。そして学校での居場所がなくなってしまった。

不登校のきっかけはやはり友達関係で、今だに「あいつは許せへん」という。「うちもあいつも、言いたいこと言う性格やから以前からケンカはしてたけど、こないになるとは思わなかった」とのこと。きっかけはゲームをして、相手がズルをしたため認める認めへんと言い合いになり、それがきっかけで口をきかなくなり、他の友人は相手側に付いて、自分の居場所がはっきりなくなったと感じたと言う。学校は変わったけど、今でもその友達はゆるせないと言う。
かなりの信頼関係が築けて来たので、そのまま催眠セラピーに移行しました。
催眠状態でいろいろ質問してみました。

学校へ行くとプライドが傷つくようで恐い

「お母さんに引っ越ししたら学校へ行くって聞いたけど」と問うと、「なんか引っ越ししたら、1からやり直しできるような気もするし、まわり知らん子ばかりやったら、不登校してたというのもわからないと思うし・・・でも、そんなわがまま聞いてくれるわけないし・・・」「じゃ〜どうしよう」「学校へ行ったらすべて解決するのはわかってるけど・・・今、学校に戻るのは、恐いし、恥ずかしいし、自分のプライドもあるし、今さらなんてという気持ちもあるし・・・プライドがずたずたになるかも知れないと思うと自分の人生が否定されるようで、それこそ恐いし・・・」

引っ越しはお母さんを困らせたかった・・・

「お母さんは大好き?」「びみょー、ママも仕事してるから真剣に話しを聞いてくれないし、もし引っ越ししても学校へ行くかどうかわからへん」「じゃーなぜ、引っ越しって言ったの?」「たぶん困らせたかったかな?」とちらり本音を出してきました。
そして彼女の未来を呼び出してみました。大学生の自分が目の前に出て来たことにビックリしたことと大学生になっていた自分に驚いた様子。
カウンセラーが未来の自分に今の状況を説明してみて、というと素直にわかりましたと返事。そして話しかけている様子が伺えます。「未来の自分から、どうすべきか返事をくれるよ」とカウンセラーが言うと、しばらくして彼女の目から涙があふれて来ました。

催眠後すべては自分が原因、自分が悪かったと“気づく”

催眠が終って「どうだった」と質問をすると「私がすべて悪かった。友達のことも、ケンカしたことも、転校のことも、すべて私が悪かった。」と語りだしました。「じゃーどうしたい」「やり直すしかないですよね。友達にも謝りたいし、先生にも謝りたいし・・・元の学校に戻りたいけど、むつかしいかも・・・」
初回の催眠で、しっかり“気づき”を得て、なにか、すっきりした様子が見てとれました。その後、3回の催眠を行うもなかなか復学の勇気が持てず学校へ行けませんでしたが、1学期の終業式に参加し、2学期からは完全復学。夏休みにはケンカした友達とも仲直りし、今は仲良くしている。不登校期間中は母親に高校は行かないと言っていたが、私立高校に入学。
最初のカウンセリングのとき、もし犬の写真が落ちなければ信頼関係がなかなか築かなかったかもしれないし、1回限りになっていたかもしれない。あきらめていた時、うまくアクシデントが発生したことで、彼女とコミュニケーションが持てたのはラッキーだったと言えます。そして彼女の心からの声が聞けたのも良かったし、最初に会ったイメージも、不登校になって色んな事からの反発の証だったと思います。何がきっかけで胸襟を開いて話しができるのか、またひとつカウンセラーも勉強になった事例です。

 

★中学1年OO君の場合/進学校のレベルの高さに挫折。ゲーム三昧の毎日におちいる。shuchu2

反抗期と自分否定から、ゲームに走る。

ゲーム三昧の男の子がやってきました。関西でも有名な進学校に通う中学1年生です。夏休みに入ってから急に反抗的になったとのこと。2学期に入ってからは1日も登校せず、ずるずる不登校に。不登校期間は約1ヶ月半とのこと。まだ日は浅く、今は大阪の不登校カウンセラーのいる心療内科に通ってはいるが、本人は1回も行かず母親のみカウンセリングを受けている。
両親曰く小学生のときは学年でもトップクラスで、塾でも常に上位にいた。受験勉強も頑張って、念願の中高一貫の学校に合格。しかし優秀な学校は勉強もできる子がほとんどで、1学期の中間試験や期末試験では、まさかクラスの中間以下の結果に、本人も両親も驚いたという。有名進学校のレベルの高さの現実に納得せざるを得なかった。おかしくなったのはそれからで、今まで一生懸命勉強していたが、家ではまったくしなくなった。夏休み中もゲーム三昧で、注意しても言うことを聞かず、夜おそくまで、それこそ朝までしていることも。父親は単身赴任中で月に2回くらい帰ってくるが、今では父親の言葉にも反発する。

医師からは自由にさせましょうとアドバイス

心療内科のカウンセリングでは、そのままゲームをしたいようにさせておきましょう。今は何を言っても無理です。少し自由にさせて様子を見たらいかがですか、とアドバイスをいただく。
しかし親とすれば、進学校だけにレベルは高い上にどんどんどんどん進んで行くため、気が気ではない。そこで当センターに来所された。
現在の様子をお伺いすると、朝はまったく起きようとはしない。起きたらさっさと朝ご飯を食べてゲーム。それが夕方まで続き、晩ご飯を食べてからもずーっとゲームばかりという。父親が帰って来た時、ゲームを取り上げるとあからさまに反抗的になり、自分の部屋で携帯電話のゲームをしている。最近は母親に暴力を振るうと言う。何かをきっかけにすべてが悪い方へ悪い方へ流れて行くイメージだとお母さん。
両親曰く、今日まさか一緒に来るとは思わなかったとのこと。3人一緒に見えられました。

二人だけの面談で色々な考えを把握

さっそく二人だけで面談を開始。自我の目覚め、反抗期、自信喪失などなど、むつかしい年齢だけに、言葉選びも慎重さが大切と思いましたが、意外とざっくばらんな性格。
「ゲーム楽しいですか」「はい」「ずーっとゲームをしてるんだって」「はい」「勉強は?」「しません。もう意味ないし」「なぜ?」「あの〜学校は難しすぎるし、ついていけない、校則も厳しすぎるし、先生のチェックもあり、結構うざい学校」「成績が悪かったの?」「そう、悪過ぎて正直ぼうぜんとしました。あんなに悪い成績、初めてでショックでした。でも、点数はそんなに低くはなかったけど、他の友達はすごく良かった」「そんなに」「はい」「さすがに○○校だね。うわさには聞いていたけれど。でも同じクラスの子は、みんなどう思ったのかな?」「わかりません」「中高一貫校だから、じゃー高校は?」「考えてないです」
その後は「受験に疲れた」「勉強もあきらめた」「学校も行きたくない」「自分のことは、もうどうでもいい」とネガティブな言葉を連発する。

催眠療法で彼の本当の思いを聞き取る

そして催眠療法を施しました。比較的に催眠に入りやすいお子様でした。色々聞き出すことができました。
なぜ学校に行かなくなったのかの質問には「授業のスピードが早過ぎてついていけない」「先生が厳しい」「試験の成績が悪かった」「宿題がメチャ多すぎる。家に帰って遊ぶ暇がない」「小学校の時一生懸命受験勉強した意味がない」「学校に入る前と入った後との差が大きすぎる」との答えが返ってくる。
これからどうしたいの質問には「学校に戻りたいとは思う」「高校もこのままで行きたい」「大学も行きたい」「そろそろ学校に戻ろうとは思う」「週に2〜3日くらいをメドに学校へ戻ろうとは考えている」「ゆっくりゆっくり元に戻して行けたら」「将来は海外で働きたい」とプラス思考の答えが返ってきました。そしてお母さんへの暴力のことを話すと「自分が一番イヤになります。なぜお母さんにあんなことしたんだろうと、いつもいつもお母さんをけったりした後,後悔しているけど、でもまたやってしまう・・・止められないので申し訳ないです」と語る。

ビジュアル催眠で彼の“気づき”を引き出すことに成功

ビジュアル催眠で、未来の自分を映し出すと大学に通っている自分が出てくる。なにしている。医学部に通っています。勉強しています。アメリカの医学部に留学のために一生懸命勉強しています。
そして未来の自分からメッセージをもらう。まずお母さんの暴力について「情けないことをするな」というメッセージ。不登校について「また頑張れるから、ゆっくり進め」。とくにお母さんに付いての話しの時、涙がいっぱい出て来ていました。

合計3回の催眠を施しました。3回目の時、週に2日〜3日は学校に行くようになったと話しをいただきましたが、それ以降は、来所されず、どう学校と向き合ったかは把握しておりません。ただし、母親に対しての暴力は無くなったとのことでした。

 

image5.jpg★小学5年生PPさんの場合/色々な問題行動を起こして両親を心配させる

ゆびしゃぶり、鼻くそなめ、爪噛み、下着拒否、風呂拒否、洗髪拒否・・・

不登校になったのは小学5年の6月中頃からだそうです。本人の下には、5才の弟と1才の妹がいます。
不登校になるまでお子様の変化に何かありましたか、の質問に、 小学1〜2年生のときにゆびしゃぶりがはじまり、小学3年生のときはツメをかみ、4年生のときは下着をはくのをいやがる、5年生になって学校から帰ってパターっと倒れ、何回か救急病院へ運んだ。いろいろ診察していただいたが、結果は問題なしでした。
今何か新たな問題はでできてますかの質問には、鼻くそ食い、下着(パンツ)拒否、風呂拒否、洗髪拒否、手洗い拒否などなど、まるでお母さんを困らせるかのように、次々と色々な問題を起こしています。

色々な病院に相談。お母さんへの強い思いが問題行動に!

心療内科、市立病院、大学病院などなど色々なところで診察を受けるが解消しませんでした。お医者さんからの多くは、母親に対する愛情確認、分離不安、赤ちゃん返りが見られるとのことで、下の二人の弟、妹に対しての焼きもちとお母さんに注目してほしいとの思いが、色々な行動に結びついているというお話でした。
ある心理カウンセラーさんに言わせると病気などの原因がない場合、演技症気味ではないかと言われたとのこと。
不登校とはいえ、今は週に1回から2回の割合で別室登校をしているとのこと。
二人だけで面談しました。「友達はたくさんいそうだね」「3、4人くらい」「よく遊ぶの?」「学校行った時に遊ぶ」「教室で?」「ちがう保健室で」「楽しい?」「はい」「友達は保健室にいる君を見てどう言っている?」「いいなぁって、勉強しなくていいなぁって」「保健室で何しているの?」「本読んだり、漫画書いたりしてます」「漫画好きなの?」「将来の夢は漫画家になること」「すごい、がんばって、有名になってね。そうなったら先生サインほしいなぁ」「まだわかんないよ」

本人曰く、下の弟や妹のために、お母さんの手伝いを頑張っている

「妹、弟とは、仲いいの?」「うん、仲いいいです」「兄弟がたくさんいて、家の中は楽しいですか?」「はい楽しいし、色々遊んだりしています。でもママは大変だから、たまに手伝っています」「どんな手伝い?」「食べさしたり、おむつかえたり、服着せたり」「へぇー、えらいね。ちゃんと面倒見てるんだ」「でも最近は弟の方が、おもらしするようになって、ママが大変。畳の上にもおしっこがこぼれるし」「わぁーお母さん大変ですね」「その分、全然私のことほったらかしです。ほんとです。あれはどこ?、これはどうしたらいい?、とお母さんに聞いても、すぐに怒って自分でしなさい、自分でかんがえなさいって大きな声でどなる」「それでも小さな兄弟のために色々手伝っているって、えらいね」

問題行動のことを聞いてみると、それだけで涙が・・

話してみると、本当にごく普通の女の子で、常識もあり、人の気持ちも察することができる子だと実感。そこで学校のことを聞いてみました。
学校は本人に聞くと週2回ペースで行っているし、塾も行ってる。勉強は今はがんばっていないとのこと。でもやはりちゃんと行きたいけど、やはりママが大変だし・・・。
風呂に入らないことや、下着を替えないことを、聞くと急に下を向いて涙組む。
そこで催眠療法へと移行しました。
まず自分の未来を見ると、なんと小学校の先生になっている自分が出て来たことに驚きます。「えーっ。学校の先生です」「今、黒板の前に立って教えています」未来の自分を見て、元気をもらった。そして肝心な家のことを聞いてみました。そうすると「一番下の妹がうらやしい」というのです。「おっぱいもらったり、ちゅっちゅっとキスしてもらったり、いつもだっこしてもらったり、やさしくしてもらったり・・・うらやましい・・・私にもやさしくしてほしい・・」と号泣しだします。

退行催眠でお母さんがたっぷり可愛がってくれていたことを思い出す。

そこで年齢退行を本人に試しました。そう、1才の時にさかのぼったのです。
「ママが私の顔を見てわらってる。キスしてくれている。だっこしてくれている。うれしい・・・」とまた涙。そうすると急に「ああ、そうだね。お母さんはちゃんと可愛がってくれていたんだ。下が出来たから順番に可愛がってくれていたんだ。わかった」と自分に話すように話しました。「はぁー、わかった」「わかったの?」「はい、わかりました。なにかすっきりしました。お母さんの優しさもわかりました。ありがとうございました」とカウンセラーに語る。
そして1回の催眠で、しっかりと復学。色々な問題も解消し、ごく普通の小学6年生らしい生活をしているとのことで、お母様から感謝の言葉をいただきました。

1回の施療で復学。催眠療法の効果の高さを広く認知されることが使命と実感。

やはり自分の心で納得し、“気づき”を得なければ、上手に解決しないものだと考えます。他の人がいくら当たり前のことを言っても、結局何にもならないのですね。いつも思うことですが、催眠療法はやはり、“気づき”をもたらすのに最も強力な手段だと思います。催眠と言うと一般的にはまだまだ怪しい、いかがわしい、などのイメージがつきまといますが、ひとつひとつ成果を出し、かつ知っていただくことで、不登校児の多くが、改善されることを願っています。

 

中学3年のQQ君の場合 アスペルガー症候群の症状から変人扱いにyjimage-4

自分の物差しでモノを見て、自分の物差しで判断

当センターにはアスペルガー症候群つまり自閉症スペクトラムのお子様も多く来られます。大学病院で診断を受けた、街の心理カウンセラーのところで簡易テストを受けたなどさまざまなお子様が来所されます。これほどの多くのアスペルガーのお子様を見ていると、色々なケース、様々なケースがあります。
あいまいな事が許されない子、正義感が強すぎる子、大好きなことには極端になる子、自分の思い通りにならないとガマンが出来ない子、言って良いことと悪いことの区別が出来ない子、鉄道の時間が大好きな子、異常に数学が好きな子、などなど、本当にいろいろな症状や行動、言動があります。

一般社会では変わり者で見られてしまう人も多い

しかし私たちのカウンセラーの間では、アスペルガーのお子様はこのような子と理解をしていても、一般社会の間では、なかなか理解されていないのです。ですから「変わった人間」「怒りっぽい人間」「理屈ばっかり言う人間」「付き合いづらい人間」「何を考えているかわからない人間」などなど、そのような目でしか見られていない子供たちが多いのです。
そんなアスペルガーの一人PP君がお母さんと一緒に来所されました。中1年の時にある趣味のことで少し偏質的な面があるとい考え、病院で検査を受けたところ。アスペルガー症候群と診断をされたとのこと。
お母さんの話しでは、それぞれの担任の先生にはアスペルガーであることを一応お教えし中1〜中2まではそれなりに学校へ行っていたのですが、中3になって6月頃「友達が変な目で見る」「無視をする」などの理由から不登校に。先生に相談すると中3年になりクラス替えを行ったところ、初めて接する何人かの友達とのコミュニケーションがうまくいかなくなったとのこと。中1、中2のころは彼はそんな人間とみんな理解してくれていたのが、クラス替えで理解してくれていた子が少なくなったことが原因とのお話で、先生がクラスの皆に話してくれたにもかかわらず、全然好転しなかった。そしてイベントのある日には行くという、いわゆる五月雨不登校になってしまったというのです。
アスペルガー症候群は脳回路自体の問題で、薬なのでは改善しませんが、年を取り、社会生活を経験する、あるいは人間との関わりを学習することで、改善をしていく人もいるのも事実です。
そこで彼と二人だけで面談しました。

自分の考えに合わないと、すぐ怒りだす。

「今のクラスの子とは、どう?」「あいつらあかん、脳無しや」「どうして」「ボクの言葉をまったく理解しようとしないし、バカにするし、決めたことも守らない、先生の言葉も守らない」「それで・・」「頭に来て、瞬間的に怒鳴っています。守れとか、どうして守ろうとしないのか」「そうなんや、ちゃんとやらないんだね。だから怒ってしまう」「そして僕の言葉をまねたりするから、よけいに腹が立って。ちゃんとやろうと言うてもやろうともしない」そして友達がいかにええかげんな人間かを言い募ります。
そして催眠療法を施しました。当センターではアスペルガー症候群に催眠は有効とは考えていませんが、社会生活を送って行く上で、相手の立場にたって考えると言う意識を持たすことを主眼に行っています。

催眠療法で相手の立場に。相手の気持ちを理解。

PP君に「教室のやりとりを思い出してみよう」と中3の当所の頃からを描き出してもらいました。そしてそのセリフを再現してもらいました。催眠上ですから彼にとっては半分現実に起きているかのようです。正直、問題言動がありすぎると感じました。そして彼に聞くと「別に間違ったことを言っていないし、相手を傷つけてもいない」と言うのです。
そこで、催眠療法が最も得意とする人間交代をしてみました。つまり相手の立場になるのです。催眠上は100%相手そのものになっています。
目の前にPP君がいて相手側になった自分と話し合っているのです。そうするとPPはひどいことを言っている。変な奴と相手側の人間の言葉を投げかけています。そこで元の自分に戻って、聞いてみました。「あっ、そうだったんだ。友達や数人にぼくヒドいことを言っていました。気づかなかった。悪いことをしました」と彼は気づいてくれました。
施療が終って、お母さんにそれを言うと「催眠療法ってすごいですね」とひと言。
施療を約10回行いました。3回目の施療後復学。復学した当初は本人いわくいろいろぎごちなかったそうですが、だんだんと相手側の理解も出来、PP君も相手の行動や言葉に対しても、余裕の態度で接することができて来たとのこと。
中高一貫の学校だったため、高校進学を心配していたお母さんも無事高校入学でき喜ばれていました。

 

★小学6年生RRさんの場合  毎晩、明日の学校の用意をする。yjimage-1

 

毎朝、頭痛するも10時頃には改善。起立性調節障害と診断される

「明日は学校へ行くと言って準備をするのですが、朝になると頭が痛い、吐き気がすると言って、布団から起きようとしません。でも10時〜11時頃には、もうすっかり元気で、家の中でテレビを見たり、ゲームをしたりしています。元気が戻ったから今からでも学校へ行ったらと言うと、急にベッドへ行ったりします。土曜日や日曜日とかは朝から元気で、友達と遊びに行ったりとかしていますし、夏休みは本当に朝から元気なんです。仮病と思ったのですが、病院へ行くと起立性調節障害と診断されました。処方箋をしていただきましたが、今のところ目立った効果はないです」と相談に見えられたお母様。不登校になって3ヶ月が過ぎました。その間、心療内科、小児科、思春期外来を受診、いずれも起立性調節障害と診断。不登校のなる前はまったく休むことなく普通に学校も行き、塾も行きという生活をしていたとのこと。

起立性調節障害でも軽めの起立性調節障害かもとお母様

学校の先生に相談すると「いじめもなく、友達もいて、いたって普通の女の子で、なぜ不登校になる原因が思い当たらない」とのです。
担任の先生からは時々電話がかかって来て、当初は明日から行くつもりと応えていたのに、最近は電話も出るのをいやがるそうです。でも毎晩明日から学校へ行くとお母さんに宣言し、準備をするとのこと。お母さん曰く「学校へ行きたい行きたいと言う割には、朝の10時頃、頭痛が治まっても行かないのは、学校へ行きたいと言うのは、ただその場をつくろっているのでは。また起立性調節障害という診断もちょっと100パーセントではなく、軽いブルーゾーンではないか」と思うとのこと。

意外と多い学校の行事には必ず参加。その時は頭痛は起こらず。

1週間後、お母様がRR子さんを連れてきました。心理検査をすると心の状態も良いというレベルが出てきました。
そして二人だけで面談を開始しました。「朝、しんどいんだって?」と問うと「頭がずきずきして動けないです。それが夕方まで続いて・・・」(お母さんの話しでは1〜2時間で治まるとの話しでした)が、それは言わずに「早いときでどれくらいで治りますか」「2時くらいまで」「そう、大変だね。マシなってからはどうしてる?」「テレビを見たり、ゲームをしたり、犬と遊んだりしてます」「学校はどうしたい?」「行きたいし、毎晩明日の学校の準備をするけれど、朝になると頭痛が起きて行けないです」「学校でイヤなことありましたか?」「色々あるけれど、ちょっと腹が立つくらいでまぁ、許せないというのはないです」「ちょっと腹が立つとは?」「軽く無視されたりとか、先生がむつかしい質問ばかり当てるとか、そんな感じでチョー腹が立つとかはないです」「時々は学校へ行っているの」「授業は今ひとつかな、でも遠足とか、林間学校とかは行きました」「イベント関係好き?」「頭が痛くなかったから行けたと思います」。意外とこのようなケースは不登校のお子様でもちょくちょく見れます。

映像催眠の力を活用。学校に行く自分の姿を見て、復学へ。

催眠を開始しました。なぜ頭が痛くなっても学校に行かないかは「途中からクラスに入ると、皆から変な目で見られるし、なにかずるしてとか言われそう。それがイヤ」。
毎晩、次の日の準備をしていることについては「行きたい気持ちもあることはあるけど、準備するとお母さんも安心したような顔をするし、だれか迎えに来てくれたら、さっと行けるから」と前向きな答えが返ってきました。
そして催眠の中で、朝友達が迎えにきたストーリーを作り出しました。大好きな友達が迎えにやってきました。「えーっ、どうしよう」と悩んでいる様子。「とりあえず玄関に行ってみよう。せっかく迎えにきてくれたんだから」というと「えーっ。うーん」と玄関へ。「ほら○○さんが一緒に行こう」と言っているよ。というとしばらくして「着替えてくる」と自分の部屋へ。そして学校へ行きました。行く途中は友達と色々と話ししてるけど、何か見られている感じがする。学校に着くと自分の机に座る。仲の良い友達がやってきて最初は気恥ずかしかったけれど、すぐに以前のように溶け込んだとのこと。
また催眠の最後の部分で、自分の未来の姿を呼び出し、未来の自分から「逃げてばかりいてもダメ。勇気を持って学校へ行こう」というメッセージをもらいました。ストレスも取る施療を一緒に施しました。めちゃすっきりしたそうです。
自我強化とストレス除去の3回の催眠で、友達の協力を得て、復学に成功しました。

 

★高校1年生SSさんの場合 上がり症で不登校にjc2

 

小学校、中学校と一度も問題を起こさなかった子が不登校に

お母さんと二人でやって来たのは、関西でも進学校で知られた私立高校の1年生の女のお子さんです。
お母さんいわく「小学校も中学校も、ほとんど休んだことのない子なんでが、高校入って、最初は順調だったのですが、2ヶ月くらい経って、何や急に学校に行きたくないと言いだして、今は週に1回か2回しか行かないです。なぜか理由は言いません。理由を聞こうとすると怒りますし、成績も悪い方ではないので、親としてはどうして良いか…」「娘さんの性格は」「明るいし、友達も多いし、勉強もがんばるほうだし、兄弟の中でも一番やりやすかったのですが、なぜ急にこないなことになったのかわかりません」とのお話。しかしお母さんの話しをしている間中、なぜかそばにいる娘さんはニコニコとしているのです。普通なら暗い顔していたり、うなだれて聞いていたり、知らん振りしたり、怒った顔をしているケースが多いのに…ちょっとえっどういうこと?と思いました。
心理カウンセラーの所にきているのに、不安らしさはまったく感じさせませんでした。ちょっと“ふしぎちゃん”かとも思いました。

二人だけで面談、原因は思春期のならではのもの

そして娘さんとふたりだけで面談を始めました。どうして学校へ行きたくないのと問うと「う〜ん、なぜかわかりません」「学校でイヤなことありましたか」「別にないです」「グループとかの問題は」「別にないです」「男女共学ですか」「はい」そこであえて聞きました。「ボーイフレンドは?」ややあわてたふうで「いない、いない」「気になる男の子は、いますか」と問うと急に下を向き「いません」とのこと。でも顔が急に赤くなっていました。
思春期はやはり異性に興味を持つ年頃です。原因もそこら辺にあると推測しました。思い切って「好きな男の子ができたかな?」と問うと、恥ずかしそうに顔を上げてうなづきました。
好きな男の子が出来て、なぜ不登校に、と思うかもしれませんが、そこに乙女らしい悩みがありました。
好きな男の子とは、まだ友人関係でもなんでもなく、片思いとのこと。でも彼のことが好きになってくると、だんだん自分のことを良いように思われたいという気が強くなってきました。
そして不登校のきっかけとなる出来事が起こったのです。
英語の授業の時間、先生から当てられる順番が回ってきました。席を立って本を持った時、彼と目が合った瞬間に、緊張が一気に高まり、声がメチャクチャに震えたとのこと。今までそんな経験は一度もなかっただけに、自分もびっくりするとともに、以後当てられるたびに声が震えるとのことで、それがイヤで五月雨の不登校状態になったとのとことです。つまり当てられそうな授業の日は休むというのです。

微笑ましい事例に感謝。長く仕事をしていると、このようなことも。

「お母さんに言いましたか」と問うと「いいえ、言ってません」「このことをお母さんに話しても良いですか」というと、しばらく考えた後「はい、いいです。でもいやだな、はずかしいなぁ」とつぶやいていました。
それをきっかけに彼女は上がり症になってしまったのです。
本人の許可も得たので、お母さんにこのことを伝えると、「いや〜チラッとクラスにカッコ良い子いてるとは聞いていましたけど、そうですか。それが原因ですか。でもイジメとかやったら心配ですけど、年頃の悩みやったら安心しました。でもそんなことで学校行くのんイヤやなんて、女の子らしいと言えば女の子らしいですね。深刻な悩みでなくて安心しました」と何やらとてもうれしそうでした。

催眠療法で上がり症を解消

催眠療法は上がり症には有効な力を発揮します。
催眠療法を受ける前に高校生には事前にしっかりとその特長と効果、デメリットも合わせて説明しています。彼女は私の話しをノートに取って真剣に聞いています。「なぜ、ノートに取るの?」「催眠に興味があるし、前世療法も催眠でしょ。正直催眠にかかってみたいと思っていたので・・・チャンスです」
暗示療法とまじない療法(当所独自)を施し、3回の催眠で改善。2回目の療法を受ける時「先生のおまじない本当に効きました。凄いです。いつも授業中当てられるとどうしょうと不安がいっぱいで、心臓もバクバクしていたのに、おまじないをいうとすーっと消えて行きました。先生ありがとう。自信も戻りました」「彼とはどうですか?」「これからです。がんばります」以後問題なく通学しているとのこと。お母さんからも催眠のイメージが変わりました。本当に受けて良かったですとの言葉もいただきました。
長くこの仕事をしていると、改めてこのような事例もあるのだと思いました。

 

 

★高校1年生TTさんの場合 思春期ブルーで不登校気味にjc3

反抗期と社会へのいらだち・・・思春期ブルーによる様々な問題が彼の性格を一変させた。

小学校から中学1年生の2学期まで、成績優秀、スポーツ万能だったという現在高校1年生の男のお子さんがやってきました。
お母さんの話しによると中学1年の終わり頃から、急に元気が亡くなるとともに、反抗期がはじまり、勉強はしたくない、貧富の差があるのは社会が悪い、大人は嘘つき、親は自分の思い通りに育てようとする、人間はなぜ生きなければならないのか、死ぬことへの意味などなど、親に対して自分の悩みをぶちまけるかのように日々荒れた毎日を送るようになる。
中学2年・3年はほとんど不登校状態で過ごす。高校へは通信制に入学するが、まだ親や社会に対する怒りのようなものを口にするという。しかし中学のころよりだいぶましになったのとこと。

3回傾聴タイム。何かに付けて、社会が悪い、親が悪いと語るTT君。

男の子とふたりだけで面談しました。「今、学校はどうしていますか」「週に1回か2回くらい行っています」「休みすぎるとヤバいかな」「ヤバいです。これ以上休むと、留年もと言われています」「大学は行くの?」「はい、行きたいです。できれば関大か近大に、東京もいいかなと考えています」「勉強はどうしていますか」「まだやる気が起きないです。全然、やらなきゃ行けないのはわかっているのだけれど、今はまだやる気が起きないです」「学校へ行かない日々はどうしていますか?」「寝ているか、ゲームしている」「親に対しての気持ちは、どうですか?」「うーん、子供の頃は親に喜んでほしいと思って勉強もがんばったけど、途中からなぜ親のためにがんばるのか、親の期待に応えるのも意味がないと考えて・・・ずーっと良い子でいるのがバカらしく思えて・・・親の心配は分かるけど、オレはオレって今思っています。良い子には戻れないというより、もどらないです。動物の社会でも子供はどんどん自立していくのに、人間社会は親が自分の思い通りにしたいから、その自立を遅らせようとしている。環境問題にしても今の大人たちによって・・・・温暖化が進んで、地球がしまいには人が住めなくなると思うと(地球環境の悪化の色々な例をあげて話す、かなり高度な話しも・・・・・・・・・)」
「色々勉強しているんだね」「インターネットで調べていて興味を持ちました」
思春期ブルーになるお子様は、何かにつけて、社会が悪い、政治が悪い、親が悪いと考えます。また死への憧憬を抱く子もいます。このお子様もそのケースと考えられました。じっくりじっくり約3回にわたってお話を聞きました。合計4時間の傾聴タイムでした。

話しをしてスッキリ。そこで出て来た言葉はやり直したい。

そして3回目が終って、彼は一区切り付いたのか、全部話して満足したのか、「先生、話しを聞いてくれてありがとう。こんなこと親に話しても意味がないし、友達に話しても変なヤツ、って思われるし、なんか気持ちがいいです。すっきりしました」と述べ、私も「先生も勉強になったよ。ありがとう、色々考えているんだね」そうすると彼は「でもやっぱり人間にはすぐれた科学や技術があるから、そして進歩しているから近い将来、環境問題にできるかもしれませんね」と、そして「ぼくも本当はこんなことで、色々悩んでいるようでは全然成長してないですよね。なんとかしないと・・・先生、まだやり直せますかね、間に合いますかね」「それは勉強のこと?」「勉強も学校もです。やはり本当は大学へ行きたいし、今までの空白の時間を取り戻したいと思うような気持ちになってきました」「まだ高校1年生だし、間に合うよ。」というと顔つきが、ぐーっと明るくなってくるのを感じました。
どうやら“気づき”を持てたのではと感じました。

気づき後、催眠療法へ。心の中から出て来た言葉はなんと学校へ戻るだった。

そして催眠療法を施しました。“自分についてはどう進むべきか、どうあるべきか、どう考えるべきかを。学校のことについては、どうするべきか、進学はどうするか、どうしたいかなどを、心の中で問い、そして潜在意識と一緒になって答えを出して行きました。『学校へもどる』『関大をめざす』『自分を大切にする』『勉強をする』などなど、心の中で導いていくことが出来ました。その後、彼は完全復学を果たすことができました。

 

 seinen★中学2年のUUさん。起立性調節障害で、もう登校は限界という。
暗示療法で不登校回避。

毎朝続く、頭痛、吐き気で登校は限界という。

私どもの小さな相談室にやってきたのは、背の高くがっしりした体格揃いの家族です。よくお聞きすると両親ともに185センチ、中学2年の男の子も180センチを超しているとのことです。小さな相談室が、一気に狭くなった感がしました。お聞きするとご両親はバスケットボールの選手だったとのことで、また息子さんも学校でバスケットボールのクラブに入っています。両親の遺伝をそのまま受け継いでいると言ってもよいお子さんです。
来所の目的は、息子がこのままでは不登校になるのではと、心配されての来所です。原因は朝の頭痛、吐き気にあり、ほぼ毎日、症状が起き学校へ行くまで、なかなか治まらないのです。
「吐くことはありますか?」の問いに「めったにないですが、たまにあります。吐くと午前中はずーっと吐いています。午後からは、ましになって食事もできるのですが・・・」「吐かないときは、どうしていますか?」「とりあえずガンバって学校へ行く」とのこと。ある意味、親からの強制もありますとのこと。

“起床して1〜2時間で平常に戻る”起立性調節障害によくある症状。

当然しぶしぶ学校へ向かう。しかし学校へ行くと1時限目から2時限目あたりの授業で、吐き気もましになり、昼食もおいしいとのこと。昼からは最後まで授業を受けて、放課後はバスケットボールのクラブ活動をしているとのことです。
起立性調節障害児童によく見られる“起床して1〜2時間で平常に戻る”ケースのお子さんです。
息子さんに「朝、学校へ向かう途中で、すごく気分が悪くなって吐いたことはありますか?」と問うと「吐きそうになることはたびたびあるけど、吐いたことはないです。学校に着く頃には、治まっていることもあります。でも最近は、吐き気だけでなくて頭痛も出てきて朝がしんどいです。もう限界かなと思います」との答え。
心療内科、小児科へ行くと起立性調節障害と診断されて、お薬をいただいているとお母さん。でも朝の症状は改善しないため、当方に来所されました。

朝の症状を好転的にとらえる暗示療法で、見事に改善。

そしてご家族に対して、起立性調節障害のお話をしました。もちろん両親もよくご存知でしたが、より具体的にわかりやすく、なぜ育ち盛りのお子様に多いかを説明しました。インターネットや病院の説明は、なぜ起こるか、そして頭痛、吐き気、めまい、腹痛、頻尿などを引き起こすとの説明はありますが、当方では、子どもにとってポジティブなとらえ方で説明します。『成長して行くための、ちょっとした試練だよ』『それを乗り越えようね』的なプラス指向的な説明です。
そして催眠療法を用いて、プラスに転化できる暗示療法を施します。そうすることで、朝の症状を好転的にとらえることができ、「がんばろう」「がんばれる」という気持ちが湧いてきます。

暗示療法は専門家が話してこそ大きな効果が!

約10日後、2度目の来所です。「学校の方は行けてますか」と問うとお母さんが「しんどくてもがんばって行けるようになりました。憂鬱そうな顔もしなくなりました。朝ご飯もしっかり食べれています」との話し。息子さんに聞くと「朝の気分の悪さは、しかたないとあきらめていますし、みんなもそうだと思うと、がんばって学校に行けるようになりました」と話す。
不登校になる前だったために、上手く催眠の暗示療法がマッチしました。以後、まったく問題なく休まずに登校し、クラブ活動もしているとのことです。
暗示療法は私どもの専門家が、本人に話すことで大きな効果を発揮します。親が言っても効果はありません。暗示療法の内容は、ここでは掲載できませんが、有効な手段としてお子様の不登校の状態に応じて用いています。
ぜひぜひご相談下さい。

 

★中学2年のVVさん。不登校専門の支援施設へ行くも、登校の話しで挫折。
催眠療法でポジティブをインプット、心が前向きに変化。

支援施設での登校刺激が、心を閉ざす。タイミングが早過ぎたかも

ある不登校専門の支援施設にも行っていたという中学2年生の男の子。両親と本人との3人で来所された。ややふてくされている様子で、無理矢理当所に連れて来られた感じがありあり。
事前にお母さんからの電話では、不登校になりはじめた最初の頃、病院へ行き、起立性調節障害とか低血圧症とか言われ、薬をもらったが改善しなかった。
支援施設ではゲームを担当の先生と楽しく遊んでいた。施設へ行き始めた当初の頃は、先生とも良好な関係であったが、いざ登校の話しが出てくると、「裏切られた」とか言いだし、あれほど楽しくしていただいた支援施設にも行かない状態が続き、どうしていいかわからず当方に来所されました。

昼まで寝て、夜遅くまでゲーム。

現在の状態は、昼まで寝ているとのこと。朝起こしても起きないし、無理に起こそうとすると怒りだし、時にはモノを投げつける。ほとんど自室にこもりゲームをしている。外へはたまに夜近くのコンビニかゲームショップに行くくらい。夜の3時くらいまでゲームをしているとのことで、このままの状態がいつまで続くのか、とご両親。よくあるケースですが、何カ所か不登校専門の病院や施設で相談され、それなりの子供に対する知識もお持ちです。
カウンセラーさんのアドバイスを参考に努力されているとのことで、最近は、ゲームはするが、精神的には割と落ち着いている。

ゲームの話しでコミュニケーション開始。徐々に本音を話しだす。

ご両親に席をはずしていただいて、二人だけで面談しました。はじめから目を合わそうとしません。
私「ゲームは、どう」
SS「楽しい」と横向きながらぼそっと小声で答える。
私「先生の子供はゲームを作る仕事をしているよ」というと、えっ、と驚いたようすを見せる。
私「夜遅くまで仕事をしているよ、2時や3時は当たり前だよ。今はバグを見つける仕事かな」
SS「あっ、バグ。見つける仕事があること知ってます。じゃーバグハンターか」
私「バグハンターって言うの。知らなかったなぁ、よく知ってるね」
SS「それくらい当たり前。知らない方がおかしい」と、ちょっと上から目線の答え方をする。
私「今はスマホのゲームをしていると思うよ」
SS「へぇ〜。先生の子供っていくつですか」
私「30才で、自分で仕事をやっているよ」というと、感心し関心を持った様子。

学校や友達からの連絡もなく、心の中にさみしさが・・・

私「支援施設では、ゲームをしてたんだって」
SS「そう、でも今は行っていないです。何か学校の話で親との話しで登校刺激とか出てきて、今行きたくないし・・・」
私「そうだ、まだちょっと行きたくないんだね」
SS「学校へ行かなきゃとは思うけど・・・今は戻りづらいです」
私「友達とか、何かで・・・」
SS「今さら、戻れないです。」
私「友達とか、会ってますか。メールとか、電話とか」
SS「初めの頃は、先生とか友達とか連絡会ったけど、今は全然、何も・・」
私「ちょっとさみしいね」
SS「はい、ほったらかしかよって思っています」

ポジティブセラピーを施療し、本来持っていた前向きな気持ちを引き出す!

話しを進めて行きながら、今は気づきを得る催眠より、ポジティブセラピーの方向が良いと思い、自然に自然に話しを進める。
かなりコミュニケーションも取れだしてきた
私「ちょっと心をすっきりさせようか。ストレスも取れるよ」と言うと意外に、即うなづく。
そしてポジティブセラピーを実施。
施療後、「めちゃスッキリしました。やっぱりまずいですよね。高校も行きたいし、彼女もほしいし、このままじゃいけないですよね」と、前向きな気持ちを言葉に出す。

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★中学2年のWWさんの場合 朝の体調不良でも頑張って登校。しかしあることがきっかけで不登校に。

GW明けから体調不良に。病院で五月病かも、と診断される

中学2年のゴールデンウイーク明け頃から、朝起きて体調不良を訴えるようになったA子さん。それまでは全く学校を休んだこともなく、そのような症状になったことも記憶に無い。頭痛に吐き気が主な症状 で、近くの心療内科で受診。診断は「5月病かも」といわれ薬を処方し「様子を見ましょう」とのこと。
しかし症状はなかなか改善しない。特に朝起きてから昼ごろまで不快な症状が続く。学校へは頑 張って何とか登校を続けるが、登校と同時に保健室へ直行する日も。午後からは体調が持ち直し教室に戻れることも。そういった日々が1ヶ月続く。

朝礼時、失神したことがきっかけで、登校日が激減し、やがて不登校に。

不登校になったおおきな出来事は、ある日の朝礼の時、頭がクラっと来て失神する。経験したことが無かっただけに、本人も母親もショックを受けるが、それから学校へ行けない日が多くなってきた。週に3日から4日休み、しばらくしてまったく学校へ行けなくなる。
本人は学校へ行く気はあるが、朝の不調はまったく改善しない。
そこで大きな病院であらためて受けると「起立性調節障害」「低血圧症」と診断される。
病 院の先生から「登校を促す言葉は精神的なストレスとなって、起立性調節障害が悪化させることもあるので、体調の悪い日は無理をしないように」といわれ、家でとりあえず様子をみることに。また専門のカウンセリング施設も受診する。

「催眠を受けることには、大きな決意がいった」とお母様

夏休み中は、精神的に落ち着いたのか体調は復調までいかなくてもかなり戻ってくる。友達も遊びに出かけることも多々あった。
しかし夏休みが終る前日から体調不良が再発する。新学期初日、無理をして行くが途中で帰宅。
そして次の日から完全に不登校状態になり、約2ヶ月半、来年の受験のことも心配になり11月の中頃ある大きな決断をされる。それは何と催眠療法を受けさせようとのことで、それまでは催眠と言うと、あやしいイメージしかなく、足が向かなったが背に腹は代えられない思いからとのこと。
つまりW子さんはめざす高校 があり、このままではいけないと思いながらも、どうしょうもできない自分に悩みかつ焦っていた。そこで自分で不登校児の催眠療法をホームページ上で見つけ てお母さんと一緒に来所される。

ハキハキと話すタイプ。頭の回転の良さにびっくり。

お母さんにお話を聞くと成績も優秀で、性格も積極的、友達も多く、休んでいるときもクラスの友達とは会う。この頭痛や吐き気がなくなれば登校に問題はないとの話し。
本人とお話しすると、とてもハキハキと歯切れがよく、頭の回転の良さを感じさせるし、ちょっと自分が疑問に感じたことや指摘にちょっとした違いがあると、すぐに「それはどういうことですか? そういうのではありません。こういうことです」と即言葉を発してくる。その質問の鋭さに担当者がどぎまぎするほど。
まるで仕事の出来る女子社員のイメージ。

頭痛を取るおまじないの言葉をインプット!見事に効果を発揮!

今の状態を聞くと
「朝、起きると頭痛と吐き気があり、11時位には治まります」
「ほぼその時間帯にましになりますか」
「はい、そうです」
「治まってからは、どうしてますか」
「テレビか、勉強しています」
「1学期は昼から症状が落ち着くと登校していたのに、なぜ行かないのですか」
「また気分が悪くなるのではという恐怖感があり、前に一度教室でがまんできなくて吐いたことがありました。そのイヤな恐怖感があります」

色々なお話をして行く中で、W子さんは朝気分が悪くなるという精神的なスイッチが入るのではと感じました。
そこで催眠状態にし、朝のしんどい状態を感じてもらいました。
「あたまがじんじん痛いです」
「じゃーおまじないの言葉をかけるとすーっと、その頭痛や吐き気までも消えて行きます。その言葉はW子ちゃんが言うととても効果を発揮しますよ」
と言って、おまじないの言葉を言わせると
「えーっ、頭痛が消えた。すっきりしましたし、頭も気持ちいいです」

催眠との相性の良さが、大きな効果を生み出し、復学へ。

催眠をかけてみて、とても催眠との相性の良さを感じたため、暗示療法を施しました。
“頭が痛くなったりや吐き気がおこるのは、成長していることの証”という内容で、
見事にハマりました。
催眠との相性の良さは、不登校児の早期復学には大きなポイントです。
催眠を3回行いました。時間がほんの少しかかりましたが、11月から復学しました。
思い込みが強い性格もあったため、催眠をかけて、いろいろとテストをかけ、より暗示が入りやすいように仕向けて行くことも功を奏したと思います。
スムースに復学できた例でもあります。

 

★中学2年XXさんの場合、家庭内暴力を引き起こす女の子

中1から五月雨不登校、きつくしかりだしたのがきっかけと思うとのこと

最初、お母さんだけ相談に来所されました。ご職業を聞くと、ある市の教育関係の仕事をされている方です。
内容は不登校の中2の娘のことで、中1の終わり頃から暴れるようになり、今はちょっと手が付けられない状況になっているとのことです。
あちらこちらの不登校対応の施設をまわっても解消せず、最後の頼みの綱との気持ちで来ましたと述べられました。
ど のような状況ですか、とお聞きすると「暴れだすと取りあえずモノを投げつける、それも本や教科書、ノートだけでなく、エキサイトすると大声を出し、椅子や カバン、はさみ、カッターなどなど、ひどい時はアルミ製のはしごを投げつける。何もかも投げつけるで、本当に手がつけられないほどです。恐かったのはその はしごを2階の窓から道路に放り投げた時で、幸い歩道に人がいなかったからよかったものの、万が一人に当たっていたらと考えたらゾッとします・・・。ご近 所の方がパトカーを呼ばれたことも2度3度ありました」

メチャ甘えてくるときもあり、お母さんはその両極端に驚き

「今は、どうですか?」
「さすがに窓からモノを放り投げることはなくなりましたが、投げつけたりするのは同じような感じです。」
「原因に思い当たることはありますか」
「中1の頃から五月雨不登校になりだし、きつくしかりだしたのがきっかけと思います。また不登校をしているお友達もいて、ちょっと非行で問題になったこともあり、付き合いを注意したこともありました。そういうのも含めて反抗期でもあり、行動が乱暴になったのかなと・・・」
「甘えてくるときはありますか」
「そうなんです。反対にメチャクチャ甘えてくるときもあり、そのギャップはどこから来るのかまったく理解ができないです。どうなっているんだろう娘の心理はと、思うときも多いです」
「甘えてくるときはどんなかっこうですか」
「小さい子のように、抱っことか言ったり、私の首に手をまわしてぐるくるまわったりとか、まるで幼児のようで、赤ちゃん返りのようです」
「その時お母さんとして、どう対応されていますか」
「されるがまま、なすがままですかね。その時は、おとなしいです」
「下にお子さんはいらっしゃいますか」
「小学2年の妹が一人」以前にもまったく同じ事例の女の子がいましたので、やはりと思いました。
「お姉さんとは仲が良いですか」
「暴れているときは、近くの祖母の家に行っていますが。それ以外はまぁまぁ仲が良いと思います。とにかく私に対しての甘えぶりと暴れる時の両極端は、すごいのひと言で、もうどうしていいかわからないですね」

お母さんが私と妹とを見る目が違う。お母さんを独り占めしている

そして娘さんが当所にやってきました。顔立ちは思っていたよりも幼顔で、目もクリッとして可愛く、お母さんに対する物を投げたり、ヒステリックな行為をするとはちょっと信じられない思いです。
「今、学校休んでいるの」
「はい、この1・2ヶ月は休んでいます」
「朝は、頭痛いとか気分悪いとかは、ありますか」
「あまりないです」
「じゃーなぜ休んでいるの、いじめとかは」
「いじめは全然ないです。う〜ん、行きたくないからかなぁ。それに休み過ぎて行きづらいです」
「そうだね。行きづらくなるものね。お母さんは学校のことで何か言ってくる?」
「前は、メチャうざいだったけど、最近はちょっとマシ。」
「お母さんに当たったりする?」
「ときどき、本や鉛筆や消しゴムを投げたこともある。でも当たらないように投げます」
「どうして投げたりしたのかなぁ?」
「うざい時とか、妹を可愛がるときとか、いろいろ」
「妹とは仲が良いの?」
「はい、よく遊ぶよ。でもお母さんが私と妹との見る目が違うから・・その時腹がたちます。レストランへ行ってもお母さんの横に座るのは妹だし、お母さんを独り占めしている感じ」
そしてお母さんと妹の仲の良さを、こうだったああだったと話すのでした。

よくあるケースのひとつ。『お母さんの目を自分の方に向けさせるための行動』としての暴力と不登校。

『やはり、妹や弟のいる家庭に見られるケース』つまりお母さんが妹ばかりの方を向いているために、こちらを向かせるためにモノをなげたり、暴言を吐いたり、さらには気持ちがエスカレートして不登校になって、お母さんを困らせたいための行動と考えました。(本人は別に、そこまでは意識していません)。

娘さんのカウンセリングが終って、お母さんに娘さんの心の中は、たぶんこのようなことだと思いますと、私なりの所見を述べました。他のカウンセリングルームで、同じことを言われたのは1カ所だけで、あまり意識をしなかったのですが、娘さんとの話しの内容を紹介することで、納得されました。
お母さんには、「兄弟はとかくお母さんの取り合いで、お母さんとしては妹を特別に可愛がっているつもりはなくても、姉としてはお母さんを取られていると感じて、不登校はその焼きもちの実力行使と思います」と伝 え、そして「とにかく娘さんとの二人だけの時間をうまく取りましょう。時々レストランやスイーツの専門店へ行って、好きなアイドルやテレビなどたわいのない話しをいっぱいしてください」とお願いしました。そして実践していただきました。

催眠3回の施療で、保健室へ、そして完全復学の道へ。

催眠をかけると非常に深く催眠にかかりました。学校戻りたいけれど友達の目や嫌みなどを言われるのではという恐怖心があるのがわかりました。
催眠のシナリオであるスクリプトとしては、セラピーでよく使う自我強化を中心に行ないました。やはり即教室に入るのは、抵抗があるみたいで、とりあえず保健室登校、または授業終了後の教室入室をアプローチ。3回目の催眠後、午後からの保健室登校、そして仲の良い友達と放課後に遊んだりすることができました。そして徐々に徐々に、昼から教室に入るなどして、ほぼ回復。催眠の8回目では、もう完全に行っていますとの。
不登校の大きな要因はお母さんへの愛情確認行動のため、お母さんのサポートもうまく行き、順調に復学となった例です。

 

jc★中学2年YYさんの場合 帰国子女の長期不登校

遠方にお住まいの親御様からお電話いただきました。中学2年生の女のお子様の相談です。中学に入ってからまったく学校にいっていない。病院をはじめ不登校専門の施設にも行ったが一向に改善しない。来年は中学3年で高校進学のこともあり、これからどうしたらよいかわからない。とのお話でした。
事前にご両親だけでご相談に来て下さいとお願いしました。そして来所され、詳しくお話を聞きました。

外国で生まれ小学4年の時に帰国。集団生活になじめず不登校に。

不登校が始まったのは小学校4年生で、それまではお父様の仕事の関係で外国で生活。現地の小学校に通学し全然問題がなかったとのこと。生まれたのも外国。日本語もかろうじて日常会話ができるかどうかのレベルで帰国し、それだけにコミュニケーションが難しかったことと、日本独特の集団生活的な学校生活になじめなかったと言います。
小学6年生にほぼ不登校になり、「こうなったのは親のせい」と怒りだし、家庭でも序じょに暴言など問題行動を起こし始める。頭痛、吐き気など、起立性調節障害に見られるような不登校状態ではなく、学校に行けないのではなく、行かないという気持ちが前面にでてくる。
中学に入っても入学式のみ登校し、以後いっさい登校を拒否している。

当初、不登校になったのは親のせい・・・それがカウンセリングで徐々に冷静に

心理専門のカウンセリング施設に通い、カウンセリングを受ける。そこでカウンセラーとの話しで当初は「外国にそのままいればこんなことにはならなかった。こうなったのはお父さんやお母さんのせいだ。私は悪くない。最初は日本に帰ってきてがんばってきた」と話す。
何回かカウンセリングを受けてから、少し自分を見つめだせるようになる。「学校に行けないのは、親だけでなく、やはり自分にも問題があると思う。いつまでもこうしていたって友達もできないし、何とかしなくては思うけれど、どうしてよいかわからない」とカウンセラーに話していた。何とかしなくては、という気持ちが出てきている。でもそういう状態が約1年近く続くが、まったく前進がみられないので、当所に来られた。
今の状態はとお聞きすると、カウンセラーのアドバイスで学校のことはできるだけ避けているため、問題行動を起こしていた時と比べて割と落ち着いているとのこと。母親との関係もだいぶ改善し、そして時どきフリースクールに行ったりしている。
親とすれば、あと数ヶ月もすれば中学3年生になるとのことで高校進学のこともあり、また娘も「このままじゃヤバい」といい、高校の進学の事があるのか焦っている様子が見えるという。

以前受けたカウンセリングでかなり心が回復

親だけの面談から数日後、娘さんが来所される。背の高さが165センチ以上あり、顔立ちが整い、髪の毛も長く、すらりとして一見女子大学生でも通用しそうなイメージ。中学1年になってから急に身長が伸びたとのこと。全体的な印象では、不登校の言葉が似合わないし結びつかない女の子。以前受けたカウンセラーの対応が良かったのか、顔にも活発さが出ている。
そして当所のカウンセラーとの二人だけの面談でも、ものおじせず、質問にも正直に話し、自分の思いも話すなど、両親が当方に言っていたイメージとはだいぶ離れていた。日本語も今はまったく問題が無いとのこと。漢字も勉強し新聞も読めると語る。
「お母さんから学校のことで、焦っていると聞きましたけれど、どうなの」
「今悩んでいます。どうしたら良いか。高校へ行きたいしできれば普通の高校がいいと思っています」
「勉強は?」
「家庭教師に習っているし、塾にも行きたい」
「中学校は?」
「行きたい気はありますけど、ちょっと今は無理。今からだと全く誰も知らないし、一からだから・・・」
「行きたい気はあるんだね」
「そう、あるようなないような・・・。やっぱりちゃんと行かないととは考えています」
気持ちの部分ではもかなり回復していると思いました。そこで催眠療法にチャレンジしてみますかと問うと。
顔をキラキラさせながら「とても興味があって受けてみたい」との言葉が出てくる。お母様と一緒にうけていただくことに。

催眠に興味があり、一連の流れもスムースに。7回の催眠で復学へ。

自我強化、心の選択、未来の自分の姿など、一連の施療を施し、最後にストレスを取る。
「うわぁ〜、めちゃくちゃ、スッキリしました。気持ち良いです」と本人。お母様も「全然イメージが違ってびっくりしました。私もとてもスッキリしました。こんな気持ちになるとはほんと驚きです」と絶賛。さらに本人のやる気、前向きも心にインプットさせました。
遠方からのお越しでしたが約7回来所され、7回施療。2年生の終わり頃に授業が終ってから登校をはじめ、保健室登校や午後から登校をはじめ、徐々に慣らして3年から朝から登校を開始。催眠療法が登校をサポートしました。
催眠の力もさることながら、以前受けられたカウンセラーの対応がよかったと感じました。うまく内面のやる気を引き出せていたことが、ぴったりハマったとおもいました。

 

★小学6年生ZZさんの場合/背が高いのがイヤランドセル

世間のイメージとは違って自分の身体に大きな悩み。

10数年前の話しです。もう時効かと思うので、過去の頭の中にしっかり記憶に残っている話しです。新大阪で不登校専門の催眠療法所を開いていたとき
小学6年生の娘さんと高校3年生の兄、そしてお母様と一緒に来られました。
娘さんは身長は170センチ近くあり、正直とても小学生には見えませんでしたが、顔はやや子供らしい面影を感じました。笑った顔や仕草に小学生らしさを見せています。
彼女は単純に背が高いだけではありません。体つきもやせているのではなく、女性らしさも備わりつつあり、身長に合ったサイズなので高校2年や3年生と言っても十分通じるスタイルであり、そして全体的なバランスもとれていました。ひと言でいうならスタイル抜群の女の子です。
一般的にいえば「まぁ立派に育って」というのが、普通かと思いますが、彼女は彼女なりに自分の身体に大きな悩みをかかえていました。

小学6年の時、起立性調節障害と診断される。

そんな彼女が不登校になります。身長が急に高くなりだした小学5年の後半から不調を訴えます。それでもごまかしごまかし登校するも小学6年生の夏休み前からダウン。朝、吐き気が強く気分が悪い、めまいがする、頭痛、腹痛、立てない、ふらつくなどなどを訴えています。心療内科、小児科へ行くと起立性調節障害と診断されますが、薬を処方してもらっても、症状が変わらず、不登校の支援施設へも行かれています。そして当方へ来所された。
お母さんに聞くと、性格は明るく、前向き、勉強も出来て、クラス委員になるなどとても積極的でリーダーシップもあり、なぜ学校に行かなくなったのかわからないと言い、また担任に聞いてもまったくその理由がつかめないとのことでした。

私を見て、みんなが振り向いたり、笑ったりする。

お母様に席をはずしていただいて二人だけで面談しました。
頭痛や吐き気は、学校へ付く頃には「なしになって、後はぜんぜん問題がないです」と彼女。しかし、もっともっと恥ずかしくてイヤなことがあるのです。と急に大声で泣き出します。
「何か、苦しいことがあるの」と問うと、うなづきます。スタイル抜群で顔も可愛いいのに・・何の悩みか、興味がありました。
「先生でよければ、話してみる?どっちでもいいよ。」というと、しばらく考えたあと、彼女はおもむろに
朝学校へ行くとき、皆が私を見て笑うと言うのです。なぜ笑うの?と聞くと、背が高いし身体も大きいのに、ランドセル背負って小学校の制服を着て歩いているから・・・なるほど、「そうなんだ、それで学校へ行くのがイヤなの?」と聞くと「はい」との返事。

学校へ行かない理由も明白。しかし本人にとって大きな問題。

確かに、確かに、私より背の高い女の子が小学校の制服のスカートはいて、黄色い帽子かぶってしかもランドセル背負っていたら、「えっ、なにっ?! どっかのコスプレ」って間違いなく振り返る。そうか彼女は、自分の身体の成長に悩んでいたのだ。本人は学校へは行きたいけれど、登校までの道で大人たちの容赦のない視線を感じると、消えてしまいたい、時には死にたいと・・・
大いに納得しました。そうなんです。彼女に取って本当に深刻な問題です。
「お母さんには、そのこと言ったの?」「言ったけど、全然深刻に取り合ってくれないし、大きく育ってくれてママはうれしいとか、スタイルが良いからいいじゃん。ランドセルは持って歩いたらいいとか、帽子も手に持って歩けばいいとか言うけど・・・・服装は子供っぽいし、めちゃめちゃちぐはぐで、かっこ悪いし、それがイヤなのも理解してくれない」
この問題は、カウンセリングの領域かどうか・・・

未来のカッコ良い自分の姿に、喜びが!

そこで催眠療法を施します。
そして未来の自分を呼び出してきました。
20歳になった自分を見た最初のひと言が「わぁ~カッコいい、ニコニコして笑っている、きれい」でした。
そしてメッセージももらいました。「とても背か高くて、みんな振り返っていたから、イヤだったけど、もうちょっとのしんぼうだよ。中学になると皆も大きくなるから・・・」というようなメッセージでした。
施療を3回行う。今の自分よりも、未来の自分はカッコ良いから好きというスクリプト(催眠時のシナリオ)を作成し心の中へインプットします。
そうするとどんどんどんどん前向きさが出てきました。不安が消え、未来への安心感、期待感も強く出てきました。今の自分を受け入れる気持ちもでてきました。
彼女の平常時のコメントも「未来の自分は好きになれそう」「はやく大人になりたい」という言葉も出てきます。
そして3回目の催眠施療後、復学。

 

★中学1年ABさんの場合/起立性調節障害で週1〜3回の五月雨登校

朝起きると頭痛、腹痛。学校という言葉を聞くと痛みが増す。

13才の中2なのに、一見20才前後にも見える女のお子さん。本当に本人かと疑いたくなるような、成長ぶりに驚かされます。お母さんによると、「成長期に入ったのかここ10ヶ月ほどのあいだに急に大きくなりだし、身長も小学6年生には私よりも高くなりました。身体は成長するのに、心の成長がまったくついていきません」と話されます。
不登校が始まったのは小学校5年生の5月頃から。朝起きると同時にひどい頭痛が時おり起き、がんばって行ったりもするが、休む回数も多くなりだす。中学 に入ると頭痛だけでなく腹痛や頻尿も訴えるようになり、近くの内科、小児科、心療内科はもとより大学病院にも行くが、診断していただいた多くの病院から起立性調節障害と診断されます。お母さんは「今では学校のガの字を聞くだけで腹痛も起こします。薬も飲ましましたが、もうひとつ効き目が・・・」と語り、敏感に身体反応を示すそうです。しかし休む日は当然多いのですが、週に1〜3 回程度学校に行き、学校に行った日は、元気に帰ってきたり、 放課後は友達と遊んだりするなど、朝のいつもの症状などはまったく出ないとの説明を受けました。
「今日は行きましたか」の問いに「行きました」本人の声。

時々、学校へ!

週1日か3日は行くとの事で、そのほとんどが朝から学校に行き、自分のクラスに入って授業を受けるとの事で、友達との目線などは気にならないし、気にしたこともない。学校は嫌いではないと彼女は語ります。休む日のスケジュールを聞くと、朝起きて2度寝して、また11時頃起きてご飯を食べた後はユーチューブなどの動画サイトで過ごすそうだ。当然2度起きしたときは、頭痛も腹痛も起こらず、終日元気ですごす。
そこで娘さんと二人だけの面談を行ないました。
何も言わずにここへ連れられてきて、ちょっと不本意な表情が垣間見えます。しかし当方が色々と質問を投げかけると、しっかりと答えてくれました。まず学校が嫌いではないこと事、勉強が嫌いな事、先生は嫌いでない事、そしてお母さんが嫌いな事など、を語ってくれました。なぜお母さんが嫌いですかと問うと「すぐママはお姉ちゃんと比較するから」と不満そうな表情をします。
「お姉ちゃんはどんな人」と問うと。「背がスラツと高くて勉強も出来て、私と違って美人だし明るいし、でもイケズな事も言います」と答えます。お姉さんはD大学の1年生。しょっちゅうケンカはするけど・・・勉強を教えてくれたり、学校を休む事にはとても心配はしてくれてはいる、とのこと。

不登校の原因に、優秀な姉とすぐ比較するお母さんとの姿勢が・・・

休んだりするとママはすぐ姉の事を持ち出し「お姉ちゃんのようにちやんと学校へ行きとか、姉ちゃんは休んだことがないとか、勉強も学年でトップクラスとか。あんたも見習いなさい。姉ちゃんみたいになりなさい、勉強しなさい」とばかり言うのだそうです。
ママは私より絶対姉ちゃんが好き。私のことも好きかもしれないけれど、姉ちゃんほどでもないとそんな感じ」だそうです。
姉はママをいつもいつも独り占めしているのだそうです。彼女にしてみれば、生まれてから、お母さんは姉ばかりを見ていたと語ります。
そこで「お母さんは優しかったでしょう」「それは時々は優しくしてくれたけど姉ちゃんとは月とスッポン・・・」「夜はどう1人で寝ているの?」「今はママ の横で」「姉ちゃんは、どこで?」「自分の部屋で寝ています」

催眠療法でポジティプシナリオをインプット!

そして催眠療法を施しました。相性がいいのか、すーっと深い催眠状態に導きました。
自分の未来の姿を見て、なんと有名旅行会社に勤めている自分が出てきます「ロングヘアー、背も高い、制服も着てる、化粧してる。仕事に頑張っています。良かった!」など、今の自分が思い描いていた以上の未来の自分が出てきました。そして未来の自分から素敵なメッセージをもら いました。
そして「○○高校に絶対行きたい」「これからがんばって勉強する」「学校に100パーセントもじる」などと答えま す。
そこでポジティブスクリプトを施します●朝、気持ちよく起きれる。●目覚めはさわやかだ。●友達と話したり遊んだりすると楽しい。●自分は自分らしく生きて行ける。●行きたい高校があるから、勉強も頑張る。などなどを彼女の潜在意識にこれらの言葉をインプットしました。

お母さんと対応改善で不登校気味から徐々に復学。

催眠施療後お母さんとの話し合いをしました。「五月雨不登校の原因はお母さんのお姉さんに対するヤキモチが、少なからず影響しているかもしれません」 と言うと「やっぱり。ひょっとしてとは感じていました」とのこと。これからの日常会話の中で、姉との比較はしないこと。もっと本人を認めてあげること。たまには二人だけで ファミレスでスイーツを食べコミュニケーションを図る事をアドバイス。そして帰るとき彼女は「不思議な感覚やった。こんなん初めて。終った後もめちゃ気持ち良かった」と のこと。
その後2回の催眠を受け、五月雨登校は続くも休む回数は格段に減ったとの事。
13才なのにスタイルが良く、歯並びのきれいな女の子のイメージが強く残ったお子様でした。

 

★40才前半の男性。子供の頃のひどいイジメが原因で、対人関係が苦手になり、ひきこもる。

以前のお話です。40代前半の男性がやってきました。あまりお顔を見て判断したくありませんが、「ご両親に苦労をかけているな」というのが最初の第一印象で感じました。
青白い顔、痩せた体つき、両肩も前へ凹み加減、元気の無い声、自信の無い話しぶり、目を見て話さないなどなど・・・少しお話を聞くと、これは当所よりも心療内科か精神科からの受診が良いと思い「まずは心療内科、精神科の病院診察を受けてみたらいただきますか」というと彼は「何回も受けていて、お薬もいただいています。鬱と診断されましたが、もう治ったとも言われています。あとは社会復帰のための心のリハビリを受けて下さいといわれた」というのです。
「じゃ、リハビリは?」「民間の施設へ行きましたが何カ所かの施設へ行きましたが、みんな合わなかったです」。

小中学校のイジメが、今だに心のキズに。

彼曰く小学校の5年位から起立性調節障害で、不登校が始まり中学1年〜2年まではほとんど行かず、中3 年の時に復学するがひどいイジメに合い後半は不登校に。高校は通信制高校に、高校は全日制高校と変わらず、ほとんど休まず学校に行く。卒業後コンピューターの専門学校を行き卒業。ゲーム関係の会社に就職するが約3年で退社。以後家にひきこもり状態だそうです。
小学校と中学校でクラスの多くの男子生徒からイジメの対象になって、今でもその当時のことを思い出すと心のキズがさらに広がりそうだと言います。
言葉のイジメだけでなく、暴力やお金を取られるなどなど常に対象になっていたと語ります。父がよくそこまでひどいと警察へ相談しよういうと、母親が子供の進学にも関わるし先生の印象も悪くなるから内申で何を書かれるかわからないからと、大反対したそうです。

70才を越えた両親に心の中で謝っています。

高校でも社会人になってからでも、言葉のイジメはありましたけど、小中学生の頃ほどではありませんでした。でも“イジメられる星の元におれは生まれてきた”のではと感じたのだそうです。
「人が信用できなくなりました。今は何をしてもダメなような気がして、何もする気が起こらないです。でも父も母も、もう70才を超えました。さすがに、このままじゃいけないと思います。母には迷惑をかけっぱなしで、心の中ではいつもいつもゴメンゴメン、情けない息子でゴメンと謝っています。何とかしたいのですけど、働かなダメだと思うのですけれど、動けないというのか、どうしたら動けるのか、わからないのです。この間、両親が夜話しているのを聞いて、私のことで母が泣いているのです。いつも明るい母が泣いているのです。正直大きなショックを受けました。ニコニコしていつも自分の話しを聞いてくれている母が・・・(号泣)。そこまで心配をかけていたんですね。おれってバカですね・・・」そこでなんとかしたいと思い、ここのホームページを見つけたと語ってくれました。

リハビリ施設へ行くが長続きせず

今は何かをしているのと問うと「何もしていないです。自分の部屋でパソコンをしています。ゲームとか動画を見ています」「何時に起きますか」「11時か12時位です」「それからは?」「食事して、あとはパソコンです」「外へは出ないですか」「はい、めったに出ません」「どうして出ないのですか」「いく所も無いし・・たまに母に変わって買い物へ行くくらいですね。2〜3ヶ月に一度位」。
「この施設をホームページで見つけたのはいつごろですか」「2年くらい前ですかね」「じゃー今までの2年間は、いや〜行こうか、どうしょうか、迷っていました。」「他にもいろいろと見つけましたか」「はい。他にもあって迷いましたし、行った所も何カ所かありましたし」「行ってどうだったの」「ちょっと違うとか、自己啓発とかありましたし、でも何か違うと感じたです」「いろいろこだわりがあるのですね」

親を早く安心させたいと思うのですが・・・

「今はどうしたいですか」「やはりちゃんと働いて親を安心させたい」「じゃーどうします?」「働き口を探そうと思います。そう、いつもそう思うのですけど・・・」「身体が動かないということですか」「動かないのか、動こうとしないのか、動けないのか、自分でも、シンプルに考えたいのですが、ダメなんです。」「働くのに自信はありますか」「いや〜わからないですけど、いつまでも甘えたこと言っていると自分に成長が無いし、自分の今後もないのは、よ〜くわかっています。」

催眠で心の中で見ると・・・

そしてセッションを開始しました。催眠との相性がとてもよく、わずか数十秒で催眠状態へと導くことが出来ました。
そこで未来的なというより今後のお話をしました。
「今の状況をどう変えたいですか」「やはりしっかり会社に勤めて、親を安心させてやりたいです。それが今自分に出来るせいいっぱいの親孝行だと思います。がんばれそうです。そんな気がします」「じゃー具体的にどうするのか、どうしたいのかを教えてください」「最近は求人のチラシとかを真剣に見ています。どこか良いとこがないか。自分の苦手な対人関係がゆるやかそうなところを見てます」「たとえばどのようなところですか?」「タクシーのドライバーとか、運送のドライバーとか。やはりあまり人との関係を気薄なところが良いという思いが強いです」「どちらかというとひとりで仕事ができるようなところですね」「はい。そうです」「見つかりそうですか」「見つけます。見つけなければ、今度こそ自分がダメになってしまうと思っていますから。何とかしたいです」

5年後の未来を見てみると・・・

そして未来の自分の姿を出してみました。未来の自分が見えてきますよ、と言うと「あっ、何かマッサージをしている見たいです。自分でお店を持って働いています。以前、親戚の人が鍼灸の資格を取って店を出したと聞いた事があり、私もちよっと考えたことがありました。」「どうです。頑張っていますか」「はい、顔も元気そうで明るいです。何か安心しました」「良かったですか?」「はい、とても。何か参考になったと思います」「お客様とはどんな感じにみえましたか? 何か自分の店を持っていたからなのか、自信を持ってせっしていたみたいです。

マッサージの資格をめざして・・・

それから2ヶ月後、来所され、今マッサージの勉強をしているとのこと。まずは資格の取りやすい民間のマッサージから研修を始めたとのこと。やってみて自分に向いていると思うとのことで、そしていずれは店を持ち、チャンスがあれば国家資格をもめざしたいと語る。「良かったね」と言うと「ここに来て、本当に正解でした。目の前が開けたとはこのことを言うのですね。40才過ぎて遅いですが、がんばります。」との言葉で、お役に立てて良かったと思いました。

 

★高校1年ACさんの場合。クラス全員から無視のいじめで不登校に!

カウンセラーの言葉に無視が続くが・・

もうかなり時間が経ち、時効だと思いますので、このような事例もあることを思い出したので紹介したいと思います。
関西でも進学校の部類に入る高校1年生の男子が母とやってきました。不登校1ヶ月以上でこのままだと落第になるとお母さんが連れて来たのです。
お母さんに色々お話しを伺うと、起立性調節障害でもなく自意識過剰でもなく頭痛、腹痛、めまい等の身体的症状も無く、理由が分からないと言うのがお母さんの話しです。小学校、中学校も全然問題なく、勉強も良く出来た方で、何が原因?と理解ができないと話されました。
大手の支援センターや心療内科は行かれたとのこと。行ったのですが、何も言わず何も語らずで・・ずーっとおしだまったままで・・とお母さん。
そこでふたりだけで面談しました。

母に言わないことを条件に話し出す。

最初の20分か30分間は、まったく無視されていました。少し話しをふっても知らんぷり、横を向いたり、天井を向いたり、ためいきをついたりして、一向に話しに乗ってきません。
そこで私も「じゃーお母さんが戻ってくるまで、先生も話すのやめるから」といって、タブレットを取り出し少しの間見ていると、彼が「学校をやめたい」とぽつりとひと言。「お母さんに言ったの?」「いや初めて」「理由は?」と問うとそこから色々と言葉が出てきました。
でも話すことに付いて条件をつけられました。「お母さんには絶対に言わないでほしい。守ってくれるのなら話します」というので、約束を誓いました。
基本的には入学式後から、友達になったA君と親しくしていたのに、急に無視されたと言うのです。そして食堂や体育の時、A君が僕の方を見て、みんなに色々とささやいていて笑い者にしている。それ以来、他の人間も何を話しても完全に無視するようになったというのです。あえて言おうとすると「おめぇ臭いんだよ」と!
「それはイジメかな?」と言うと彼は「いじめですね」「担任の先生には言った?」「いや〜言ったような言わないような、軽く相談した感じで言ったと思います」「先生は何と言いましたか?」「彼は良いヤツ」とそれだけです。「それであっ、これはダメだと思いました。学校で勉強する意味無いとも思いました」
その無視はクラス全体に広がって、学校を休むまで続いていたそうです。

母に理由を言わないのは、周囲への配慮もありました。

「なぜキチッと担任の先生に話さなかったの?」「こんなの初めてで、話したら反対に自分がみじめになるような気がして」「お母さんに話さなかったのは、なぜ?」「割と大げさにとらえる人なので、話すと絶対学校だけの問題では済まなくなると思ったから・・何事も大ごとにする人なので、だから先生も母には話さないで下さい」「なるほど、わかりました」と話しも私がひとこと「つらかったね、よくガマンしていたね」とぽつりと言うと、号泣しはじめました。

そして「学校を辞めるし転校もしない。今は人を信じられない気持ちが大きいので、一人の時間をもち、ゆっくり考えたい」というのです。大学はどうするのかと問うと「大検」を受けて国立の○○をめざすとのこと。その決意は変わらないと。強い言葉で「絶対その気持ちは変わらない」と真剣なまなざしで言い切りました。
そのことに関してはお母さんには近々伝えると語りました。母が反対しても絶対に変わらないと。

数年後、偶然再会。目標としていた国立の大学生に!

そこまで言われると、私も言葉の返しようがありませんし、「そう」と、うなづくしかなかったです。
彼とは1回限りでしたが、数年後偶然再会しました。地下鉄の中でずーっと私を見つめている青年がいたのです。私に近づいてきて「先生、あの節はお世話になりました」と礼儀正しく頭を下げます。正直、すぐには思い出さず、えっ?面食らいましたが、少し話しをしてわかりました。
彼曰く、その後やはり学校を辞め、塾で勉強し大検を受け、めざしていた国立大学に合格したとのことで、顔つきも明るく自信に満ちていました。
「先生にしていただいたセラピーは、めちゃ気持ちよかったのを覚えています」と言ってくれました。
高校時代の出来事は、彼からの話しだけで実際はどのようだったのかわかりませんが、彼が退学を決意し、辞めた後がんばって勉強し、難関の大学に合格したのは事実です。
強い心、曲げない信念が彼にはあったのかな、と思いました。

お母さんに手紙を書いた覚えがあります。たぶんこのような内容だったと思います。
『息子さんから近いうちに話しがあると思います。しっかり話し合って下さい。お母さんにはつらい内容かもしれませんが、彼なりに真剣に考えてだした結論です。』

偶然地下鉄で再会し、成長した姿を見て、私自身本当にうれしかったのを覚えています。
今はどうしているのだろうと思います。結婚して、子供もいるだろうって・・・!

 

★中学1年ADさんの場合/起立性調節障害なのに、休みの日は超元気。これって何?とお母様jc4

起立性調節障害の診断書コピー持参のお母さん

中学1年生の男のお子様AD君です。来所するなりお母様が学校に提出したと言う診断書のコピーを出されました。そこには“起立性調節障害”と書かれています。でもお母さんはお医者さんの診断に納得されたのではないようで、カウンセラーにこう言います。「でも先生、休みの日は元気なんです。学校へ行く日は気分が悪いとか、頭がフラフラするとか、吐きそうとか、色々言うのですが、休むと決めると急に元気になるのです。土曜、日曜日など休みの日は朝から元気で友達とも遊びに出かけます。おかしいでしょ。仮病かなと思いましたけど、病院の先生によるとこういう病気なんですと言うのですけど、夏休みの間もずーっと元気で、学校は始まる1日前から気分が悪いとか言い出すのです。あれだけ遊び回ってて、何これって・・・、病院の先生の話しにも正直納得できなくて・・・」などなどと色々話されました。

週に2回前後登校。土・日曜日は超元気

不登校と言っても、週に2回前後行くとのことで、朝から行ける日もあり、2・3時限目、昼からと色々だそうです。学校へ行った日は、元気に返ってきて友達と遊びに行くそうです。小学校6年の後半からこの症状がでて、ずーっと不登校ではなく週に2回前後の休みが繰り返し続いていると語られました。
「不登校と言ってもだいぶマシな方ですね」とカウンセラーが言うと「えっ、そうなんですか?」とお母さんはびっくりされます。「1年や2年、全然学校へ行けていないお子様もおられます」と言うと「うちの子はマシとか、マシではないとか、かんけいないんです。第一、息子は今年で中2になるし、来年は高校進学もあるので、やはり休みが多いと、内申などでマイナスなるのではと心配です」とやはり高校進学のことを心配されて来所されたのです。
中学で不登校になるとお母様はどうしても高校進学のことで悩みが大きくなります。

休みすぎるとマズイと思って、行ける時は学校へ!

お子様と二人だけで面談しました。「朝、色々な症状が出て、しんどいとお母さんが言っていたけど」
「はい」
「どのような症状ですか?」
「吐き気とか、気分悪いとか・・・でも行けるときは学校へ行っています。」
「気分悪い時でも学校へ行ける時は、行っているのですか。」
「はい。そのときの具合で、行ける時もあり行けそうでもない時もありで・・でも塾は行っています」
「行けるときと行けない時の、違いは何?」
「吐き気の強いときは無理ですけど、吐き気があっても行けそうな時もあるので、その時は行きます。やっぱり行ける時に行かないとマズいと思います。」
「行ける時に行っているなんて、頑張っているんだね。えらいね。ところで吐き気の強い時は、どれくらいで治まりますか」
「昼くらいまでか、1日中とかも、早い時で11時くらいとか・・。気分悪い時は早くおさまってくれって思っています。本当です。お母さんはよく『本当に気分悪いのとか、学校へ行きたくないからそんなこと言っているのとちがうの』とかよく怒ったりするのですけど、本当に気分が悪くて吐きそうになるので・・・でも少し時間が経つと吐き気がすーっとおさまっていて、自分でもどうしてかなっと不思議に思っています。自分でもおかしいと思っています」
「おかしくないよ、起立性調節障害という病気は、AD君と同じ年くらいの多くの子が経験しているから、決して特別な病気ではないからね」
色々話していくうちに、起立性調節障害でも軽い症状のお子様だと感じました。
少しAD君の症状を整理してみると
●症状の軽い時は、学校へ行ける。
●起立性調節障害特有の症状も、約2〜3時間で治まる。
●土曜日・日曜日は朝から元気で友達とも遊ぶ。
●夏休み、冬休み、春休み等長期休みの時は朝からずーっと元気
●塾は休まず行けているなどです。

暗示療法で、朝の気分の悪さをプラスイメージに転換。

不登校と行っても、行ける日も多い。起立性調節障害の症状は概ね2時間でおさまる。友達とよく遊ぶ。日曜日は元気。など総合的に判断して、催眠状態にして暗示療法を潜在意識にインプットして行くのがベストと考えました。
朝の症状を成長期の子供にはとても良いことというプラスにとらえて、スクリプト(催眠で言うシナリオ)を構成しました。この暗示療法のスクリプトには、通常スクリプトとオリジナルがあり、通常とは自我強化法を用いた内容のものです。オリジナルとはその子に最適なスクリプトをその場で作って行くと言う経験の多いセラピストでないとできないものです。
AD君にはこの2つを用いて催眠を施しました。催眠との相性もよく、暗示療法の途中でも、その内容が自分なりに納得できるので、インプットするたびに大きくうなづきます。具体的なスクリプトの内容は残念ながらここでは掲載することはできません。なぜなら事前にお子様に知られてしまうと効果がグンと下がるからです。特別な内容の物ではありませんが、催眠状態で初めてその言葉をインプットすることで効果が期待できます。

3回の療法で見事に完全復学。

1回目の療法後、朝から学校へ行く回数が増えます。朝しんどいと言いながらもテンションがやや高く、朝食も完食し学校へ。
そして3回目から休むことなく登校しているとお母様からお電話をいただきました。「とても前向きになりました。朝の顔つきも全然以前とは違います」とコメントをいただきました。良かったですね。

 

RS=^ADBSzJaNESiAuOpE.rBj★中学1年AEさんの場合/お母さんを試す行動が不登校へと続く

ある日から突然に学校へ行けず、不登校に!

中学1年生の男の子がご両親と一緒に来所。不登校になって4ヶ月あまり、学校へまったく行けていないとのこと。不登校がはじまったは6月頃からで、それまで元気で友達と遊ぶ等どちらかというと明るい性格で、まさかうちの子が不登校に、それも突然になるなんて、まったく想像もしてなかったそうです。
朝の状態も、起立性調節障害にみられる腹痛や頭痛、吐き気、低血圧等もなく、今も朝はまったく普通の状態。ただ学校の話しをすると、自分の部屋に入って布団から出て来ない。先生からの電話、朝の友達の誘いなども、拒否し、これも布団に入ってしまうそうです。
学校の事以外の話題なら、リビングでよく話すしよく笑うし、今では何がきっかけなのかわからないと言います。
不登校の前兆もまったくなかったとのことですが、学校へ突然行かなかった時の日をお母さんは語ってくれました。それによると「学校へ行く時間になっても、じっと玄関に座ったままで、どないしたのと声を掛けると突然大泣きし出して『学校へ行きたくない』と私にしがみつきながらいうのです。どうしたの言ってごらんと言っても、『学校へ行きたくない』『学校へ行きたくない』とパニックたようにそればかりを本当に大泣きして言うので、ひよっとして学校で何かあって言えないのではと思い、その日は休ませたのですが、次の日も次の日も同じで、これは学校でイジメ等きっとイヤなことがあったと違いないと思い、担任の先生にあって、このことを申し上げました。そうすると先生も、普段から明るいし、友達も多くて、みんなを笑わしたりするし、イジメられていたなんてそれはないですと断言されました。友達のお母さんや友達にも聞いたのですが、答えは一緒でした。不登校専門のカウンセラー施設や心療内科へも行きましたが、結果はまったく出ず、ずーっとこの状態が続いています」と語られました。

お母さんを困らせたいという心理から出た行動が、不登校へのきっかけに!

そこでお子様と二人だけで面談しました。「学校休んで、どう気が楽になりましたか」
「最初は休めてラッキーと思って、学校へ行かなくていいんだと思ったら、なんとなくうれしかったけど…」
「今はどうなの?」
「今は、ちょっと…そろそろ戻らないとやばいかなぁとは、思っているし…、戻るにはどうしたら戻れるか、わからないし…」
「戻りたいですか?」
「はい、……でも恐いです」
「なにが恐いの?」
「みんなから何て言われるか、それを考えるとやっぱり恐いし、ズルしてたんやろとか、ひきょうもの、おくびょうものとか、こすいやつとか、色々言われそうで…それに友達の目線も軽蔑されるような目で見られて、それも恐いし、戻ることを考えるとそれが恐くて、学校へずーっと戻れなくなるのと違うかと思っています。お母さんもゲームをしてくれていたカウンセラーの先生も、そんなん気のまわし過ぎやと言うのですけれど、でも自分はなかなか解決できないです」
「そうか、友達から何が言われるか、それが恐いんでね。やっぱり考えると恐いよね。じゃーどうしたらいい?」
「それがわからないです。わかる方法があればやってます」

そして3回目のカウンセリングの時、けっこうお話が好きな子で、信頼関係も出来てきた感がしました。
「ところでお母さんに聞いたけど、突然に学校へ行きたくないって言い出したって…その日から休み出したって」
「あ〜、あれ………」
「あれって?」
「いや、いいんです。」そしてそれを聞き出そうと回り道をしながら、彼から話しを引き出しました。
「学校とか、友達関係とか、先生とか、何かイヤなことがあったの?」と問うと
「イヤなことなんてなにもなかったです。これは本当です。お母さんが色々学校へ行って担任や校長先生に話したらしいけど、なんで校長先生にまで話しを言いにいくかなって、ええかげんにしてよっていいましたけど、僕自身本当に何もなかったです。学校は楽しかったし、みんなと遊んで楽しかったし…、ただママがいつまでも子供扱いしてしてそれがイヤだったから、ママを困らせたかったから、あんなこと言ったし、本当におおげさに騒いだんです。意味も何もないんです。ただママを困らせたかったし、どう反応するのかも試したかったんです。決して学校がイヤじゃなかったんです」
「でも休み過ぎたってわけだね」

「夏休みならぬ怠け休み」しかしいざ戻ろうとすると恐怖心が・・・

「はい、2週間くらい経って、あ〜思い切り休んだ『夏休みならぬ、なまけ休みだ』っと思い、学校へ行くことを考え始めたら、友達から何て言われるかと思うと急に恐くなって、行けなくなってしまったというのが本当なんです」
「お母さんに言いましたか」
「言ってないです。そんなこと言ったらパパからどつかれます」

徐々に戻る方法をきっかけに、復学の階段をステップアップ。イベントの誘いに先生が突然の訪問し、復学へ。

そして4回目のカウンセリングの時、戻る方法を本人とご両親を交えて相談しました。
徐々に学校に戻る案を彼は採用しました。
まず最初の1週間は、誰もいなくなった夕方から学校の正門まで行く。次の1週間は教室に入る。そして次の1週間は朝誰もいない時に教室に入る。でした。そして実践が始まりました。最初はしぶっていたそうですが、実行します。それなりに本人も自信が出てきたとのこと。
早朝の登校練習の週に、見学のイベントがあるとのことで、本人には内緒でことを進めることに。「出来れば先生に当日迎えにきて下さいと依頼をしてみては?」と両親にお願いし、快諾。
早朝学校から帰ってきたら、突然の先生の来訪でびっくりしたそうですが先生は「今から○○へ行くで、早く準備をしてや」と言い、そして連れ出しに成功しました。
帰ってきて本人の第一声は「楽しかった〜」。彼が心配していたことは、何もおこらず、友達とのコミュニケーションも問題なかったとのこと。そして翌日から復学しました。

もちろん、単にカウンセリングだけでなく、自我強化の催眠療法も併せて施療。それらがうまく実を結んだと思います。

 

 

RS=^ADBt2y_Ut1i0d.nfzvlPa★中学2年AFさんの場合/自分探しに学校へ行かず、海へ、博物館へ・・・

小学時代、全国模擬テストでトップクラス

恰幅の良いお父さんと一緒にやってきたのは、関西でも有名進学校に通う中学2年生の男の子。といっても身長は175センチで体重も70キロはあるという偉丈夫で、ちょっと中学2年生には見えない。
問診票を記入していただいた後、お父さん曰く、「毎日毎日ゲームばかりしています。肝心の学校も不登校気味で、今は、2週間に1日行くか行かないかです」とのこと。
しかし小学生時代は全国的な模擬テストでも、常にトップクラス。何と小学生で東大の医学部をめざしていたとのことで、通っていた塾でも本当に期待されていたとか。
その息子の様子が一変したのは、今年の5月の中頃からで、身体が大きくなりだすとともに、ちょっとしたことでも急に反抗的な態度をとるようになる。お父さんとしては、思春期にはよくあるとのことと思い、ここはガマンと思い、勉強も学校のことも、何も言わずやり過ごすことにしたという。
しかし親に反抗しても、学校へは行っているものとばかり思っていたら、学校から休みが増え出し、ここ3日間ほど来ていないとの連絡を受け驚く。本人に直接聞いて見ると、家を出ても学校に全然行く気がせず、須磨の海を見に行ったり、博物館へ行ったり、梅田で映画を見て過ごしていたと語る。理由は「わからない、疲れたから」と言うのみ。それをきっかけにして不登校気味になりだし、行かない日は朝からゲームをしているという。
大学病院をはじめ心理カウンセラーや不登校専門の支援施設をめぐるが、不登校解消の目立った効果は今のところないという。

そのまま上の高校へ行きたい。しかし休み過ぎているので・・・

お子さんと二人だけで面談しました。落ち着いて静かに話すタイプです。
「家ではずーっとゲームをしているの?」
「はい、でも短いときは短い、長いときは朝の3時くらいまでかな。ゲームは確かに楽しいけれど、楽しさとは別に、何も考えたくないからゲームをするって感じかなと。ゲームしていてもむなしい時も多々あります。
それにお父さんが帰ってくると、いつもいつも無茶苦茶口うるさくて、怒るし、怒鳴るし、何とかならないですか? こっちもあまりのうるささにやり返したりしますが・・・先生はカウンセラーの専門家だから、先生の方からお父さんにうるさくしないように言ってくれませんか。お願いします。もうたまらないです。何回お父さんにキレたか」
「えっお父さんとケンカするの」
「最近はこちらが大きくなったので手を出すことはなくなりましたけど、口だけは・・・」
「高校はどうするの」
「そのまま上へ行きたいですけど、この状態じゃわからないです。私立だし、あまり休みすぎると学校を辞めさせられると思いますし、それがちょっと心配だし」
「きびしい学校だそうだけれど、AF君として本音はどうなの」
「せっかく入った学校だから・・・やはりそのまま上に行きたいとは思っています。友達もいるし、学校に行った日とか、休みの日は結構遊んでいます」
「勉強は?」
「あまりしていないし、だいたいはわかるから・・・」

催眠療法で彼の迷いを知る。

そして彼も悩みの解決ができるのであればと催眠療法を快諾しました。すーっと深く催眠に入るタイプのお子様でした。学校のこと、勉強のこと、現在の不登校のこと、ゲームのこと、将来のことなどなど、色々話しをしてくれました。
なぜ学校をさぼって(あえてさぼってと言いました)須磨まで海を見に行ったのという質問に彼は「正直言ってわかりません・・・わからないのです。もし言えるとしたら、たぶんいつも親の言う通りに動いてきたから、何か自分の意思で自分を思い通りに動かしたかったからかな。いつもと違う自分を作り出したかったからかな。そう自分を変えてみたかったような気がします。でも海へ行っても結局いっしょだったし、何も全然刺激も感じなかったと思います」。
「なるほど心で思っていたことと、いざ実行してみて、ちがったですか」
「はい、海を見れば、ひょっとして何か生きる意味とか少しは見えてくるかと・・・淡い期待みたいなものが・・・やはり悩みますよね。先生は人間て何で悩んで生きているのか、と思いませんか。みんな悩んでいる人ばかりでしょう。悩んでいない人間っているのか、どうなんでしょう」
「でも海へ行ってみて、何も感じなかったみたいだったけど、実際はどうだった? 日常から離れて、自分の時間が持てて、少しは心が晴れたような気がしたとか?」
「何もなかったし、何も感じなかった。見つめ直すことはなかったです。無駄な挑戦だったかもと思うけど、その時は心がそう仕向けたと。今思うと、ちょっと小さ過ぎたと思います。今はもっともっと大きな何かを感じたいです」
「ゲームは、どう」「確かに面白いです。どんどんハマる感じはするけれど、ただそれだけかも、しれませんね。」
これからどうしたいの質問には「ちゃんと学校に戻りたいとは思う」「高校もこのまま上へ進級で行きたい」「めざか大学も行きたい」「そろそろ学校に戻ろうとは思う」「基本的には、週に2~3 日くらいをメドに学校へ戻ろうとは考えている」「ゆっくりゆっくり元に戻して行けたらいいと思う」「将来は海外で働きたい」とプラス思考の答えが返ってきました。

お母さんへの暴力。いつもいつも後悔しても、またやってしまう自分がいる。

ちょっと迷ったのですが、聞くことにしました。お母さんへの暴力のことを話すと「自分が一番イヤになります。へこみます。悪いと心底おもっているんだけど・・・なぜお母さんにあんなことしたんだろうと、いつもいつもけったりした後は、大きな後悔をします。心の中で謝っているんだけれど、でもまたやってしまう・・・わかっているのに止められないのです。本当にお母さんには申し訳ないとおもっています」と語る。

自我強化と人間の摂理をインプット

そして催眠療法の定番である自我強化、心の洗濯、人生の選択をインプット。そして人間の摂理なるものを教えました。人間界のルールです。彼は人生の選択の時に「成功したい、人生でやっぱり成功したい」と答えた。成功するにはルールがあるよ、これを守れば成功のチャンスが幾度となくやってくるというと「教えて下さい。お願いします」と答えます。
彼に成功の秘訣を伝授しました。「お母さんを大切にすること。ただそれだけだよ」と言うと、一瞬ぽかんとした表情、続けて怪訝な表情をします。
そこで私は「お母さんを大切にしない人は成功すると思う。どう?」と言うと「成功しない」と答えました。「そう、それは人間界のルールだよ」と言うと納得した表情を見せます。

最後に身体にたまっていたストレスを除去。とってもすっきりしたと答え初日のセラピーを終えました。
5回の催眠療法で復学するが、半年後再び行ったり行かなかったりの半不登校状態に。その後の状態は把握していなかったのですが、約1年後、お父さんからご連絡をいただき「高校へ行くことが出来ました」とのことです。そして大きな喜びとして母親への暴力が無くなったと言っていただきました。良かったです。

 

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イメージ写真です

★中学2年AG子さんの場合/起立性調節障害でありながらストレスから抜毛症にも

この子が不登校? 一瞬疑いたくなるような底抜けの明るさ。

関東に住む中学2年生の女の子。明るく元気な声、人を惹き付ける笑顔に、素人の方なら「この子がなぜ不登校?」と感じるでしょうし、またカウンセラー歴15年の私でさえも、笑顔での対応、ものおじしない態度、ハキハキと受け答えを目の前で見て、自分の考えや意見を言う彼女の姿を実際見てみると、えっえっえっとこんがらがるほどです。ひょっとして他人からよく思われたいという心理からくるものかと思ってもいたのですが、あまりの自然な態度、天然的な明るさに、持ち前の性格、育ちの良さを感じました。

週1のペースで登校。それ以外は朝しんどいと言って休むのが癖に。とお母さん。

お母さんは「起立性調節障害になってから、週に1回程度しか学校に行っていないですし、このごろはもうちょっとしんどいと言っては休んでしまうのが癖になっているようです。娘が言うには行きたいけど行けないと・・・でも朝の様子から行けそうなのに行かないというのが親の目からみてもわかります。そういう時は本当に本当に歯がゆいですね。確かに週に1回か2回行ってはいますが、高校受験もそろそろ考えなければならないので・・・親として何とかしてやりたいし、できないものかと思って・・・」とのお話でした。

夜、寝ている間に毛を抜くひどい抜毛症に。

そしてもうひとつやっかいな問題を提議されました。「半年位前から、夜寝ている時に毛を抜いています。最初長い毛がいっぱい枕の周りにあったので、本当に、えっなぜ?って感じで、びっくりしました。何か病気が何かで抜けているのかと思ったら、どうやら本人が抜いているのがわかりました。心療内科へ行って、抜毛症だろうと診断されました。いらいらや緊張を取る薬や睡眠誘導剤を服用してもまったく変わらず、今でも毎晩抜いています。女の子ですしそれも心配です」と語られます。たしかにようく見ると地肌がやや透けて見えているのがわかります。確かにこのまま抜け続けると、ちょっとヤバいと思いました。本人によると「わかっているけど止められない。」といいます。そうです。抜毛症は本人は十二分ほど自覚しているのになかなか止められないのです。非常に厄介な心理症のひとつです。「もうこれ以上抜くと、外へ出れなくなります」とお母さんの気持ちも十二分に伝わってきましたが、本人はそれほど深刻には受け止めていません。

土曜・日曜日は友達と遊びに。休むことの罪悪感もなし。

家の中での様子をお母さんにお伺いしました。「家にいる時は、私にもう引っ付き虫みたいに、台所、洗濯、掃除など、トイレ以外はずーっと引っ付いてる感じです。最初はいいかげんにしなさいと怒っても、“いいじゃん、いっしょにいたいから”と言ってちょこちょこちょこちょこついてきます。もう言うことを聞かないので好きにさせています」。
土曜日、日曜日はどうしていますかの問いに、ほとんど家にいず友達と遊びに出かけているといいます。それにはちょっとびっくりさせられました。カラオケやファミレスに行っているとのことで、本人は全然学校を休みがちなのを気にしているそぶりはないといいます。たしかに週に1回前後しか学校に行っていないという割には、あまり周囲の目とか思惑とかが気にならないのは、休みがちなことに罪悪感が少ないということなのでしょうか。
一般的な不登校のお子様には少ないケースと言えます。

思春期独特の思考や悩みを、それが不登校を後押し?。

そして催眠をかけました。催眠との相性もよくかなり深く入りました。そして質問をしていきます。なぜ週に1回の登校なのかの答えは「学校に行く意味を見いだせないし、勉強する意味があるのかどうかもわからない。でも友達とのつながりは保っておきたいから、学校へ行っている」とのこと。頭痛や吐き気はとの問いに「毎朝あることはあるけど、そないに大したことではないし、起きて1〜2時間くらいで治まるし、頭痛くて学校へ行っても、家出てから学校着く頃までには治まっています。「じゃー今はむしろ学校へ行く意味がわからないから、学校へ行かないのかな」「どっちかというと、そう。前テレビでタレントが言っていたけど、理科とか社会とか数学とか歴史とか国語とか、勉強しても社会では何の役にも立たないって。私も本当にそう思うし、先生はどうなの?中学で学んだこと役に立っていますか?」と急に話しを振ってきます。「そうね。先生も中学時代そんな考えもあったけれど、今考えれば漢字とか、社会とかは役に立っていると思うよ」そして「一生懸命働いても貧乏な人もいるし、仕事一生懸命探してても見つからない人も大勢いるし、社会って全ての人が幸せにならないと・・・」と色々な話しをして、かつ当方に振ってきました。もともとの頭の良さに、催眠で色々な問題点が頭の中でつながり出し、脳が活性化したようなイメージでした。

催眠3回で、週の登校回数がアップ。抜毛症は後日の課題に!

あまり話しが長引きそうなので、次回に話す約束をし、自我強化と溜まっていたストレスを取って行きました。ストレスが溜まっていたのか「あ〜、すっきりした。めちゃ気持ち良かったです」と目をきらめかせながら「先生、催眠ってすごいですね」とお褒めの言葉まで。
催眠療法中に答えてくれた内容は、思春期独特の思考や反抗期などなど、中学2年生らしい悩みをかかえていました。そして抜毛の対処もインプットしました。催眠都合3回の結果、週に行く回数が増えたのですが、抜毛は少し時間がかかりそうな雰囲気でセラピーは終了しました。

 

 

obasan2★中学2年AH子さんの場合/気にしていた顔のことを言われ、身体反応で起立性調節障害に。

思い込みの強いお母さんが、娘の話しを聞かず、一気に不登校の原因を話される

中学2年生の女の子がお母様と一緒に来所されました。質問シートに書き込んでいただいたあと、お母さんが一気に話され始めました。
不登校になった原因と思われる事、学校側の対応、先生からの連絡、子供の性格、子供の今の日常生活、などなど、こちらが口を挟むスキを与えません。こちらもメモを取りながら、お母さんの話を聞きます。
子供が「それ、お母さんの思い違いや」と少しでも口を挟むと「何言うてるねん。あんたは分かってへんねん」とまったく聞き入れようとしません。
そして「学校へ行って勉強しないことにはこの子の将来、どないして生きて行くのか心配で、とりあえず学校へ戻るようにお願いします」
当所に来られるまで、不登校対応の施設、起立性調節障害の外来病院、心療内科等に行かれ、効果がなかった」とのお話でした。しかし、どれも1~3回程度通院したとのことでした。

自分が一番気にしていたコンプレックスを指摘され、大きなショックを!

お母さんに席を外していただき、お子様とふたりだけでお話しをしました。
学校へ行けなくなった一番のきっかけは、友達から顔の欠点をみんなの前で、面白おかしく言われ、笑われたこと。自分が一番気にしていたことで、それに対してコンプレックスを抱いていたと言います。
正直、自分でも顔の中でも一番気にしていただけに、初めて言われたことに加え、他人からしかも親しくしていた友達から言われ、心がめちゃキズついたと言います。
不登校のきっかけはそれですかと問うと、しかし「わからない」と本人。
こちらも辛抱強くお話を聞くと「それを言われたことでショックで、言われた日の当日は全然寝られませんでした。もちろん腹は立ったけれど、とにかく自分の顔が一気に嫌いになって、なんでこんな顔に生まれついたんやろか、とか、生まれてこなかったほうが良かったのと違うか、とかそんなことばっかり心の中はうずまいてました。それから2〜3日は学校に行きましたけど、だんだん朝になると身体が重く、頭痛や吐き気が出てきて、あまり行けなくなりました。」
「友達から、こんなこと言われたことでショックを受けたこと、お母さんには言いましたか?」

友達が原因という話しはお母さんには内緒と約束。

「言えるわけないです。あの人、すぐキレるし、もしそのこと言ったら友達にも迷惑かけるし、先生にも迷惑かけます。けっこうちょっとしたことでも、どこへでも言いに行く人です。小さな問題でもすぐに大きくするから、だからマズいです。あの人に言うのは。よけい学校へ戻れなくなります。だから先生も絶対あの人には言わないでください。モンスターペアレントって言うのですか?。そうそのモンスターペアレントです」ということでお母さんには言わないと約束しました。
「でもえらいね」
「えっ何がですか?」
「ちゃんと友達や先生のことも考えているから・・」
「そんなん当たり前でしょう」
「でも頭痛や吐き気のことはお母さんに言ったの?」
「はい、何か、それがきっかけかどうかわからないけれど、朝めちゃんこ気分悪くて、吐きそうで苦しいです。それが昼くらいまで続きます。お医者さんへ行って起立性調節障害と言われました」
「昼からの調子はいかがですか」
「だいたい戻っています。行けそうな時は学校へ行っています」
「どれくらいの間隔で行っているのですか?」
「う〜ん、2週間から10日に1回、昼から・・」
「顔のことを言った友達とは、どうなりましたか?」
「う〜ん、あまり関わりたくないし、こっちも不登校だから周りの友達も普通に接してはくれるけども何かが違う。」
「どう違うの?」
「一つは話してても、どこかに学校休んでいるくせに・・という雰囲気が顔から出てる、もう一つは顔を見て、○○やなぁ〜と思っている雰囲気がこれも顔から出てる、以前にはそんなんがなかったのに・・」と言ったとたん号泣しだす。
顔の気になるところは、第三者の私から見ても、さほど取り立ててどうのこうのというのはなく、言われてみて、あっそうかな?というレベルです。むしろ背も高く顔も小さく、ひとことで言えばかっこいいお嬢さんという言葉が当てはまる感じです。
思春期らしい悩みです。

催眠で未来の自分から言葉をもらい、大きな勇気を得、完全復学へ。

彼女曰く、今はむしろ顔のことよりも気分の悪さがなくなれば、学校へ行けると思うとのこと。高校受験のこともあるし、復学意欲もそれなりにあると思えました。
もちろん朝の気分の悪さは、行きたくないという潜在意識からの身体反応かもしれないというのを、加味した上で催眠療法を施しました。
未来の自分からとても力強い言葉が出てきました。そして自我強化と主に朝の気分の悪さを解消させるおまじないのようなスクリプトもインプットしました。

2週間後、再び来所されました。1週間位前から昼になる前には登校する等、大きく改善しているとお母さんの言葉で、本人はやはり未来の自分からもらった言葉に勇気が出たとのことです。3回来所され、完全復学されました。

※付録として/3回目の来所の時、娘さんが教えてくれました。「1回目の数日後に、母が不登校専門の催眠に行ったが、全然効かなかったと書き込みしている」と。たしかに調べて見ると書き込みしてありました。しっかり不登校専門の催眠療法所として記載されてあり「何これって」と思いました。確かに催眠を魔法のように思うお母さんもおられるのは事実です。当センターのことがマイナス面で広く認知されることにインターネット社会の恐さを感じました。
「よい評判もあり、悪い評判もあり」と思うことにし、これもネット時代ならではと、感じました。ご笑話でした。

 

★中2年生AI君の場合/気分が悪くてもおかまい無しで、無理矢理連れて行くお父さん

創業してから間もない頃、中2の男の子とご両親が来所。お父さんは40才過ぎで大柄。見た目もちょっと威 圧感の強い方でした。座るなりまずお父様が「息子は情けない奴で、ダメな奴で、根性もないし、やる気もないし・・・何をさして もダメなやつなんです。最近は、朝になると決まって頭が痛いとか、しんどいとか、学校へ行く時間になっても動かないので、私が無理矢理学校へ行かせています」。
゜無理矢理とは?」「腕を持って、引っ張っています」「強引にですか?」「そうです。私たち子供のときは、多少しんどくても頑張って行ったもんです。しかし最近の子は弱いです。心が弱いです。親として我が子の朝の態度を見てると本当にガマンがならないです。だから多少ひっぱたいても行かせるようにしています」

学校から帰ってきたら、朝とは違って元気です。

そこでお母さんにお聞きしました。「以前から朝らなると頭痛とか気分悪いとか言ってましたが、この約2ヶ月ですね。ひんぱんに言うようになったのは」。
そしてお父さんと一緒に学校へ言って日の帰ってきたときの様子も聞きました。
「元気で帰ってくる場合が多ですね。もう普通です。朝の気分の悪さやしんどさを引きずることは感じないですね」とお母さん。
そこでお父さんは「学校嫌いやとか行きたくないという気持ちがそんな症状を生み出すんや。ほんま情けないやつや」とケンモホロロです。お顔も眼光がするどく身体も大きいだけに、子供に対しては本当に恐いお父さんと感じまし た。
そして現在、病院に通っていて、起立性調節障害と診断をいただいているそうです。しかしお父さんのお友達でお医者さんがいて相談すると「これは成長期に伴う思春期独特の症状で、検査しても身体に異常がなければ大きな問題はない。誰にでもある」と言われたたとか。その言葉もあり、お父さんは余計に子供に厳しくしているのだと感じました。

お父さんに反抗するも、結局は腕を取って連れて行かれる。

そこでお子様と二人だけで面談させていただきました。
朝の状態をお聞きしました。「朝、しんどくて目が回ったりすることも。吐き気もあったりします。でもお父さんは全然信用してくれません。1ヶ月ほど前、無 理矢理起こされたのですが、こっちも腹が立ってお父さんを蹴ってしまいました。
「お父さんを蹴ったの?」
「はい。でもその直後に反対にどつかれ、やはり無理矢理連れて行かれましたけど」
「お父さん、大きいしこわそうだね?」
「学生時代柔道もしていて、やはり力は強いので・・・何をしてもかないません」
「お父さんは好きですか?」
「大嫌いです。全然何か言っても、バカとか、甘えるなとか、そんな言葉ばっかり。それに信用されてません」
「今の朝の調子はいかがですか?」
「一緒です・・自分自身、学校がイヤやから、こうなるのと思っていますけど・・・でも学校行かないと・・・自分の将来のこともあるし・・・」
「お父さんはいつも連れて行くのですか」
「週の内2回くらい。でも厳しいというか強引というか、こっちのことはおかまいなしです。途中で学校の誰かに会っ ても、こっちが恥ずかしくなって、腕を振り払おうとしても、絶対離してくれません。平気でさらに腕を強く取ってぐいぐいと引っ張って行きます。途中で気分が悪くても、うるさい、バカとか言われて、まったく気を 使ってくれません。」
「お父さんが連れて行かない日は・・」
「遅れていきます。昼から行くときも。お父さんがうるさいから・・・」
「遅れて行くときの身体の調子はどうですか」
「だいぶマシです」
「学校は、どうですか。好きですか」
「やっぱり行かないと・・勉強も嫌いではないし・・高校も大学も行きたいし、お父さんよりレベルの高い大学へ行って見返してやりたいです」
「レベルの高い学校ってどこ」
「東京のKです。お父さんはNなので。だからKに行きたいです」
「そう、じゃーがんばらなくっちゃ。合格することを先生も願っています」

お父さんも中学時代、起立性調節障害に。その苦しさを乗り越えた経験からの行動。

そして最後にお父さんと二人だけで面談しました。
「朝、いっしょに登校されているとお聞きしましたが」
「そうなんですよ。そうしないと行こうとしません。こっちも仕事があるのですが、やはり子供のことは思春期の今が大切ですからね。一緒に行けるときは、行こうと決めています」
「息子さんは、無理矢理連れて行かれると、行けるときは行っていると・・」
「そんなこと言いましたか。私ら小さいときは、どんなにしんどくても学校なんか休まなかったですよ。第一両親も厳しかった。ズル休みしたくてもできなかったですね。正直言って、私も中学生のときは、朝気分の悪い時はけっこうありましたよ。でもご飯食べて、制服に着替えて、家を出て、学校に近づいていくとその症状がやわらいでいくんです。学校へ着く頃には、ケロッとそんな症状は消えていましたね。自分でもアレっ、朝の気分の悪さは何だったんだろうって思いました。今で言う起立性調節障害ですよ。それに負けてはダメなんです。
そんな経験があるから、息子の態度や姿を見てると本当にイライラしてきます。
勉強もそこそこ出来て、運動神経もあって・・・まさかうちの子が不登校になるなんて考えもしなかったです。確かに先生の言うように無理矢理連れて行くのもどうかとは思いますが、続けて行くうちに、きっときちっとまじめに行ってくれるのではないかと思っています。息子にはいずれはわかる日が来ると思っています」と真剣に語られました。

しかしお父さんの努力が登校力の継続につながった?。

カウンセラーからすると、お父さんの強引なやり方に、正直賛成はしかねましたが、ここはお父さんが連れて行かない日も学校へ行っている等、プラス面もあるため、“それはお子様のために決して良くない”など、当方から意見はありましたが、言わないことにしました。
残念なことに来られたのは、その1回のみでした。
しかし約1年後、なんとそのAI君が学習催眠を受けたいとお母さんと見えられました。1年前の不登校のことをお聞きすると「調子は今ももうひとつだけれど、学校に行けばだいぶマシになってし問題ないです」とのこと。そして今、受験勉強にがんばっているとのこと。学習催眠でなんとか集中力と記憶力をアップさせてめざす高校へ合格したいと語る。
顔つきも1年前とは違って、強さと自信みたいなものが出ていました。

子供の調子次第か、気持ち次第か?! それが起立性調節障害のむつかしいところ。

起立性調節障害の多くのお子様は、概ね午前中には改善するケースが多いというデータが出ています。また当センターの調べでも“がんばりしだいで朝から学校へ行くことができる”と答えたお子様もたくさんいます。
症状のきつい、弱いもあります。それだけに対応のむつかしさはあります。でも本人の頑張りしだいというのも、事実であることはまちがいないです。
実際、しんどくても行き続けるお子様が多いのはデータ上からも明らかですが、そのつらさが本人しか測れないから、起立性調節障害のむつかしさがそこにあります。

 

★中2年生AJ君の場合/平日は気分が悪くても日曜日には朝から少年野球に!

13歳で青年の体つき。お母様は起立性調節障害の診断書を持参されました。

お母さんと一緒に来たのは、何と身長は170センチ以上で体つきも筋肉もついてるようでガッチリ。声がわりも済み大人の声です。どうみても高校生にしか見えませんでした。相談申込書を見てみると年齢は13歳、中 学1年生の男のお子様で、たくさんのお子様と接してきているカウンセラーもちょっと驚きです。そして席につくなりお母様が学校に提出したと言う診断書のコピーをおもむろに出されてきました。そこには“起立性調節障害”と書かれています。
でもお母さんはその診断にまったく納得されてなく、カウンセラーにこう言います。
「でも先生、休みの日は本当に元気なんです。少年野球をしているのですが、もう、平日とは全然様子が違うのです。とくに月曜日、火曜日は決まって、朝起きると気持ちが悪いとか、吐きそうとか、頭がクラクラするとか、胸くそが悪いとか、いろいろと身体の悪さを言うのですが、でも休むのを決めるなると急に元気になりだすのです。
日曜日などは朝から野球で、その他土曜日や祝日は朝から元気で友 達とも遊びに出かけます。これって、どうなのですか? 誰が見てもおかしいでしょ。芝居が上手いのかと思っても思いましたけど、病院の先生によると思春期にはよくあるケースで、こういう病気なんですと言うのです。
夏休みの間もずーっと元 気でしたが、学校は始まる1日前から何となく気分が悪いとか言い出すのです。夏休みにあれだけ元気で外に出て遊び回ってて、何この姿って・・・、起立性調節障害の病気をいろいろインターネットで調べましたけど、正直納得できなくて・・・」 などなどと、日頃の鬱憤をはらすかのように色々と話されました。
その間お子様は、にこにこ笑顔を見せながら、イヤな顔ひとつせずお母さんの話しを聞いているのです。まるで自分には関係ないみたいな感じです。

不登校と言っても週に2回程度は登校。お母さんは高校進学の内申が心配とのこと。

お子様に学校へどの位のペースで行くかとお聞きすると週2〜3回は必ず行っているとのことです。朝 から行ける日もあると胸を張って言います。その他2・3時限目、その日の気分の悪さで昼から行ったりと色々だそうです。当然学校へ行った日は、元気に返ってきてカバンを放り投げた後、すぐ友達と遊びに行くそうです。
この症状が出たのは身長が急に伸び出した小学校6年の後半からで、それ以来ずーっとこのパターンで週に2回前後の休みが繰り返し続いているとお母さんは話されます。
カウンセラーが「これは不登校と言えるかどうか微妙ですね。色んなケースがありますが、もし不登校と言えるならだいぶマシな方ですね」と言うと「えっ、マシなんですか?」とお母さんはびっくりされます。「1年間や2年間、まったく学校へ行 けていないお子様も多数おられます」と言うと「うちの子は今年で中2になるし、来年は高校進学 もあるので、やはりこれだけ休みが多いと、内申などでマイナスなるのではと心配です。それに高校でも野球をやりたいというので、野球の強い私立高校への進学をさせてやりたいし、チームのコーチからもある高校からの打診があり、それだけに不登校のことは言っていなくて・・・」とめざす高校進学のことを心配されて来所されたのです。

彼自身は、休みすぎるとマズイと思って、行ける時は学校へ行く。

お子様と二人だけで面談しました。13歳にはどうしても見えず、そのギャップにカウンセラーもとまどいます。
お母さんが部屋から出て行くとホッとした表情で「いつもうざくて疲れる」とひと言。

「朝、気分がわるいとか・・・しんどいとか・・・」
「うん」
「どのような症状が出るの?」
「一番多いのは気分が悪いかな・・吐き気がするし、吐いた時もある・・・。」
「でも気分悪い時でも学校へ行ける時は、行っているの?」
「うん。そのときの具合かな、行ける時もあり行けそうでもない時もありで・・でも面倒くさい時は、しんどくなくてもわざとしんどいと言って休む(笑)」
「行けるときと行けない時の、違いは何?」
「吐き気の強いときは絶対無理、吐き気があっても行けそうな時もあるので、その時は行くかな。だいたい。やっぱり行ける時に行かないとマズいし」
「じゃー行ける時に行っているということでいいかな。えらいね。ところで吐き気の強い時は、どれくらいで吐き気は治まる?」
「う〜ん昼くらいまでかな、たまに夕方まで続く時もあるけど・・。気分悪い時は早くおさまってくれって思ってるよ。でもオカンはわかってない。『本当に気 分悪いのとか、学校へ行きたくないからウソを言っているのとちがうか』とかよく怒ったりするけど、本当に気分が悪くて吐きそうになる時もあるので・・・ でも少し時間が経つと吐き気がすーっとおさまってきて、不思議。自分でもおかしいと思っているけど、でも気分の悪いのは本当ですよ」
「先生はよくわかっているよ、起立性調節障害という病気は、身長がぐんと伸びる時に起きる病気。だから君と同じ年くらいの多くの子が経験しているんだ。決して特別な病気ではないからね。もう少しするときっとその朝の気分の悪い症状はなくなるよ」
ちょっとぶっきらぼうだけれど、家では暴れることもないという。そして彼と色々話して整理していくうちに、医者の診断通り起立性調節障害であるけれど、軽い症状のお子様ということがわかります。
少し症状を整理してみると
●気分の悪さや頭痛など起立性調節障害特有の症状も、約2〜3時間で治まる。
●症状の軽い時は、学校へ行ける。通学の途中で症状は消える
●土曜日・日曜日はまったく症状がでなく、朝から元気。少年野球も積極的に行く。友達とも遊ぶ。
●夏休み、冬休み、春休み等長期休みの時は、まったく症状は出ない。
●学校を休んだ日も、塾は行く。

朝の症状を自分にとってはプラスになることと暗示療法をほどこす。

毎週何日か休むが、行ける日も多い。朝の気分の悪い症状は2時間前後でおさまる。友達とよく遊ぶ。土曜日・日曜日は元気。などなど総合的に判断して、暗示療法を用いて彼の潜在意識にプラスイメージをインプットして行くのがベストと考えました。
朝の症状を成長期の子供にとって「身体が大きくなってきている証」とプラスにとらえて、催眠シナリオを創りました。当然この暗示療法のシナリオはオリジナルです。
オリジナルとはその子に最適なスクリプトをその場で作って行くと言う経験の 多いセラピストでないとできないものです。
彼にはこの暗示療法と自我強化を用いて催眠を施しました。彼にとって良かった点は、とても催眠との相性もよかったことで、施療している最中で、その内容が自分なりに納得できるのであれば、潜在意識にインプットするたびに頭を持ち上げ大き くうなづきます。具体的なスクリプトのシナリオは申し訳ありませんが、公開したり掲載することはできません。なぜなら事前にお子様に知られてしまうと効果がグンと下がる場合があるから。もちろん特別なシナリオではありませんが、彼のために構成したオリジナルではあるため、催眠状態にして初めてその言葉を潜在意識にインプットすることで高い効果が期待できます。

催眠との相性の良さからわずか3回で完全復学。

1回目の療法後、朝から学校へ行く回数が増えます。休むことが少なくなりました。そして朝しんどいと言いながらも行くことが多くなります。施療後何かテンションがやや高くなったのがうかがえるとのこと。
そして3回目を受けてから休むことなく登校していると連絡をいただきました。受けてから「とても明るくなりました。もともと明るい性格ですけど、全然違います。朝の顔つきや身体から湧き出るような雰囲気も感じます。オーラのようなものを感じますよ」と喜びのコメントをいただきました。

 

★中学1年生AK君の場合/朝の体調が悪くてもおかまいなしで、学校へ強引に連れて行くお父さん

AJ君とお父さんと同じケースです。中1の男の子とご両親が来所されました。お父さんは40才過ぎで身長も185センチ体重100kgを越すという大柄。見た目にもかなり威 圧感があります。正直言って怖そうなお父さんです。
お母さんにチェックシートを書いていただきましたがその最中にお父さんは「◯◯は小学校6年後半位から、ズルをするようになり最初は病気と思い、近くに大学病院があるので診てもらいましたが、成長期にともなう体調の不調のようなことを言われ、身体的には問題ないと診断されました。たしかに妻が言うには学校を休むとなると急に元気になり、ゲームをするとのことで、まぁ、何をしても中途半端なやつで、ひと言でいうたら根性はないし、勉強もやる気ない。とくにここ数ヶ月、朝になると決まって吐き気がするとか気分が悪いとか言って、親が何を言っても動こうとしないので、今が私が腕をひっぱって学校へ行かせている状態です」。
学校へ行っても午前中は保健室で寝ているとかで、息子さんに聞くと「教室に入ると気分がわるくなってきます。保健室でベッドで横になっているとマシになって・・・でも教室に向かうとまた気分がわるくなります」と語ります。「自分でも、あっ僕って勉強嫌いなのかなって思ったりもします」とのこと。
しかし昼食を食べて午後からはマシになるので、教室に入って授業を受けているとのこと。毎朝気分が悪くなると言うわけではなく、母親が日々チェックしていると月曜日、火曜日が多いとのことで、たまに4〜5日続くそうです。土曜日・日曜日は普通に元気に過ごし、友達ともあっているとのこと。「まぁ、確かに私の子どもの時も朝気分が悪い時はありましたが、やはりがんばって行きましたよ。もし息子に妥協したら、こいつはホンマにダメな奴やから、不登校になるのは目に見えています。だからこいつのために、会社に遅れてでも連れて行ってます」
「お父さんが朝いないときはどうですか」「いやぁ。それが問題なんです。妻は子どもに甘いので私がいないと学校へ行きませんし、私が朝電話をしても絶対出ません。帰ってきてきつく怒ってもその時は次は行くというのですが、行きませんね。以前、海外に約10日間出張したときはまるのまま休みました。だから甘い顔はできんのです」

朝の気分の悪さは今も続く。そして今も父親が連れて行く。

お母さんに日々の様子をお聞きしました「特に月曜日と火曜日は本当につらそうです。月に1回か2回、それも月曜日なんですが嘔吐したことがありました。中学生になってからとくに吐き気とかフラフラするとか、常に言うようになり、朝になると本当に心配で・・」。
月曜日と火曜以外はどうですかと問うと「しんどいと言いますが、吐き気はマシだそうで、その時は1人で学校へ行っています」お父さんは出るまで家に居てる時が多いのだそうです。
学校から家に帰って来た様子をお聞きすると「もう普通です。元気で帰ってきますし。友達のところへ遊びに行ったり、あるいは呼んだりして、キャッキャッとゲームなどして楽しんでいます。塾のある時は塾にも通っていますし、朝の気分の悪さはまったく感じられないですね」とお母さん。
「先生、土曜・日曜思い切り遊んでいるから、月曜日学校があるから気分が悪くなることはあるのですか?」とお父さんが問われ「正直、学校好きなお子さんは少ないし、授業が終るまで机にじーっと座っていることに苦痛を感じるお子様も多いです。イヤなことに対して吐き気や頭痛などの身体反応が出ることはあります」とお応えしました。
そしてお医者さんからは起立性調節障害と診断をいただいているとのことで、学校側からも「無理をしないように」と言われているそうです。しかしお父さんはあまり納得されていそうにはありませんでした。

お父さんの努力にも評価はあるのかも。

私たち専門のカウンセラーからすると、父親のやり方に、賛成はできませんが、水曜日以降は1人で学校へ行っている、また行ける時は行くという意欲もあるためプラス面にとらえました。
実はお子様も170センチは超えているため、もし父親と同体格くらいになった場合、父親の言動次第で家庭内暴力にいたるケースも心配し、中学3年あるいは高校生になった時の対応を意見として述べました。
当所に来られたのは、その1回のみでした。

お子様を認めてあげましょう

起立性調節障害の子どもたちの多くは、昼頃までには改善するケースが多いです。またお子さんとの面談でも“がんばりしだいで朝から学校へ行くことができる”とハッキリ答える子も多くいます。
確かに吐き気や気分の悪さなど個人でないと症状のきつさ弱いさはわかりません。対応のむつかしさはあります。実際、しんどいしんどいと言いながらも行き続けるお子様が多いのはデータ上からも明らかですが、精神的な面、身体的な面に症状を呈するだけに、どう対応すればベストなのか?? 起立性調節障害のむつかしさがそこにあります。
最後にお父さんにお子様の良いところは何ですか、と問うと一気に強面だったお顔の表情が変わり柔和に。誕生日プレゼントをもらった、クラスでも人気がある、妹たちに優しい、剣道が強いなどなどいろいろと語っていただきました。
「良いところが一杯ありますね。今は親御様として辛いこと苦しいことが続いていて大変だと思いますが、なんだかんだと言って自分の力で行っている日もありますから、息子さんを認めてあげるところはしっかりと認めてあげてください」と言うと、「はい!」とお応えいただきました。