OCMC

Osaka Child Mind Center

社団法人 大阪市こども心理センター

日本で唯一こども専門の催眠療法室併設

小学校時代の、心ない先生の言葉が尾を引いた例

2017-04-04  新着情報

これもイジメ後遺症の一例。30年以上も前の心ない先生の言葉が尾を引いた例

小学校時代のトラウマを消したい!

当所では、催眠療法を用いて不登校の改善を行なっていますが、あるとき中年の男性が来られました。中肉中背、顔もやや渋みの出だした方で、てっきりお子様の不登校のご相談と思いながらご相談シートに記入していただこうとすると、その男性は「いえいえ不登校の相談ではないんです。私の個人的な話しなんです。実は小学5年生か6年生の時のイヤな想い出があり、トラウマになっててそれを消したいのですが、可能ですか?色々な催眠のホームページを見ると出来ると書かれています。消えるならお願いしたいのです」。
私は「催眠によって100%消すことはできないです。しかしそのイヤな思いにフィルターをかけたり、そのトラウマが出てきても、冷静に心理が対応し、イヤな気を抑えることは出来ると思います」と正直にお答えしました。
すると「先生は正直ですね。ここにお伺いする前に、何カ所が電話をしたのですが、ネットである有名な先生に電話をしたらトラウマなんて簡単に消えます。◯回で◯十万円かかるけれど、必ず消えるというのですが・・何が違うのですか」「わかりません。本当に消せるとしたらすごい先生なのでしょう。私自身記憶にしっかり残っているものを消せるはずはないと思っています。もしその催眠の先生が消せるとすれば凄い力を持っている人なのでしょう。でも当所では消せることは出来ないけれど、ぐっと抑えることはできると思います。どうされますか」「わかりました。お願いします」と了解の返事をいただきました。

年を取るごとにだんだん腹立ちさが増してくる。

くわしくお聞きすると、大阪でも超有名な私立小学校に在籍していたとき、先生に言われたひと言がずーっと心の中に滞っていて、思い出すたびに正直腹が立つとのことです。
しかもだんだんだんだん、年ごとにその腹が立つのがひどくなってくるとのこと。この精神状態は、ちょっとやばいなぁと心のどこかで叫んでいる自分がいると言います。「自分でも、信じられないです。30年以上も前、しかも小学校の時の出来事が・・・でもそれがほんの数年前の感覚なんです。だからそのいやな想い出を本当は即消してほしいのです。できれば取ってほしいくらいですが、。お願いします」と頭を下げられました。
とりあえず、その時のことをお聞きしました。「話さなければなりませんか。小学校の時のつらい思いを消えろでは、だめですか」「やはり、一度しっかりお話しいただくことで、解決策が見いだせるかもしれませんので、今まで心の中に抱えてこられておつらいかもしれませんが」というと、ぐっと目をつむって深呼吸され「わかりました」とひとこと。そしてそのつらい日のことを話されました。

学級委員でテストの点数が低く、みんなの前で恥をかかされたのが心のキズに

その方は学級委員をされていて、成績の方は中の上くらいで、学級委員と言っても選挙のようなものではなく、半ば先生が強制的に決めたそうです。問題が起こった日は、テストの返却日で、授業は理科、担当はS先生。ひとりひとり前に呼び出され、その都度点数を読み上げ、答案用紙を受け取らされました。私の番になった時、先生は「おまえなぁ学級委員やってて、この点数は何や、あかんやろ、自分でも恥ずかしいと思わんか」と大きな声で怒鳴るように用紙を渡したそうです。「確かに点数は良くはなかったですが、私より低い点数の人はいたのに、なぜと思いました。これで怒られるのは終わりと思ったのですが、答案用紙をすべて配り終わった後、先生がちょっと前へ出てこいと言い、出て行くといきなり手首をつかみ、教壇へ上げ、「みんな、こいつは学級委員でありながら平均点も取れんやつや。みんなこんなやつが学級委員やというのおかしいないか。◯○○○(ひどい人格をキズつける言葉のため省略します)や、みんな笑ってやれ。◯○○○や、」と揺さぶりながら言うのです。「なんのことかなぜなのか、全然理解できませんでした。もし時間が遡ることができれば、その時、先生の手をふりほどき反対になぐってやります。なぜそうしなかったのか。今はそう思う時があり、ずーっと胸にしまったままです。30年以上も経っているのに、自分が異常なのかと思いましたが・・・私っておかしいですか? 私みたいな人っていますか。」

その先生の顔を見るのが恐かった

「今なら大問題ですね。先生のパワハラもいいところですね。本当にひどい先生ですね。その後はどうなりましたか」「ひどい言葉を言われたのは、それっきりで、その後は先生の顔を見るのが恐かったのを覚えています。それにそれ以後、変に無視されていました」「休まずに学校へ行きましたか」「はい。ただそれをきっかけに身体の変調が起き出したように記憶しています」「お母さんには言いましたか?」「何も言わなかったです。言いたくなかった。言えばどうもこうもならなかったのかも、今みたいに先生の地位も低くないし」
「今はそれを思い出すとどうなりますか、心身の変化は?」「一瞬にして血が頭にのぼる感じですかね。もし今Sに偶然にも会ったりしたら、どうなるかわかりません」

義理の父にも同じようなところが・・・

「その思いが強くなるような、出来事とかもきっかけはありましたか?」
「ああ、なるほど、そういう見方からとらえることも・・・やはりプロですね?」
しばらく考えてから「ああそういえば離婚ですかね。今思えばもうひとり同じように言われた人がいます。義理の父ですね。よく考えればそうですね。中堅企業のオーナー社長で、ワンマンで、誰彼無しに叱責する人で、娘婿であろうが関係なかったですね。離婚の原因の一つでした。それに今思えば、何かその時の言い方とか、イントネーション的なところで、そのSに似ているような気もします」
「それが心の中に埋もれていたトラウマを引き出したのかもしれませんね。」

退行催眠で時間を逆行。そして先生から思わぬ言葉が飛び出す。

そして催眠を開始しました。退行催眠で小学校入学から入りました。楽しかったこと、運動会、遠足、が甦ってきます。そして問題のときがやってきました。怒りに満ちた表情に涙が一気にあふれてきました。そして「先生に言いたいことがあったに言おう」と言うと「はい」と答え何やら口の中で言われています。
「先生が、謝ってくれています。本当に謝ってくれています。その日、虫の居所が悪く、それをぶつけてしまった。申し訳なかったと謝ってくれています。なにか心が晴れた気がします。ありがとうございました」と。ご本人もびっくりしたそうです。

人間は、とくに憎しみ等はなかなか消えないですね。幸せが続くと薄らいでくることもあるでしょうけれど、場合によっては、一生引きずることもあるのかも。うまくいって良かったです。その方の潜在意識が謝ったら許そうという大人的な思考がしっかり持てていたからだとも思います。