OCMC

Osaka Child Mind Center

社団法人 大阪市こども心理センター

日本で唯一こども専門の催眠療法室併設

起立性調節障害と診断されたのに、休みの日は超元気。これって何?とお母様が・・・

2017-03-03  新着情報

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診断書コピーを持参のお母さん。そこには起立性調節障害という文字が。

お母さんと一緒に来たのは、中 学1年生の男のお子様AD君。椅子に座るなり、お母様が学校に提出したと言う診断書のコピーをおもむろに出されてきました。そこには“起立性調節障害”と書かれています。
でもお母さんはお医者さんの診断に納得されたのではないようで、カウンセラーにこう言います。
「でも先生、休みの日は本当にチョー元気なんです。学校へ行く日は気 分が悪いとか、頭がフラフラするとか、吐きそうとか、色々言うのですが、休むと決めると急に元気になるのです。土曜、日曜日など休みの日は朝から元気で友 達とも遊びに出かけます。おかしいでしょ。仮病かなと思いましたけど、病院の先生によるとこういう病気なんですと言うのですけど、夏休みの間もずーっと元 気で、学校は始まる1日前から気分が悪いとか言い出すのです。あれだけ外へ出て遊び回ってて、何これって・・・、病院の先生の話しにも正直納得できなくて・・・」 などなどと色々話されました。

週に2回程度登校。このままでは高校進学の内申が心配で・・。

学校へは、週に2回前後行くとのことで、朝 から行ける日もあり、2・3時限目、昼からとその日の気分の悪さで色々だそうです。学校へ行った日は、元気に返ってきて友達と遊びに行くそうです。この症状が出たのは小学校6年の後半からで、ずーっとパターンで週に2回前後の休みが繰り返し続いていると語られる。
「不登校と言ってもだいぶマシな方ですね」とカウンセラーが言うと「えっ、そうなんですか?」とお母さんはびっくりされます。「1年や2年、全然学校へ行 けていないお子様もおられます」と言うと「うちの子はマシとか、マシではないとか、関係ないんです。第一、息子は今年で中2になるし、来年は高校進学 もあるので、やはり休みが多いと、内申などでマイナスなるのではと心配です」とやはり高校進学のことを心配されて来所されたのです。
中学で不登校になるとお母様はどうしても高校進学という大きな目標があり、その分、悩みが大きくなります。

彼自身は、休みすぎるとマズイと思って、行ける時は学校へ行く。

AD君と二人だけで面談。お母さんに席からはずしてもらうと、ホッとした表情で「いつもうるさいです」とひと言。

「朝、色々な症状が出て、しんどいとお母さんが言っていたけど」
「はい」
「どのような症状ですか?」
「吐き気とか、気分悪いとか・・・でも行けるときは学校へ行っています。」
「気分悪い時でも学校へ行ける時は、行っているのですか。」
「はい。そのときの具合で、行ける時もあり行けそうでもない時もありで・・でも塾は行っています」
「行けるときと行けない時の、違いは何?」
「吐き気の強いときは無理ですけど、吐き気があっても行けそうな時もあるので、その時は行きます。やっぱり行ける時に行かないとマズいと思います。」
「行ける時に行っているなんて、頑張っているんだね。えらいね。ところで吐き気の強い時は、どれくらいで治まりますか」
「昼くらいまでか、1日中とかも、早い時で11時くらいとか・・。気分悪い時は早くおさまってくれって思っています。本当です。お母さんはよく『本当に気 分悪いのとか、学校へ行きたくないからそんなこと言っているのとちがうの』とかよく怒ったりするのですけど、本当に気分が悪くて吐きそうになるので・・・ でも少し時間が経つと吐き気がすーっとおさまっていて、自分でもどうしてかなっと不思議に思っています。自分でもおかしいと思っています」
「おかしくないよ、起立性調節障害という病気は、AD君と同じ年くらいの多くの子が経験しているから、決して特別な病気ではないからね」
色々話していくうちに、起立性調節障害でも軽い症状のお子様だと感じました。
少しAD君の症状を整理してみると
●症状の軽い時は、学校へ行ける。
●起立性調節障害特有の症状も、約2〜3時間で治まる。
●土曜日・日曜日は朝から元気で友達とも遊ぶ。
●夏休み、冬休み、春休み等長期休みの時は朝からずーっと元気
●塾は休まず行けているなどです。

暗示療法で、朝の気分の悪さをプラスイメージに転換。

不登校と行っても、行ける日も多い。起立性調節障害の症状は概ね2時間でおさまる。友達とよく遊ぶ。日曜日は元気。など総合的に判断して、催眠状態にして暗示療法を潜在意識にインプットして行くのがベストと考えました。
朝の症状を成長期の子供にはとても良いことというプラスにとらえて、スクリプト(催眠で言うシナリオ)を構成しました。この暗示療法のスクリプトには、通 常スクリプトとオリジナルがあり、通常とは自我強化法を用いた内容のものです。オリジナルとはその子に最適なスクリプトをその場で作って行くと言う経験の 多いセラピストでないとできないものです。
AD君にはこの2つを用いて催眠を施しました。催眠との相性もよく、暗示療法の途中でも、その内容が自分なりに納得できるので、インプットするたびに大き くうなづきます。具体的なスクリプトの内容は残念ながらここでは掲載することはできません。なぜなら事前にお子様に知られてしまうと効果がグンと下がるか らです。特別な内容の物ではありませんが、催眠状態で初めてその言葉をインプットすることで効果が期待できます。

3回の療法で見事に完全復学。

1回目の療法後、朝から学校へ行く回数が増えます。朝しんどいと言いながらもテンションがやや高く、朝食も完食し学校へ。
そして3回目から休むことなく登校しているとお母様からお電話をいただきました。「とても前向きになりました。朝の顔つきも全然以前とは違います」とコメントをいただきました。良かったですね。