OCMC

Osaka Child Mind Center

社団法人 大阪市こども心理センター

日本で唯一こども専門の催眠療法室併設

中学3年生の息子、不登校でかつ家庭内暴力に悩むお母様

2019-07-07  新着情報

かつて母親から叩かれた仕返しと暴力を振るう息子

家庭内暴力が何かと話題になっています。数年ほど前、ご相談に来所されたお母様の話し。不登校で、かつ家庭内暴力の中学3年生の息子さんのことです。お母様の腕を見ると叩かれた後のような青いアザが、いくつものありました。大きなマスクをしておられ「ひょっとしてお顔にも叩かれた後がありますか」と問うと「はい、目の下をどつかれました」と答えられ「こうなったのも実は私が悪いのです」と号泣され始めました。
お母さんが言うには「俺が学校へ行かなくなったのもお母さんのせい、暴力を振るうようになったのもお母さんのせいというのです。たしかに息子が小さい頃からよくたたきました。私もすぐ感情的になる方で、気に入らないことをすると、すぐ手を出しました。だからそれを言われると息子に申し訳ない気持ちでいっぱいです。泣きながら謝ったことも・・・」と語ります。
お母さんに手を出すようになったのは小学6年生くらいからで、その時はちょっと怒るとまだ蹴ったりするくらいだったそうです。中学1年の後半には背もグッと高くなり、その頃くらいから、ゲームをやめないことや、勉強をしなさいと言うと、「うるさい、とか、くそババー、とか」きたない言葉で言ったり、あるいは肩とか胸とかを押すこともしだしたとのこと。「でも学校は休まずに行っていましたし、それなりに勉強もしていましたし、全体の成績も上位にいて・・・担任の先生に聞くと、明るくてリーダーシップがあってクラスのまとめ役などと聞いて安心していたのですが・・・」
そして問題の不登校状態になったのは中学2年の3学期くらいで、はじめは週の内1〜2日休むようになり、それが3日くらいになると、私もイライラして大きな声を出して怒ると、暴力をふるうようになりだした。
そして中3になって始業式から2週間くらいは学校へ行っていたとのことですが、10連休後、全然行かなくなる。学校のことを言うと暴れ出す。しかし不登校になっても定期テストは受けに行く、点数も良い、先生が来ても会うなど、良好な点も見受けられます。

嫌々ながら当所に来所。イメージと違った青年がそこに!

その数日後お母さんと息子さんが来所。部屋に入って来た時は、ムスっとして横を向いたまま。でもなかなかのイケメンです。
お母さんが「このままだと高校受験のこともあり、心配で」というとムスっとした声で「それがうるさいねん。放っといてくれ。そんなことわかってるわい」と言葉を発す。「いつもこの調子ですぐに怒るし・・」とお母さん。そして前回のお話を蒸し返されるように泣きながら話されます。「もうやめてや〜そんな話し、かっこわるいし〜、とにかくカウンセラーの先生と話したらええんやろ」とのことで、
そして二人だけで面談しました。
話した印象は、けっこうまじめで話し方も頭の良さを感じさせました。お母さんから聞いて想像していたのと全然違います。「高校は?」と問うと「もちろん行きます。◯◯高校へ行きたいし、大学も行きたい」「将来は何かなりたいものは?」「今考えているのは医者かな、テレビであるような監察医のようなにも憧れています」「なぜ医者?」「父が一応医師をしているので、やってみたいし、弁護士の仕事もしてみたいです」「じゃー両方の資格を取ったら」というと、えーっと目を輝かしていました。
「学校休んでいるけどどうするの?」「別にいつでも戻れるし、この間も試験の時に行った時全然何もなかったので、戻ろうと思えば戻れます。担任の先生からも早く戻れと言われているし、友達からもいっぱいラインやメールが来ているので、もう良いかなと思っています」
休んだ理由は特にないとのことで、ただ朝起きたらとても無力感に襲われたり、勉強することにも意味があるのかとおもったり、他に僕のやることは別にあるのではないかと思ったりとしてると、急に学校へ行く気がなくなってしまったとのことです。でも自分のことを考えたりするとやはりそろそろ戻らなければと考えていたそうです。

 

催眠療法でこれからの生き方、自分の未来像を描く!

そして彼にお母さんがここに連れて来た目的を話しました。催眠療法の話しをしました。彼の答えは「興味があるのでぜひ受けてみたい」とのことで、早速、セラピーを開始しました。お母さんへの暴力、不登校のこと、勉強のこと、未来のことを中心に催眠を施す。
お母さんへの暴力については「正直、母は口がうるさくて、手も出てくる。何もしないと頭を今でもバシッと叩くので、やられる前にやるって感じです。本当にヤバいん違うと思うほど母は怒り出すとすごいです」「これからどうするのが良いですか」「わからないけれど、親子だし普通の時は普通だし・・・なんだかんだっと言ってもうまく行くと思います。ぼくも注意します」
不登校については「そうそうに戻るつもりだったので、ここ数日で戻ります。本当に戻ります。受験を考えると行きたい高校もあるので・・塾も休んでいたので戻ります」
そして未来の自分(20歳)と出会いました。「白衣を着ています。やっぱり医学部です。良かった」「未来の自分からメッセージがもらえるよ」というとね「はい」と答えてしっかりうなづいた仕草を繰り返しました。「どうだった」との問いに「ゲームよりも勉強を優先しろ。まじめにやれと言っていました」「他には?」の問いに「お母さんはあんな性格だから、軽くあしらっておけばいい、ムキになるな。はっはっは」とのこと。
催眠が終って感想を聞くと「何か夢を見ているようで、映像もリアルで不思議でした。でも本当に頭も身体もすっきり、すみずみまですっきりした感じで良かったです」とのこと。
翌日、お母様からお電話をいただきました。朝から学校へ行ったとのこと。また暴力のことも謝ってくれたとのこと。彼との催眠は1回限りでしたが、今も何かしら、彼の爽やかな話し振りが頭の中に残っています。