OCMC

Osaka Child Mind Center

社団法人 大阪市こども心理センター

日本で唯一こども専門の催眠療法室併設

起立性調節障害、遊びには行ける。仮病を疑ってしまいそうな様々な事例

2020-11-02  起立性調節障害改善例

起立性調節障害、遊びには行ける。

 

起立性調節障害児童をお持ちのお母様がよく言われるのが、学校のある日は朝起きるとすぐに・・・頭が痛い、目がまわる、気持ちが悪い、吐き気がする、お腹が痛い、立ちくらみがする、おしっこがしてもしてもしたくなるなどなどなど・・・お子様の症状により、それぞれ違いがあり、様々ですが、概ね前述のような症状を訴えてきます。
症状が出だした当初は、お母様はお子様を連れて、小児科、内科、脳外科、頭痛外来、と症状と関係のある病院をそれこそあちらこちらと行かれます。中には検査で入院したケースも・・・そして「どこも異常がありません」と診断が下され、特に小児科さんでは「起立性調節障害」とか「思春期や成長期によく出る症状ですので、心配は入りません」と話される先生もおられます。また起立性調節障害専門の有名な病院があると聞くと、遠くとも足を運ばれます。

確かに朝の状態を見ると、これは異常では・・・このままでは不登校になるのでは・・・、心から心配されますが、2ヶ月から3ヶ月経つとだんだんお母さんも気づきだします。「あれ〜?土曜や日曜日、休日の日は朝から元気なのでは・・・」と。そう、気づかれるのです。

そこで親御さんは病院の先生に質問されます。「先生、気がついたことがあるのですが・・土曜や日曜は朝から元気なんです。不思議でしょう?。でも月曜日になると起きた時から気分悪いと言って青い顔をして、布団からも出ず、学校を休むのに、休みの日は本当に朝から元気なんです。これって何かおかしいと思いません。仮病ではないですか」と中には怒りに満ちた顔で、真剣に話されるお母様が多いです。

そうなんです、それが起立性調節障害の特徴なんです。

つまり起立性調節障害はまさに自律神経によって体調が左右します。楽しい時には楽しいスイッチが、イヤな時には体調が悪くなるスイッチが入るのです。ですから休みの日は元気で、学校のある日は体調が悪くなるちょっと勝手な病気ともいえます。

そこで当所に来られるさまざまな事例を紹介してみたいと思います。ひょっとしてあなたのお子様にぴったりの事例があるかもしれません。

今後、どんどん事例を入れて行きたいと思います。

 

 

A君の例/土曜・日曜日の野球の練習には必ず行く

平日は朝から「しんどい、気分が悪い」と言って学校へ行かないA君。
近所の小児科で起立性調節障害と診断されるが、土曜・日曜の朝は元気なのが理解できず、大阪にある起立性調節障害専門の病院へ行き、起立時の血圧、脈拍、脳血流等の様々な検査を受け、どれも引っかかって起立性調節障害としては重いと診断を受ける。
しかしお母さんは「土曜・日曜日は野球の練習があり、その時は、見違えるように朝から元気で、しかも早朝練習に参加するんですよ。前の晩には自分で準備して、当日の朝は、顔つきも顔色も全然違います。毎週同じですよ。これっておかしいと思いません親としては土曜・日曜日も同じように朝の状態が悪ければ、納得出来ますが、どうしてですか」と問うと、医師は「野球が好きなため、興奮状態で血圧などが上がったり、するからでしょう」と言われる。

B子さんの例/明日、東京ディズニーランドへ行こか、と声掛けると・・

中学2年生の娘さんが、ゴールデンウィーク明けから朝起きると「気分が悪い、吐き気がする」と言い出し、その日を境に週のうち半分くらい、そのような症状が出始め学校を休む。
気分がすぐれない時は、朝も食べず、そのまま昼くらいまで寝ている。
昼に起きると元気な様子。でも「昼からでも学校へ行ったら」と言うと、「なんか気分が悪くなってきた」という。
近くの病院へ行くが、異常が認められないと言われる。
1ヶ月くらい経つと毎日気分が悪いと言って毎日休み出す。そこで大きな病院で診察を受けると「起立性調節障害」と言われ、成長期にはよくある病気ですと医師の言葉。学校に提出用の診断書を書いていただく。
ある日の朝、青白い顔をして起きてきた娘を見て、気分を変えてみることを思いつき、娘に「明日、東京ディズニーランドへ行こか?」と声をかける。パッと一瞬にして表情が変わる。「同じ行くならオフィシャルホテルに泊まりたい」と明るい声。えっえ〜、急に元気になり、ネットで空いているホテルを探し出す。「何、さっきまでの青白い顔は完全に消えている」。
朝、夜の明けないうちに起きてきて「ママ〜、どれ着て行こう?。どれが良い〜」とハイテンション。普段の様子とは、180度違うとは、このこと。とお母様は語られます。
楽しく東京ディズニーランドの旅から帰ってきて、気分も晴れたと言っていたので、翌日の学校は行けると思っていたが、いつもの症状が出る。
でも土曜日や日曜日は比較的元気。

C君の例/休みますと学校に連絡した途端、元気に!

中学1年になって、夏休み明け、朝、起きてきて急に気分が悪いと言い出し「吐きそう」とのこと。トイレに行くが結局吐くことなく出てくる。
それでも気分が悪いのが続くので、しかたなく学校に休む旨を連絡すると、何か気分が楽になったのか朝食を食べ出す。もう普段と同じ雰囲気のため、「どう、マシになっ た」と声をかけると「いや、まだ悪い」というが、どうみてもいつもの様子。食べ終わるとすぐにゲームをしだしキャッキャっと楽しんでいる。
「ゲームもできるんやったら、今からでも学校へ行き」というとまだ気分が悪いというが、ゲームをしている姿は元気そのもの。
何回かしつこく言うと「しんどいから寝る」と言って自分の部屋へ。その際、ゲームを無理やり取り上げる。「ゲームするとしんどいのがマシになるし、気がまぎれるねん」というが、「休んでるのにゲームするのはおかしい。ゲームでキャッキャッキャッキャッ笑うくらいやったら元気な証拠やから、今からでも学校へ行 き」と言うと、怒った顔をする。その日から、同じような状態が週に何回か出だす。

D君の例/主人が出張のときは必ず頭痛・腹痛が・・

小学校6年の夏休み明けから、朝色々な不調を言うようになる。めまいと吐き気が多く、医者に行くと体位生頻脈の起立性調節障害と診断される。
学校を休む日をカレンダーに書き込んでいくと、あることに気づく。ご主人が朝、早く出勤するときや出張でいない時に、体調不良を訴え。休んでいる。現に本当につらそうにしている。
しかし、ご主人がいるときは、しんどそうでも学校へ行くのだそうです。学校から帰宅するときはいつも元気で、友達のところへ行ったり、友達が家に来たり、公園でサッカーしたりでわいわい言いながら遊んでいます。
お母様曰く、ご主人は自営業で事務所もすぐ近くにあるため、家を出るのは9時前。子供が家を出なければならないのは8時前なので、ご主人が家にいてるときは、必ず登校します。
ご主人は週に2日位出張があり、前日の夜から出かけられることも多く、夕食の時主人がいないとホッとした顔つき。そして「パパは、遅く帰るの? 明日は?」と聞く。以前からの言動なのであまり気にはとめなかったとのこと。
ご主人にそのことを言って息子をしかってもらうが、確かに登校するようになるが10日前後でまた戻るとのこと。
休みの日の様子を聞くと「元気です。しかも朝から・・」
最近のお父さんはおこらなくなったと聞くことが多いです。怒るから行くというわけではありませんが、家においての父親の尊厳が昔と比べて低くなっているのは間違いはありません。

F君の例/兄が帰省したときは学校へ行く・・

中学1年に入ると急に背が伸び出す、声変わりも始まり、クラブ活動にも楽しそうに取り組むが、入学してゴールデンウィークが明けてから、急に頭痛を訴え出す。お母さん曰く「朝起きると頭を抱える様に痛い痛い」というので、病院へ行くと起立性調節障害かもとの診断を受けるが、しかし頭痛の状態がひどいので頭痛外来を勧められる。そこで色々検査を受け「片頭痛、群発生頭痛」と診断、かつ慢性頭痛とも医師から言われる。しかしお母さんとすれば昼からは元気で、普段と一緒のため、慢性頭痛という診断にはちょっと納得できなかった。
当然、ゴールデンウイーク明けてからは、不登校に。お母さんは事務の仕事をしているため、昼からも学校へ行かない状況が続く。昼からでも学校へ行けと言っても全然行かず、夜に意見しようものなら大声を出して荒れる。「俺は虐待されている〜」などの言葉を出すため、近所の人が警察を呼ぶことが何回かあった。

ところが7月になって東京の大学に行っていた長男が帰ってきた翌日、何と朝から学校へ行く。これにはお母さんがびっくりしたとのこと。何回か長男には電話で次男の様子や慢性頭痛などを説明していたので、「弟に何か言ったの?」と問うと、別にと言う。その日を境に、夜も兄を見習って勉強しだすなど、そこから生活が一変した。7月20日の1学期が終わるまで続く。夏休み中は元気で、宿題もし、友達とも遊ぶなど、完全に回復したとお母さんは感じ、これで安心と確信した。

しかし夏休みが終わり、兄が東京へ戻ってからは、また頭痛の繰り返しが始まる。それが2学期の終わりまで続き、同じ様に病院や整体などへ行くが、回復せず、最後の方にはTVで有名な占い師まで行ったと話された。

そして一足早い冬休みで兄が帰ってきた翌日、また朝から学校へ行き始め、2学期の終業式まで登校する。
こういう状況から、お母さんは仮病を疑うようになり、次男に心療内科やカウンセリングを受けさせる。
カウンセラーには、なぜ学校に行くかというと、「お兄ちゃんがとにかく怖いから行く、勉強もできるし、身体も大きいし、目も見られないほど怖いから行くしかない。お兄ちゃんがいてる時は頭痛も体調も悪くないし、それもあって行けることができる」と話す。
カウンセラーはお母さんに「自律神経からくる起立性調節障害だけれども、兄の存在が自律神経の中にある頭痛のスイッチを入れさせないのでしょう。一般的に起立性調節障害はイヤなことに対して、頭痛や腹痛、吐き気。低血圧など身体が反応するのですが、お兄ちゃんがいてることで反応しないのでしょう」と言われ納得したと話される。

そこでお兄ちゃんがいなくても、自律神経の頭痛のスイッチをいれなくするには催眠療法が良いと勧められ、当所に来所された。

施療3回目で頭痛が改善

そして施療を開始して、約1ヶ月の間、3回施療する。2回目以降徐々に回復し、五月雨登校。3回目以降ほぼ回復したとお母様からご連絡いただく。高校受験に向けて再度来所。目的は集中力強化で、公立高校を目指すとのことで何回か来所され、念願の高校に合格したと、ご連絡をいただいた。

お兄ちゃんは超怖かった

受験に向けて集中力強化の際、不登校の時、お兄ちやんが家にいてる時は学校に行っていたね、と問うと「お兄ちゃんの存在がこの世から消えてくれと思うくらいこわかった。自分でも不思議だった。お兄ちやんが家にいてたら頭痛がおさまっていたこと。もしお兄ちゃんがいてなかったら頭痛がおさまっても学校に行ってなかったかも・・」と彼は話してくれた。「じゃーお兄ちゃんいてくれて良かったね」と話すと、うなづいてくれた。

 

 

G君 催眠施療後、約3週間後に復学

不登校6ヶ月の中学3年になったばかりのG君が来所。カウンセリングルームに部屋に入ってきた時の印象は、まず体格の立派さでした。これで14歳とはちょっとびっくり。背も170cm以上と高く、体つきもラグビー選手を感じさせる様な雰囲気で、事実野球部に入っているという。ちょっぴりあの松坂選手を思わせる雰囲気がありました。

お母さん曰く「中学1年の終わり頃から、朝起きると頭痛や吐き気がするといいだしちょこちょこ休みがちに。でもがんばって週4日前後は遅れてでも登校していたのですが、中学2年の夏休みが終わってから、不登校気味になり10月中頃からほとんど行かなくなりました。心療内科や小児科や大学病院の思春期外来をまわりましたが、どこでも思春期にありがちな起立性調節障害と診断され、とにかく水気を多く飲ませてくださいと言われました。

でも朝の10時頃には本当に元気で、これが病気なの、と不思議でした。元気になると本当にゲームに夢中で、大声でわらったりして・・・先生にそのことをいうと「たいがいのお子様はそうです。怒るのではなく、もう少し様子を見てみましょうとか、起立性調節障害は思春期によくあることで、時期がくればマシになってきますから大丈夫です、といわれたり・・・もちろん血圧を上げる薬や頭痛薬ももらいましたが、改善しなかったです。とにかく新学期になっても動かず、来年中学3年で受験なので・・本当に、このまま見守るだけで良いのかと心配で心配で」。と手帳にお子様の日々の様子をきめ細かくメモされていて、それをもとに話されていました。

 

本人曰く、今も朝の頭痛や吐き気はあるけど、だいぶマシになった。

そこでお母様に席を外していただいて、二人だけで面談。
「お母さんはこのままでは通信制高校と言うけれど、絶対イヤなので学校へは絶対戻ります」と言います。しかし中3の不登校のお子様はそのような発言をするケースは多いです。話半分のつもりで聞いていると、彼は「実は目標としている行きたい高校があるので、、そこへ行きたいので、、やりたいスポーツの強い高校で、ぜひ合格したい」「じゃーいつ頃戻るつも?」と問うと、ちょっと目を伏せて「う〜ん、早く戻りたいけど・・・」「けど、?」と問うと「正直言うと学校へ戻りづらいです。つまり戻りたいけど、休んでいただけに戻るのが、かっこわるい気がして・・」「そう、戻りづらいですか?」「はい」と正直に返事。

「背は高くなりたい」と問うと「はい、180は絶対超えたい」というので、当センターがよく説明している【成長ホルモンのいたずら】の話をしたら、なんとG君の顔つきが一気に変わりました。つまり「朝の不調の原因は成長しているからだよ、寝ている間に背が高くなっているからだよ」というのを図を書いてわかりやすく説明しました。「そういうことだったんか」と結構納得した様子でした。

催眠療法を施すと、良く深く入るタイプで、そのまま映像催眠に導きます。
20歳になった自分がやってくるよ、とのセラピストの言葉に即反応。目の前に、20才になった自分で、大学生になっていた。そして人格交代法で未来の自分から「今でも間に合うから、学校へ行け」「いつままでも逃げてては解決しない」「もうすぐ学校に戻れるチャンスが来るから、そのタイミングで行ける」との言葉がでてきた(これは本人の口から出てきた言葉で、潜在意識からの叫びの言葉)。
そして未来の自分は背も180センチを軽く超していてカッコよかった。野球で頑張っている自分の未来の姿が見えた。

催眠終了後、学校へ行ける自信が持てた。絶対戻ります。との返事で、かつ一番大切な気づきに近い言葉も出てきました。セラピストもしつかりその効果を感じました。

催眠を受けてから登校まで約半月近くかかりましたが。本人は正直に、毎朝「どうしよう。行こうか行こまいか」と悩んでいたとのこと、最後は「学校へ行っても命が取られるわけではないから、勇気だ、先生がいっていた清水の舞台から飛び降りるつもり」で登校したとのこと。

催眠を受けて2週間後位に復学したことをお母様から聞きました。そして高校受験前に『集中力UP」の催眠で再度来所。高校も本人が目指していたところに合格。催眠の力が発揮できました。

セラピストとしても、催眠の力を実感できるとともに、本当にお力になれて良かったです。