OCMC

Osaka Child Mind Center

社団法人 大阪市こども心理センター

日本で唯一こども専門の催眠療法室併設

中学3年生の場合/将来に不安を感じるからゲームでしか紛らわせない自分がいる。

2017-01-08  新着情報

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お母様が催眠に興味を持ち来所。来所決断までに1年以上が・・・

中 学3年生のMM君がやって来られました。身体を見ると細く、そして薄く、ひょっとして栄養失調かなと思いました。食が小さい時から、細く、その少食には、 お母様の話を聞いても、ちょっと信じられないほどでした。三人でのはなしのときは、ずーっとうつむき加減です。お母様は以前から催眠療法に興味があったも のの、ズルズルと先延ばしになったそうです。そしてテレビでやっていた催眠療法を見て受けようと決断されました。
MM君は約1年半くらい前から不 登校が始まり現在丸1年間、完全に不登校状態です。平日の毎朝、頭痛、吐き気、めまい、頻尿、腹痛などなど、いずれかの症状を起こし、昼ごろまで寝て、そ の後は夜遅くまでゲームで過ごし、ときどき明け方近くまでゲームをしているとのことです。

不登校支援施設でゲームをしてコミュニケーションUPを図るが?

と りあえずは朝は、一旦は起きて食卓に来るそうですが、 牛乳半分とトーストを半分くらい位食べるそうです。朝の症状で、多いのが頭痛、吐き気で、昼からはだいたい元気だとか。しかし学校や進学の話を少しでもす ると、顔が一瞬にして変わり、めまいがする、腹が痛いとか言ってはぐらかしているとのこと。
最初は、近くの小児科や心療内科、脳外科を診断、大学 病院などの思春期外来で診察を受けても異常はなく、起立性調節障害と診断されています。そして今は不登校専門の支援施設でカウンセリングを受けているとの こと。そこは、ゲームで子供と信頼関係を築いて、登校へアプローチして行く施設として、全国的施設と有名なところです。しかし先生とゲームをしている時は メチャ楽しそうにしていても、いざ学校の話、高校の話、登校の話になると、急に固まり何も語らない状態になるそうです。

学校の話を絶対拒否。学校以外ならOK!

そ こで二人だけの面談を開 始しました。「これからのこと、話しない?」と問うと「学校の話はしたくない。くさるほどママが話かけてくるから、どうしてもなら帰ります」とのこと。 「別に学 校のこと以外でも全然いいよ。今やりたいこととか、これからのことを考えて楽しいこととか、目標とか、何かありますか」「プロのゲーマーになりたい」「プ ロのゲーマーって、何なのかな」「日本ではないけど、韓国とかアメリカであるゲームのプロで、賞金も億とかすごいんです。」とゲームやゲーマーの話をする と目がキラキラと輝いてきます。
これは一種のコンプレックスです。学校行けてない分、それだけ自分はすごいんだぞと、アピールのようなものと感じました。1回目はプロゲーマーの話しで終ってしまいました。催眠療法も当然無理と判断しましたが、お母さんにすればちょっとガッカリした様子でした。

3回目の面談で学校の話を自然と受け入れる

1週間おいて2回目の来所。この日もゲームの話ししかしません。私も信頼関係を築くため少し合わせることが大切と考え、彼の話しを色々とそして一生懸命聞きました。
そして私のiPadにゲームをインストールしてくれました。動きの速いのは頭がクラクラするから入れないでとリクエスト。その後15分くらいゲームを教えてくれました。結構真剣な表情で語るので、少し当方もびっくりしました。ゲームが終わった後「後1週間後においで」というと素直に「はい」と返事。
それから2週間目の3回目の面談。ゲームの話しをちょっとした後、学校の話を彼に向けました。そうすると自分の悩みを話しだしたのです。かたくなに学校の話を拒否していたのにです。まずクラスの友達にゲームメ イトはいないの? その子とゲームはどちらかうまいかを問いました。すーっと自然に会話に入って来ました。今もたまにメールしていることや、高校受験もどうするかと心配の メールがあるということもわかりました。

悩みに悩んでいる・・・自分の将来が心配と激白。

高校のことを聞くと行きたいと のこと。できれば普通の高校に。でもあきらめの心も強いものが・・・「普通に行けるものなら学校へ行きたいけど、休み過ぎてるし、学校の勉強も全然して ねぇし、やっぱりヤバいですよね。」と、一気に本人から本題に入り込んできました。「後は君次第かもね。正直がんばったら今からでも普通の高校へ行ける し、また普通の高校が無理でも、高校卒業資格が得るためには色々方法はあるよ。私でもいいし、学校の先生でもいいよ。きっと相談に乗ってくれると思うよ」 「でも行ってねぇからなぁ」とため口で話すようになってきました。

催眠療法を受け、気持ちが前向きに、そして食欲も増加。

3 回目のカウンセリングから催眠療法を施療しました。自我強化と食欲増進をメインに行いました。やはり催眠でネガティブな意識がかなり潜在意識に黒い澱のよ うな存在になっていて、本人もそれを確認し、やっぱり何とかして下さいと私にアピール。1回目の催眠が終了すると、身体が軽くなったし、スキッとさわやか な気持ちになったとのこと。お母さんによるとその日途中でイタリアンレストランに入り、なんとスパゲティとピザをコロッと食べびっくりしましたと連絡があ りました。

カウンセリング12回、催眠療法8回で、徐々に復学し、私立の高校へ。

びっくりしたのは、普通不登校児のパ ターンは、途中でカウンセリングも催眠療法も拒否するケースが多いのです。つまり来なくなること。カウンセラーの先生のそれが悩みの種です。でもMM君の 場合、「先生のところで催眠を受けると、メチャ気持ち良くなるから・・・」という理由で、もちろんその他の理由もあるのでしょうけれど、やってきました。
みるみるやる気度も肉体疲労度も回復して来ているのが、検査機器で確認できました。
そして学校の先生の後押しもあり遠足やイベントなどで出席をはじめ、3年の2学期の後半から完全復学。高校も私立の高校に合格しました。本人曰く「先生に 会わなかったらどうなっていたかわからない」と言われたとき、「君の力だよ」と答えました。が私自身、彼の言葉は素直にとてもうれしかったです。
印象に残るお子様の1人になりそうです。