OCMC

Osaka Child Mind Center

一般社団法人 大阪市こども心理センター

日本で唯一こども専門の催眠療法室併設

起立性調節障害の我が子を無理矢理学校へ。

2017-04-20  新着情報

朝、フラフラ状態なのに腕をひっぱり無理矢理学校へ。

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お父さんが手をひっぱり学校へ。

10年ほど前、こんなケースがありました。
中2の男の子とご両親が見えられました。お父さんは40才過ぎで大手企業の課長をされています。背が高く、顔つきも鋭く、恰幅もよく・・ちょっと威圧感のある男性でした。座るなりそのお父様が話され始めました。「こいつはダメな奴で、根性もないし、やる気もないし・・・スポーツも勉強も、何をさしてもダメなやつなんです。最近は、朝がしんどいと言って学校へ行く時間になっても動こうとしないので、無理矢理引っ張って学校へ行かすこともありました」と言って子供をにらみつけます。「昔はしんどくても歯をくいしばって行ったもんです。しかし最近の子供はネを上げる、言い訳するで、親としてガマンの限界です。このひ弱な根性はもう叩いただけでは治らないです。何とかならないですか」

学校から帰ってきたら、いつもの普通の状態・・

不登校気味になって約1ヶ月少しといいます。
そこでお母さんに、無理矢理学校へ連れて行かされた日の学校から帰ってきたときの状態を聞きました。
「だいたい、普通です。元気で帰ってくる場合が多く、朝のしんどい状態を引きずるなんてあまり感じないですね」とお母さん。そこでお父さんは「ほら、見てみ。学校嫌いやから朝そんな態度とったりするんや。ほんま情けないやつや」とケンモホロロ。かなり家では、厳しいお父さん、恐いお父さんとお見受けしました。
そして現在、病院に通って起立性調節障害と診断をいただいているそうです。しかしお父さんのお友達でお医者さんがいて「思春期独特の症状で、検査しても身体に異常がなければたいしたことではない」と言われたそうです。それが余計に子供に厳しくしているのだと思いました。

お父さんに反抗するも、結局は腕を取って連れて行かれる。

そこでお子様と二人だけで面談させていただきました。
朝の状態をお聞きしました。「朝、しんどくて目が回ったりすることも。吐き気もあったりします。でもお父さんは全然信用してくれません。1ヶ月ほど前、無理矢理起こされたのですが、こっちも腹が立ってお父さんを蹴ってしまいました。悪いとは思いましたが、本当に学校へ行ける状態ではないのに、力づくで強引だったので・・・。」
「お父さんを蹴ったの?」
「はい。でもその直後に反対にたたかれ、そのまま学校へ無理矢理連れて行かれましたけど」
「お父さん、こわいですか?」
「はい。身体も大きいし、学生時代柔道もしていて力も強いので、どうしても負けてしまいます」
「お父さんは好きですか?」
「大嫌いです。全然何か言っても、バカとか、甘えるなとか、そんな言葉ばっかり言います。信用されてません」
「今の朝の調子はいかがですか?」
「一緒です・・自分自身、学校がイヤやから、こうなるのと思っていますけど・・・でも学校行かないと・・・自分の将来のこともあるし・・・」
「お父さんはいつも連れて行くのですか」
「週の内2回くらい。でも厳しいというか強引というか、こっちのことはおかまいなしで無理矢理学校へ連れて行かれます。変な話し、途中で学校の誰かに会っても、こっちが恥ずかしくなってもお父さんは平気で腕を取ってぐいぐいと引っ張って行きます。途中で気分が悪くても、うるさい、バカとか言われて、気を使ってくれません。」
「お父さんが連れて行かない日は・・」
「遅れていきます。昼から行くときも。お父さんがうるさいから・・・」
「遅れて行くときの身体の調子はどうですか」
「だいぶマシにはなっています」
「お母さんは、どう」
「心配してくれています」
「お母さんはやさしいですか」
「はい」というなり涙を流し始めました。
「えっ、どうしたの?」
「お母さんには・・申し訳ないしすまないとも思っています。お母さんを蹴ってケガさせてしまって・・」
「お母さんに暴力をふるってしまった?」
「はい。何回かあって肋骨を蹴った時に骨折させてしまって・・・」
「今も、蹴ったりしていますか?」
「今は直接はないけど、モノを投げつけたりしています。悪いのはわかっていてもしてしまう・・心配してくれているのは分かるし、でも少しの間、ほっといてくれつて感じなんですけど・・・」
「お母さんは好きですか?」
「わかんないですけど、嫌いではないです」
「学校は、どうですか」
「やっぱり行かないと・・高校も大学も行きたいし、お父さんよりレベルの高い大学へ行って見返してやりたいです」
「そう、将来の目標があるんだね。合格することを先生も願っています」

お父さんも中学時代、起立性調節障害に、乗り越えた経験からの行動。

そしてお父さんと二人だけで面談しました。
「朝、いっしょに登校されているとお聞きしました」
「そうなんですよ。そうしないと行こうとしません。こっちも仕事があるのですが、やはり一緒に行けるときは、行こうと決めています」
「息子さんは、無理矢理連れて行かれると・・・」
「そんなこと言いましたか。そうですね。私ら小さいときは、どんなにしんどくても学校なんか休まなかったですよ。第一両親も厳しかった。休みたくても休めなかったですね。私も中学時代、朝起きて気分の悪い時はけっこうありましたけど、朝ご飯食べて、制服着て、家を出ていくと徐々にその症状がやわらいで、学校へ着く頃には、ケロッとそんな症状は消えていましたね。
そんな経験があるからなおさら子供の弁解じみた言葉や態度には、本当にイライラしてきます。
まさかうちの子が不登校になるなんて考えもしなかったです。無理矢理連れて行くのも正直どうかと思いますが、続けて行くうちに、きっときちっと行ってくれるのではないかと思ってそうしています。わかってくれる日がきっと来ると思っています」

お父さんの努力が登校力の継続につながる

お父さんの強引なやり方に、正直賛成はしかねましたが、お父さんが連れて行かない日も学校へ行っている等、プラス面もあるため、お父様には当方から意見は言わないことにしました。
来られたのは、その1回のみでしたが
それから1年後、なんと学習催眠を受けたいとお母さんと二人で見えられました。不登校のことをお聞きすると、本人曰く「朝の調子は今も今ひとつだけれど、学校に行けばだいぶマシになっている」とのことで、受験勉強にがんばっているとのこと。
顔つきも1年前とは違って、強さと自信みたいなものが出ていました。
起立性調節障害の多くのお子様は、概ね午前中には改善するケースが多いです。事実、当センターの調べでも“がんばりしだいで朝から学校へ行くことができる”と答えたお子様もたくさんいます。
症状のきつい、弱いもあります。それだけに対応のむつかしさはあります。でも本人の頑張りしだいというのも、事実です。
実際、しんどくても行き続けるお子様が多いのはデータ上からも明らかですが、そのつらさが本人しか測れないから、起立性調節障害のむつかしさがそこにあります。