OCMC

Osaka Child Mind Center

社団法人 大阪市こども心理センター

日本で唯一こども専門の催眠療法室併設

高校1年生SSさんの場合 自意識過剰からの不登校

2016-12-02  新着情報

★高校1年生SSさんの場合 上がり症で不登校にjc2

小学校、中学校と一度も問題を起こさなかった子が不登校に

お母さんと二人でやって来たのは、関西でも進学校で知られた私立高校の1年生の女のお子さんです。
お母さんいわく「小学校も中学校も、ほとんど休んだことのない子なんですが、高校入って、最初は順調だったのですが、2ヶ月くらい経って、何や急に学校に行 きたくないと言いだして、今は週に1回か2回しか行かないです。なぜか理由は言いません。理由を聞こうとすると怒りますし、成績も悪い方ではないので、親 としてはどうして良いか…」「娘さんの性格は」「明るいし、友達も多いし、勉強もがんばるほうだし、兄弟の中でも一番やりやすかったのですが、なぜ急にこ ないなことになったのかわかりません」とのお話。しかしお母さんの話しをしている間中、なぜかそばにいる娘さんはニコニコとしているのです。普通なら暗い 顔していたり、うなだれて聞いていたり、知らん振りしたり、怒った顔をしているケースが多いのに…ちょっとえっどういうこと?と思いました。
心理カウンセラーの所にきているのに、不安らしさはまったく感じさせませんでした。当所の雰囲気を楽しんでいるかのように、目を輝かせていました。ちょっと“ふしぎちゃん”かとも思いました。

二人だけで面談、原因は思春期のならではのもの

そ して娘さんとふたりだけで面談を始めました。どうして学校へ行きたくないのと問うと、ニコっと笑顔をみせながら「う〜ん、なぜかわかりません」「学校でイヤなことありましたか」「別 にないです」「グループとかの問題は」「別にないです」「男女共学ですか」「はい」そこであえて聞きました。「ボーイフレンドは?」ややあわてたふうで 「いない、いない」「気になる男の子は、いますか」と問うと急に下を向き「いません」とのこと。でも顔が赤くなっていました。
思春期はやはり異性に興味を持つ年頃です。原因もそこら辺にあると推測しました。思い切って「好きな男の子ができたかな?」と問うと、恥ずかしそうに顔を上げて「どう」と再度問うと、軽くうなづきました。
好きな男の子が出来て、なぜ不登校に、と思うかもしれませんが、そこに乙女らしい悩みがありました。
好きな男の子とは、まだ友人関係でもなんでもなく、片思いとのこと。でも彼のことが好きになってくると、だんだん自分のことを良いように思われたいという気が強くなってきました。
そして不登校のきっかけとなる出来事が起こったのです。
英語の授業の時間、先生から当てられる順番が回ってきました。席を立って本を持った時、彼と目が合った瞬間に、緊張が一気に高まり、声がメチャクチャに震 えたとのこと。今までそんな経験は一度もなかっただけに、自分もびっくりするとともに、以後当てられるたびに声が震えるとのことで、それがイヤで五月雨の 不登校状態になったとのとことです。つまり当てられそうな授業の日は休むというのです。

微笑ましい事例に感謝。長く仕事をしていると、このようなことも。

「お母さんに言いましたか」と問うと「いいえ、言ってません」「このことをお母さんに話しても良いですか」というと、しばらく考えた後「はい、いいです。でもいやだな、はずかしいなぁ」とつぶやいていました。
それをきっかけに彼女は上がり症になってしまったのです。
本人の許可も得たので、お母さんにこのことを伝えると、「いや〜チラッとクラスにカッコ良い子いてるとは聞いていましたけど、そうですか。それが原因です か。でもイジメとかやったら心配ですけど、年頃の悩みやったら安心しました。でもそんなことで学校行くのんイヤやなんて、女の子らしいと言えば女の子らし いですね。深刻な悩みでなくて安心しました」と何やらとてもうれしそうでした。

催眠療法で上がり症を解消

催眠療法は上がり症には有効な力を発揮します。
催眠療法を受ける前に高校生には事前にしっかりとその特長と効果、デメリットも合わせて説明しています。彼女は私の話しをノートに取って真剣に聞いていま す。「なぜ、ノートに取るの?」「催眠に興味があるし、前世療法も催眠でしょ。正直催眠にかかってみたいと思っていたので・・・チャンスです」
暗示療法とまじない療法(当所独自)を施し、3回の催眠で改善。2回目の療法を受ける時「先生のおまじない本当に効きました。凄いです。いつも授業中当て られるとどうしょうと不安がいっぱいで、心臓もバクバクしていたのに、おまじないをいうとすーっと消えて行きました。先生ありがとう。自信も戻りました」 「彼とはどうですか?」「これからです。がんばります」以後問題なく通学しているとのこと。お母さんからも催眠のイメージが変わりました。本当に受けて良 かったですとの言葉もいただきました。
長くこの仕事をしていると、改めてこのような事例もあるのだと思いました。片想いの不登校かな・・・